ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『After The Gold Rush』Neil Young

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かの有名なジャケットのフォトセッションに実はGraham Nashも同行してたとかいう話の証拠となる写真。

 

 突如このブログで始まったNeil Young祭りですが、今回は先のベスト20アルバム記事で第2位となったこのアルバムについて全曲レビューを試みるものです。

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 そういえば今年はリリース50周年に当たるので、50周年盤のリリースも控えているとのこと。先行して当時のアウトテイクから『Wonderin'』が公開されています。 この曲元々はこの時期の曲だったんだ…*1*2

After The Gold Rush (50th Anniversary)

After The Gold Rush (50th Anniversary)

  • 発売日: 2020/11/27
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

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 なお、全曲レビューする前段として歴史的な状況の概観とアルバムの特徴の考察も挟むため、本編はしばらく後になります。

 

  • はじめに:アルバムをめぐるヒストリー及び製作陣
  • 今作のアルバムとしての特徴
    • ①ともかく曲が良い・緻密な作曲
    • ②素朴な演奏による滋養や荒涼感
    • ③ピアノの多用
    • ④コーラスワークの存在感
  • 本編:全曲レビュー
    • 1. Tell Me Why(2:59) 
    • 2. After The Gold Rush(3:47)
    • 3. Only Love Can Break Your Heart(3:10)
    • 4.Southern Man(5:31)
    • 5. Till the Morning Comes(1:28)
    • 6. Oh, Lonesome Me(3:50)
    • 7. Don’t Let It Bring You Down(3:00)
    • 8. Birds(2:33)
    • 9. When You Dance I Can Really Love(3:46)
    • 10. I Believe In You(3:27)
    • 11. Cripple Creek Ferry(1:34)
  • 終わりに
  • 11/10追記:SSWとバンドの境界線について

 

*1:当時のライブ盤などにも収録されているこの曲は、しかし長いことずっと公式でリリースされることがなく、ライブでしか演奏されない「隠れた名曲」のひとつとなり、そしてずっと後の1980年代になって、何故か全編ロカビリースタイルで通す変なアルバム『Everybody's Rockin』に本当に何故か収録された、しかもやはりElvis Presleyばりの古いロックンロールスタイルにて、という数奇な運命を持つ。

*2:しかしこの50周年盤、てっきりボーナストラック沢山の内容かと思ったら追加はこの『Wonderin'』だけなのか。。

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Neil Youngのアルバム20枚+5曲(後半)

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 長大なキャリアを誇る世界的なSSW・Neil Youngの、40数枚あるオリジナルアルバムのうちベスト20枚を選ぶことと、プラス追加で5曲を紹介することと、そして20枚の推し曲+5曲を収録したSpotifyプレイリストを掲載する予定となっている記事の、ずいぶん長くなってしまった記事の後半部分です。前半は以下の通りです。

ystmokzk.hatenablog.jp

  • 本編1:オリジナルアルバムベスト20(後編)
    • ●10位〜6位
    • ●5位〜3位
    • ●2位
    • ●1位
    • ●順位一覧
  • 本編2:本編1で取り上げられなかった名曲5曲
  • 終わりに・及びプレイリスト

 

 早速行きましょう。

 

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Neil Youngのアルバム20枚+5曲(前半)

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 今回は、かのアメリカンロック・フォークの大御所の中の大御所、Neil Youngの諸作品の中から筆者の個人的ベスト20のアルバムを取り上げるのと、それだけだとこぼれてしまう特筆すべき5曲とを取り上げるという記事です。

 上の文章をあっさり書いたけど、今回のこの記事およびこの記事の後に書こうと考えてる記事に、どれだけ自分の今までのリスナー人生の重みがかかっているか考えると、よく分からなくなるほど。Buffalo Springfieldから数えたとしても1966年から現在に至るまで活動し続けるその姿、そして重要なのが、その間幾つもの、凄く独特でありつつも多くの人々を惹きつけてやまないその果てしない哀愁とメロウの感じや、もしくは無常感さえ感じさせるラフで不毛なロックサウンド等々、彼の活動においては、もはやこの世の音楽に欠かすことのできない要素が沢山生み出され続けてきました。そんな偉大にして孤高な旅路をこんな、ちっぽけな記事で、まともに捉えられるはずがない…。

