ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『REBROADCAST』the pillows

REBROADCAST 通常盤

REBROADCAST 通常盤

 

www.youtube.comthe pillowsの今回の新譜がとても素晴らしい。

自分はthe pillowsの傑作として『Please Mr.Lostman*1『HAPPY BIVOUAC』*2『Thank you, my twilight』*3『トライアル』*4といったアルバムを挙げるけど、今作はそれらと同等の非常に高いレベルの何かを感じれてグッと来るので、何がいいのか見ていきましょう。

 

1.Rebroadcast

 アルバムタイトル曲を冒頭に置く、この確信的な配置が今作の特徴を如実に現している。

 the pillowsもまた、アルバムタイトルと同名の曲については、必ずアルバム中でも秀でた楽曲を持ち出すことを重要と考えているアーティストである。しかしてそのような楽曲が収録される際の配置場所は、多くがアルバム最終曲の前となり、その際にはほぼ必ずと言っていいほど、アルバム中最も重々しくもエモーショナルな楽曲となっていた*5。次に多いパターンが冒頭に置かれる場合で、こちらはもう少し軽快な、しかしながらアルバムの特徴を表現した楽曲が置かれている。『HAPPY BIVOUAC』ではアルバム中のギチギチしたオルタナさを最も体現し、『MY FOOT』ではアルバムの抜けのいいサウンド感を最も鮮やかに表現した。

 そして今回。何やら重々しくも堂々としたイントロに大曲の予感を匂わせ…てからのあざといまでのギアチェンジ、本作きっての快活なスピードチューンに切り替わる。明るく突き抜けていくメロディ、ギターの歪んだ具合。まさにthe pillows節全開の楽曲に、あっさりとサビでタイトルコールの合唱具合はかつての『LITTLE BUSTERS』『RUNNERS HIGH』のよう。薄らとホーンの類も鳴っていて、楽曲の雰囲気はさりげなく祝福感で彩られている。

 Cメロ、そしてメロウなサビ展開を見せながらも、楽曲はあっさりと終了する。終わってみれば3分9秒と非常に短い尺に展開を盛り込み、最後は拍手まで入れ込む手際に、30周年を迎えようとするバンドの手際の熟練っぷりが伺える。ちなみにこの楽曲タイトルは「“再放送”と付けることによって、アルバム全体でも過去の印象的なフレーズなんかを登場させることができる、今回1回きりの特別な手法」なのだそう*6

 

2.Binary Star

 the pillowsの魅力のうち説明付けづらいもののひとつに「曲順の拘り」がある。端的に言えば、彼らは“シングル級の名曲をアルバム冒頭で連発する”といったことについて否定的なように思う。つまり、緩急を大事にする。

 今作の場合、軽快でキャッチーとはいえアルバムタイトル曲で、今作のテーマを表現した楽曲の次に「またシングル級の楽曲!」とはしない*7。ここに『ニンゲンドモ』を置かずに、こういうサクッとした尺の小品を置いた。それも、奇妙にひねた楽曲を。

 何がひねているか。一聴すれば分かる。拍子が、妙にはみ出している。ベタッとしたディストーションギターを左右に構えながらも、このやや強引なメロディの引っ張り方で、この楽曲ならではの印象というものを産み出している。

 何気に、1回目のサビ直後のAメロの後すぐに間奏〜最後のサビ、そしてAメロであっさり終わるという、楽曲の尺が短くなる工夫も敷いてあり、そこまで曲のスピードが速いわけでもないのにその結果の2分19秒。まさに「あっという間に終わるけど、何か一癖ある曲」という佇まい、そのものの印象でアルバムに貢献し、次の曲の奇妙なイントロに世界観を繋いでいく。

 

3.ニンゲンドモ

 今作のリードトラック…がこれなのか!という、the pillowsがあまりしない“新機軸”タイプの楽曲。新機軸タイプの楽曲は、『白い夏と緑の自転車 赤い髪と黒いギター』みたいな成功例や『Tokyo Bambi』みたいな「えっ…?」ってなるものまで様々あるけど…これは成功でしょう。

