ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

#2010年代ベストJポップアルバム(10枚、のうち9枚)

f:id:ystmokzk:20191130173424p:plain

 ツイッターで表題のタグを見つけて、1枚選んで投稿したのですが、なんかそれだけじゃ足りない感じがしたのであと9枚選んで10枚にしました。「そうか、2010年代もうすぐ終わるんだ…」的な実感や感慨には正直乏しいのですが、そういう期限を切って10枚選ぶのは自分の趣向を見つめなおすのにいいかなと(あと備忘録として)。

 年代順で並べていきます。今までのぼくの年間ベストではランクが高くなかったやつとか入ってないやつとかありますけど人間変わってしまうので…。ツイッターに自分の1枚として投稿したやつは別に記事にします。東京インディーのやつでずっと放置状態になってる1位のやつと一緒ですけども。あと「Jポップ」という単語のイメージからすると外れる気がするものが多いですけど、まあでもタグ見てたらみんな「邦楽」くらいのゆるい受け止め方だったので…。あと、他の企画記事と選盤の被りが多すぎるので、それぞれについての文章は短めに書きます。

 それにしても、「震災で始まった混沌と不安と失望と虚無の2010年」という印象だったですけど、“2010年代”という括りだと2010年も入ってしまうのか…という、しまったな…的な感覚があります。

 

続きを読む

『空の飛び方』スピッツ(リリース:1994年9月)

空の飛び方

空の飛び方

 

open.spotify.com

 今回はスピッツが『ロビンソン』で大ヒットする直前のアルバムにして、実質タイトルトラックの『空も飛べるはず』のリバイバルヒットによって多くのリスナーに聴かれるようにもなった、通算5枚目のフルアルバム『空の飛び方』の全曲レビューです。

 前作『Crispy!』がはじめてプロデューサーを迎え、売れるための気合を入れて製作したにも関わらずチャートに入らなかった、しかしながら収録曲のひとつである『君が思い出になる前に』をシングルとしてリカットしたところようやく初のヒットとなり、それを受けて今後どうなるか、という状況でした。そこからシングル『空も飛べるはず』『青い車』がスマッシュヒットし、そしてこのアルバムに至ります。ブレイクとまではいかなくても発売当初チャートで14位まで上昇したと言うことで、お茶の間ブレイク直前まで来ていたとも思えます。

 それで、そんな作品の内容はどんな感じか。詳しくはこの後の各曲レビューやあとがきに書きますけど、大まかには「大ヒット以降の典型的なスピッツの感じ」がこの時点で相当完成してると言えそう。その上で、まだ初期スピッツと連続しているように感じられる部分が残ってたり、むしろそういう性質が大ヒット以降っぽい質感の下で妖しく蠢いていたりと、そういった部分が今作の魅力なのかなと思います。個人的には『フェイクファー』までと思っている“中期スピッツ”という概念における、ひとつの達成でありつつも過渡期というか。

 なお、今作からジャケット写真を女性にするのがスピッツのアルバムの定番になっていきます。これは『ハヤブサ』『小さな生き物』といった例外がありつつも、今年の『見っけ』に到るまで続いています。

 では本編に。

  • 1. たまご(3:28)
  • 2. スパイダー(3:47)
  • 3. 空も飛べるはず(Album Version)(4:31)
  • 4. 迷子の兵隊(4:31)
  • 5. 恋は夕暮れ(5:01)
  • 6. 不死身のヴィーナス(3:24)
  • 7. ラズベリー(4:42)
  • 8. ヘチマの花(3:06)
  • 9. ベイビーフェイス(Album Version)(4:12)
  • 10. 青い車(Album Version)(4:41)
  • 11. サンシャイン(5:25)
  • 総評

  

続きを読む

初期スピッツについて(8つのテーマで)

f:id:ystmokzk:20191019212230j:plain

 祝・スピッツの(ほぼ)全スタジオ音源サブスク解禁!*1

 この機会にこのブログのスピッツ全曲レビューも前進すればいいんですが…その代わりというわけではありませんが、今までに書いてきた時期のスピッツ、所謂“初期スピッツ”という概念について、今一度まとめておきたいなとずっと思っていたので、今回はそれをしようと思います。