 ないにしろ、書くことを思いついてしまったからにはやります。思い残すことがないくらいにやれたらいいな。思い残すことがないくらいに書こうと思ったらなんだか長くなり過ぎて、記事を前半と後半に分割する羽目になったけれども。

 

  • はじめに:Neil Youngのキャリア概観・魅力
    • キャリア概観
      • 1960年代〜1970年代
      • 1980年代
      • 1990年代〜2000年代
      • 2010年代〜2020年
    • 音楽的特徴・魅力
      • ・頼りなく鈍く高く細く寂しい鼻声みたいな歌
      • ・素朴さ・朴訥さに溢れたアコギやピアノのプレイ
      • ・ゴツゴツとした荒々しさ・鈍重さのバンドサウンド
      • ・ともかく曲がいい
  • 本編1:オリジナルアルバムベスト20(前半)
    • ●20位〜16位
    • ●15位〜11位

 

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Mr.Childrenのシングル曲10選

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 地味ベストプレイリスト記事を書き上げた余勢でするっと10曲選べたので、こっちも書いておこうと思います。

ystmokzk.hatenablog.jp

 彼らのシングルは2020年10月現在で計38枚、配信限定シングル8枚を合わせると総計で46枚あります。これらのA面曲の中から10曲選んでます。なので、超有名曲がバンバン出てきます。早速行きましょう。年代順です。ベタ上等。

 

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Mr.Childrenの地味な名曲・佳曲プレイリスト(20曲)

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 1989年の結成以来、特に1994年以降はずっと日本の音楽業界でトップセールスを続ける、日本でも最も大衆的なバンドのひとつとしてMr.Childrenは知られてるところかと思います。今年も12月に新作アルバム『SOUNDTRACKS』をリリースするとのことで、「テレビ番組で往年の名曲を歌う大御所」になるまいと、粘り強く活動してる感じがします。

 そんな彼らは、かつて「ミスチル現象」という日本のCDセールス氏の最盛期を現出させた時代などもあり、非常に多くの人たちに知られる大衆的な「名曲」をたくさん持っているところですが、しかしながら同時に、ファンの母数が多いゆえに、その中の一部の好事家が盛り上がるような「隠れ名曲」も多数抱えています。そっち側の楽曲群においては彼らの大衆的なイメージであるところの「センチで大仰なバラード」等から大きく趣を異にする楽曲もたくさんあります。

 今回はそういう方面の曲を20曲集めてプレイリストを作ったので、1曲ずつ取り上げて見ていきます。「大衆におもねった」部分ばかりでは全然ない彼らの様々な歌や作曲やアレンジの魅力にせめて少しでも触れられれば幸いです*1

 

*1:勿論、彼らのヒット曲の全てが「大衆におもねった」だけでできてるはずもなく、特にいくつかのヒット曲は彼らならではの大胆さとスケール感が感じられて最高だと思っています。たとえば今ここで5つ挙げるとすれば『名もなき詩』『花』『youthful dys』『HERO』『and I love you』はどれもミスチルだからこその、これらの曲がとても多くの人に支持されてることが感動的な気にもなったりする楽曲です。

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タンバリンを使った楽曲(30選)

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 首輪として使うのはタンバリンの正しい使い方ではありません。

 

 今回は、前回マラカス・シェイカー等でやったのと同じやり方で、タンバリンの使い方について、実際に30曲見ていきながら、その様々な手法を鑑賞しようという記事になります。前回の記事はこちら。

ystmokzk.hatenablog.jp

  タンバリンは、場所によってはカラオケなんかにも置いてあったりして*1、比較的日常で触れる機会の多い楽器かと思います。パーカッション類においても一番メジャーで、様々な楽曲で使用されています。騒がしいものからしっとりしたものまで、その色々を見ていきたいと思います。

