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ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

2013年の個人的年間ベストアルバム(20枚)5/5

4/5のつづき。ラスト4位→1位まで。
1位は、これしかない。

ぼくがこの作品をとても好きなのは、曽我部さんの自己診断能力が過去最高に発揮されているところ。細かいところまで丁寧にコントロールされてかつキャリアでも最高級にぶっきらぼうなこのバランス最高すぎ(←語呂が尽きてる…)。あと曽我部さんがインタビューで「この作品でやっと本当にソロデビューしたかも」みたいなこと言ってたが、彼の1stソロ『曽我部恵一』の一曲目が『ふたり』で、今作の一曲目が『ひとり』なのは果たして偶然だろうか…。
激賞しまくりのブログ記事はこちら。
『超越的漫画』曽我部恵一
これを三位に持ってくる自分のポジションゲーム感(自意識過剰)。
一曲目『Nowhere To Go』の必殺感がともかく半端ない。こういう系統の曲でここまで染みたのはそうない(←全然音楽聴いてない)。Best Coastでも書いたけど、ブリッジがびしっと決まる曲が大好きで、この曲のブリッジはその位置もメロディもまさに必殺って感じ。遠くから響くようなホーンの音も郷愁を誘いすぎる。個人的に彼の神曲だと思ってた『Wishing Will』(これぞ必殺!だと思う。アルバムの流れで聴いた方がより良いけど)に、比肩するキャッチーな曲だと思った。
当然他の曲も良い。全体的にリラックス感と田舎チックな甘い寂しさが流れる今作だけど、中盤から終盤の流れが特に好き。絶妙なシンプルさのメロディなアコギ弾き語りの『Sneak Out The Back Door』、ちょっとビートルズな小粋ポップ『Back Of My Hand』、田舎楽団的なホーンセクションが心地よい『Me, Myself And Wine』、今作でもとりわけバンドサウンドが前面に出た『She Does My Heart Good』の初期wilco感(順番逆か?)等々。極上のカナディアンSSWアルバム。ぼくがこのアルバムを前作『PORTAL』よりも買っているのは、曲展開がどんどん邦楽典型パターン(Aメロ→Bメロ→サビの繰り返し、みたいなの)から外れていってることがまず大きな理由。実質一曲目『ロンリーボーイ』から、二分半ちょっとに美味しい展開を詰め込みきったソングライティングが素敵だと思った。イントロのドラムフィルとギター・シンセの海からして最高な『処女と黄金の旅』ではサビでドラムをタメるという離れ業やあっけなさすぎる終わり方にアレンジに対するソングライティング込みな意識が垣間見えるし、『愛を』のトリッキーな展開やまさかの掛け合いコーラスは曲順的にもアクセントが利いてる。一番好きなのは『フラニーの沼で』で、タイトルからして中二心をくすぐられまくり、アルバム中でもエモーショナルなボーカル、沈み込むようでもあるし視界が広がっていくようでもある演奏、もはやアートスクール的なダメさに嬉々として飛び込んでいってしまってる歌詞など、いちいちもの凄くポイント高い。
総じて『PORTAL』の個人的に腹一杯な感じを見事に、絶妙に腹八分目にしてくれた作品。そんな俺個人の願望にバカ正直に答えてくれなくてもな作品すぎる故の、納得の二位。