 方法としては、筆者が勝手に決めた8つのテーマに沿って3曲ずつ初期スピッツの楽曲を改めて取り上げて、何か所感とかを書くなかで「ああ確かに初期スピッツってそういうことかもしれない」みたいな何か取り回しのいいものが見つかればいいな…というものです。こういう手法なので、すでに書いてる内容とかなり重複する部分があります。

 なお、この記事で貼り付ける各楽曲のリンクは全てSpotifyのリンクです。あしからず。また、ここで規定する“初期スピッツ”はメジャーデビュー後〜アルバム『惑星のかけら』までとさせていただきます。*2

*1:一部カップリング曲や初回盤特典の楽曲などは今回漏れています。『エスペランザ』とか。あとインディー時代の音源とかもまあ無いですね。

*2:インディー時代は『ヒバリのこころ』くらいは加えても良かったかもですが今回サブスク化から漏れてるし。

続きを読む

セルフタイトルのアルバム10枚

f:id:ystmokzk:20191007003839j:plain  

 世間の一部で割と定説のように言われる「セルフタイトルのアルバムは名盤」というの、時々それ本当かなーと思ってしまうんですけども、でもまあ、自身のアーティスト名をそのまま作品にしてしまうってのは、作った作品集に対して何か気の利いた他のタイトルを付けるよりも、自身の名前をそのまま付けたくなってしまっている訳で、それってその人たちにとってどんな気持ちで付けるんでしょうね。想像もつかないな。

 という訳で、セルフタイトルのアルバムを10枚、「もしかしたらこういう気持ちからセルフタイトルにしてみたりしたのかもなあ」なんてことを書いたりしながら並べていきます。

 ただ、なんとなくですが「1stアルバムでセルフタイトル」というアルバムが世間にはかなり多くて、実際「セルフタイトルの1stアルバムが最高傑作」みたいなこともあるんですけれども、でもそれよりも「アーティストが活動を続けて満を持して出すセルフタイトル」というのに格好よさを感じたので、1stアルバム系のセルフタイトルは外しています。The Stone Rosesとか外したくなかったけど外した。。あと、番号をつけてセルフタイトルを連発していく系の作品も外してます。ツェペリンとかZAZEN BOYSとかそういうの。

 あと、年代は現在に近いものから逆順に下っていきます。

 

続きを読む

The Beatlesの曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲 10曲+10曲

f:id:ystmokzk:20190929010701j:plain

 前回と前々回の弊ブログ記事で「曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲」を50曲探してきて色々と見ていきました。

ystmokzk.hatenablog.jp

ystmokzk.hatenablog.jp

 それで、part1の第1曲目はビートルズだった訳ですが、part2を描いてる途中に気づいたんですが、ビートルズって実はこのパターンの曲が相当多くない?っていう。それで選曲してみたら、完全にタイトルだけを歌ってる曲で10曲、完全じゃないけどやっぱひたすら曲タイトルを連呼しまくってる曲で10曲を選曲することができたので、前者を1軍、後者を2軍(?)として、今から見ていこうと思うものです。様々なキャッチーさを生み出してきたと言っても過言ではないビートルズの、これらのパターンの曲を見ていって果たして何が浮かび上がって来るのか。ひとまず見ていきます。年代が早いものから順番に行きます。

  • 2軍(完全にタイトルだけではないがタイトル連呼が目立つ)
  • 1軍(サビ等が完全にタイトル連呼のみで構築されてる)
  • 終わりに

 

続きを読む

曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲 50曲 part2

f:id:ystmokzk:20190926003455j:plain

 前回の記事からのパート2です。

ystmokzk.hatenablog.jp

 part2では2000年代から先の曲を取り扱います。それにしても1960年代〜1990年代までの30年で28曲で、残り22曲が2000年〜2019年の20年間というのは、なんかここ20年に比重がやや偏ってる気がしますね。

 part1から引き続き曲数を数えることができるよう、part2は全50曲中の29曲目から始まります。part1からの連番ということです。よろしくお願いします。

 

  • 2000年代 11曲
  • 2010年代 11曲
  • 終わりに

 