 各項目等のフォーマットは完全に前回を踏襲する形でいきます。

 

*1:誰かが歌ってる時に、ドラムとかが消えて静かなセクションでも構わずにそれまでと同じテンションでタンバリンを叩き続ける人とか見てるといたたまれなくなります。

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マラカス・シェイカーを使った楽曲(30選)

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 マラカスとシェイカーの違いってよく分からないですよね。形としてはよく分かるけど、たとえば音だけ聴かされて「今のはマラカスかシェイカーか?」って言われても正直おそらく分からないと思いますし、音を聴くだけであれば別に違いが分からなくたって別に構わないんじゃないかと勝手に思ったりしてます。

 

 それで、今回はマラカス・シェイカーの音が入った楽曲を30曲分見ていって、こういった楽器が楽曲においてどんな効果を発揮するか、逆に、マラカス・シェイカーをどう使うといい具合になるか、というのを調べてみたくて、時間をかけて30曲分のプレイリストを作成しました。

 

 マラカス・シェイカーといえば踊りたくなるような・ラテンで陽気な感じがするものですが、実際使われてる例を見るとそういうのばっかりじゃないなーむしろそういうのは少数かもしれないな…という並びになってしまいましたが、とりあえず見ていきたいと思います。

 

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ストーンズで20曲(ギターの好きな感じの)

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Mick Jaggerエレキギター持って歌う姿好き。画像はギターにシールド挿さってないけど…。あとギターがフェンダージャガー…。

 

 先日、以下の記事を読みました。

rollingstonejapan.com

 1974年のアルバム『Goats Head Soup』がリイシューされることを受けて書かれたこの記事は、色々と現代的なストーンズの鑑賞方法を整理してあって、いちいち納得する場面の多い、素敵な記事でした。ぼくが『Goats Head Soup』大好きなのもあるかもですが、「バンド音楽さえ主流でなくなった現代においてThe Rolling Stonesというバンドの数十年も前の音楽をどう楽しむか」という視点をきちんとキープした上での、とはいえ少々熱っぽくてフェティシズム的なストーンズ語りは、凄く共感できる感じ。

 

 これを受けて、自分の中でストーンズ熱が再燃して、自分の好きなストーンズのプレイリストを作ろうと思って、今まであまりちゃんと聴いてなかった作品(特に1980年代以降のものの多く)なども聴き返して、結構満足いくプレイリストができたので、それを公表するとともに、1曲ずつ見ていきます。

 で、ストーンズであれば、以前は1960年代のポップソングのキッチュさをこそ好きでいたけど、そこから次第に1970年代の諸策の、昔なら「ダサい…」って思ってたものについてもある程度理解が増えて行ったりして*1、特に、彼らが何か雑食的に他のジャンルを漁る際でも「ストーンズ的な歪さ」が出てしまう点は、彼らを彼らたらしめる重要な点だなと思います。

 今回は、特に彼らのサウンドの中核であろう「ギター」の音や活用方法が面白い・好きな楽曲を集めて20曲のプレイリストにしてます。

*1:それでも今でも「やっぱダサいな…」と思ってしまうものは多々あります。けどそういうことについては特にこれ以上語るまい。

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アメリカンロック?アメリカーナ?に関するあての外れた考察とあと20枚ほど

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 たとえばアメリカのロックバンドのアルバムの解説文なんかで、

アメリカンロックを代表する堂々としたサウンドは…」

「ちょっと待って、それって具体的にどういう感じ…?」

と、時々思ったりすることがあります。最近はなんとなくこういう感じの要素を言いたいんだなあみたいなのは分かってきた気がしますけど、まあそもそも、音楽性を指して「アメリカンロック」という形容詞は、いささか大きすぎる感じがするのも事実。アメリカのロックバンドはみんなアメリカンロックなんじゃないの?的な。

 

 一方で、近年は「アメリカーナ」という語もロック音楽のジャンルのひとつとして扱われることが増えているように感じます。こちらはThe Americana Music Association (AMA) なる組織がアメリカにあったり、そこが色々イベントをやったりで、またこの語に括られるアーティストの顔ぶれなんかでも、アメリカンロックよりかはより音楽性を限定した感じがありますけれども、しかしそれでも、なんかフワッとした感じが抜けないような…。

 

 …などと言いながらも、この二つの語が意味するところの音楽に自分の好きなものが沢山あることも事実です。なので今回は、この二つの語について、全く学術的ではないし研究も十分とは到底思えない、筆者個人の思い込みによる整理によって色々その意味を決めつけて見て、その後に、いつものように自分の好きなアルバムそれぞれについてコメントをつけるやつを20枚やります。「牽強付会」というやつなのかな…と思いますが、自分の趣向を整理する上でも、ひとまず最後まで書けそうなので書いてみようと思います。
 

  • 序章:ほら、分かるだろ、あれだよあれ
    • ●逆にアメリカンロックじゃないものって何だ?
    • ●要はカントリーロックのことだろ?
      • a. 1960年代:カントリーロック誕生まで
      • b. 1970年代:ウエストコーストロック・SSW
      • c. 1980年代後半〜1990年代:オルタナカントリー等
      • d. 2000年代以降:「アメリカーナ」という新たなラベルとその他
    • ●序章まとめ:アメリカっぽいバンド音楽
  • 本編:ぼくの好きなアメリカンロック/アメリカーナ 20枚
    • 1970年代
    • 1980年代
    • 2000年代
    • 2010年代
  • 終わりに

 

 

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The Jesus & Mary Chain(JAMC、ジザメリ)の25曲

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 ここ最近ずっとThe Jesus & Mary Chain(以下「JAMC」と呼称します。日本風な「ジザメリ」でもいいんだろうけども)ばっかり聴いてて盛り上がってきて、マイナー気味そうな曲まで一通り聴いてとてもテンションが高くなったので、25曲のプレイリストを作りました。再結成アルバムの曲は時期が他の曲と開きすぎることもあり収録してませんが、曲順もいい具合だと思います。今回はいきなりこれを貼ります!

 

 彼らは1999年の活動休止までにフルアルバムを6枚、シングルを19枚、EPを6枚リリースしており、今回はそれらからの選曲となります。彼らの詳しいディスコグラフィについては、英語版Wikipediaの記事を見ていただければです。

 そして今回は、この25曲を通じて彼らのキャリアとか、バンドとしての性質とか、各楽曲の魅力とかを改めて検証したいような、そんな意気込みの記事です。なので、さっさと本題に入っていきます。

 ちなみに、(『Honey's Dead』までの)各アルバムの論評についてはこちらのブログの記事がとても良いかと思います。彼らの歴史に横たわる”面倒臭さ”もよく踏まえられています。

slapsticker.blog.fc2.com

  • 1. Happy When It Rain
  • 2. Upside Down
  • 3. Almost Gold
  • 4. Sometimes Always
  • 5. Don't Come Down
  • 6. Far Gone and Out
  • 7. Subway
  • 8. Fizzy
  • 9. Degenerate
  • 10. Half Way to Crazy
  • 11. Teenage Lust
  • 12. Some Candy Talking
  • 13. Rollercoaster
  • 14. Darklands
  • 15. Never Understand
  • 16. Birthday
  • 17. Save Me
  • 18. Between Planets
  • 19. Something I Can't Have
  • 20. Down on Me
  • 21. Black
  • 22. Shake
  • 23. God Help Me
  • 24. Sundown
  • 25. Just Like Honey

 

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