続きを読む

曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲 50曲  part1

f:id:ystmokzk:20190925192206j:plain

 曲のタイトルを歌詞にどう登場させるか、又は歌詞のどの部分から曲のタイトルをつけるか、あるいは歌詞と全然関係ないタイトルにするか、というのは歌のある曲を作曲するにあたって割とどれかを考えないといけなくなることです。
 そんな中で、曲のタイトルを歌の中でキャッチーなフックとして使う手法があります。個人的には、曲タイトルを連呼しながら他の言葉をくっつけていく作詞は歌詞カードとして読んだ時にちょっと微妙な感じを受けたりもしますが、しかし曲タイトルだけを連呼、となると話は別。歌詞カードには少なくない場合、サビの行とかに曲タイトルの一行だけが並び、その佇まいの潔さは時にクールに感じられます。
 今回はそんな「曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲」を50曲集めて、どんな感じなのか、どう有効な感じになってるかを観ていきたいという試みです。段々年代が新しくなっていきます。邦楽も途中から混じります。投稿時間の都合で一度に書ききれなかったので記事を2分割して、このpart1では1960年代〜1990年代までを扱います。

  • はじめに・ルール説明
  • 1960年代 4曲
  • 1970年代 10曲
  • 1980年代 8曲
  • 1990年代 6曲

 

続きを読む

【お知らせ】“素敵な歌詞bot”なるものを作りました

 私事ですが、こういうものを作りました。

 

 このブログで歌詞について言及したやつからもいくつか選出してたりしなかったりしてます。今のところ1アーティストにつき1ツイートしか枠を用意していないので、その分厳選したつもりではあります。

 しかし、歌詞の一部だけツイートで流れてきても、大してグッとこないなあとも思ったりするので、やっぱり音楽って言葉を伝える上で大事だなあ、とか思いました。それでもなるべくめげずに、コンスタントに好きなフレーズとかを追加していければと思います。

 もし万に一つこのbotのツイートでなんか言葉遣いとかいいなと思って曲を聴いてそれでそのアーティストが好きになるきっかけとかにでもなれればせめて幸いです。

 あと、どうしてもそのまま引用するだけでいい邦楽に偏ってしまいます…洋楽の方も、いいフレーズだと思ったら積極的に載せたい気持ちはあるんですけども。

『ひみつ』スカート(“東京インディー”って知ってる? Volum.3 フェイバリット・アルバム 2位)

ひみつ [KCZK-005]

ひみつ [KCZK-005]

 

 そうか、この作品も澤部渡のインディーレーベル、カチュカ・サウンズからの完全インディー流通だからサブスクも無いのか…次作『サイダーの庭』までサブスクには無い(2019年8月時点)。

 

 外様の人間が“東京インディー”なる概念を振り返り回顧しそして大好きなアルバムを取り上げていく企画、その第3回目は、ベスト15枚のうちの第2位。スカートの2013年作のこのフルアルバム。これは大傑作ですよ。ジャケットがそれまでのもう少し現代的に可愛い系のイラストから一気に渋い感じに変わりましたが*1、楽曲の可愛らしさはスカート史上でも最高級でしょ。

www.youtube.comこの最高に曲の雰囲気にマッチしたアニメーションPVが公式じゃなくてファン制作なのが凄い…この時期のスカートは本当に、マンガ方面に広いチャンネルを持っていたなあ。

 

*1:漫画家の森雅之によるもの。構図が少し『火の玉ボーイ』鈴木慶一ムーンライダースに似てますね偶然でしょうけど。

続きを読む

“東京インディー”って知ってる? Volum.2 フェイバリット・アルバム15選(ベスト15→3)

f:id:ystmokzk:20190811165944p:plain

 前回からの続きです。

ystmokzk.hatenablog.jp

 前説を若干書いた上で、今回の一連の記事の本編となる、東京インディーの「あの感じ」がする頃のアルバム15枚を選んで、簡単に感想していきます。1アーティストにつき1枚ずつ選んでいます。一応順位を付けていて、今回は15位から3位までを追っていきます。1位は正直15枚の中でズバ抜けて好きすぎるけれども、であるがゆえに、果たして近日中に書き上がるんだろうか…単独記事にする予定です。折角なので2位も単独記事にします。時間や自分の気力が許すなら他にも全曲に触れたいアルバムあるけども…。

 

続きを読む