 この楽曲はまず、印象的なギターフレーズが楽曲を牽引する。時折オルタナ的で奇妙なフレーズをつま弾いてはバンドのジャンクさの表現に貢献する真鍋氏のギターだけど、この曲でのこのファニーな単音フレーズは、しかしながらどこか洗練されてて、この楽曲で頻繁に繰り返されていくそれはまさに、楽曲のトレードマークだろう。

 そのフレーズを軸にした淡々と進行するバンドサウンドも、どこかSonic Youth的な平坦さがあって意外に新鮮な感じがするけど、それにに乗ってくる歌が、まさにこの楽曲の肝とも言える。山中さわお氏のトーキングスタイル。それも低音でボソボソと毒つくかと思えば、扇情的に声を切り替え吐き捨てていく様は、確実にこれまでのthe pillowsでは取られていなかったスタイルだ*8

 半トーキングで毒づく内容が際どい。さわお氏から見かける日常における諸外国人等の印象は、妙に普遍的で、悪く言えば「その辺のオッサン」感に溢れている。正直なところ「やや心が狭い」とさえ言えそうなその率直さは、ポリティカル・コレクトネス的な危うさを抱えながらも、しかし結局「こんな印象を抱いて雑踏の中にいる自分だってその雑踏“ニンゲンドモ”の一部だし、そうやって自分は人間性を失っていく」という結論とせめてもの願いに着地する。この辺の「社会的な問題提起に行き着かない」感については、色んな意味で賛否両論ある気もする。エレカシで言う『ガストロンジャー』、浅井健一で言う『38 Special』みたいな。山中さわお氏の“自身の器の小ささ”をネタにした諸楽曲の中でも、この曲は上記の不安定さも含めて、その極北の一曲になった。

 しかしながら、そんなグチャグチャをサビで一気に切り替わって、バンド一丸で突き抜けていく展開は妙に快い。サビも派手にブチ上げるのではなく、あっさり駆け抜けていく辺りに、手際の鮮やかさが見て取れる。軽くない問題を抱えたまま、楽曲をぎりぎりエンターテイメント的にドライブさせている。そのような効果は、noodlesのYOKO氏のコーラスが要所要所に挿入されることにも現れている。

 楽曲のタイトルは過去の彼らの楽曲『Smile』での“発狂的”な曲展開の中繰り返し叫ばれる「クタバレニンゲンドモ」のフレーズから取られている。当時のヤケクソな時期のヤケクソなフレーズを踏まえ、しかし当時のヤケクソさを全消しにはせずにこのような形に昇華するところに今作の“再放送”の気概が見て取れる。

 

4.ぼくのともだち

 前曲からこの曲への流れが、今作で個人的に最も好きな部分。

 前曲の突き抜け感からまた随分と印象の変わる、まったりとナイーヴなコード感。ドラムのブレイク具合も含めて、ちょっとThe Beatles的というか、かつてthe pillowsが『HAPPY BIVOUAC』でUSオルタナ風のスタイルを完成させるまでにしばしば覗いていたUKギターポップ風の手触りがここにはある。

 ぼんやりと、のんびりと暗い感覚(暗いのは歌詞のせいでもある)がどんどん引き延ばされていく感覚は、個人的にはこれだけでもとても好きな感覚だけども、しかしながらこの曲は突如、意外な程のグランジ展開をする。それまでのメロウさを吹き飛ばす、NIRVANA直系の2コードゴリゴリのリフに至っては、ええっ、この曲のこれまでからなんでこんな要素が出てくる!?と驚きあきれて笑ってしまうまである。

 一度ブチ上がった熱はもとの曲調の間奏になっても収まりきらず、エモーショナルなオクターブ奏法のギターソロの後に破裂寸前といった具合で穏やかな方のサビに辿り着き、そしてやっぱり最後にグランジ展開。今度はヘヴィなリフに混じって随分とフリーキーでみっともないギターソロが聴こえて、随分とグチャグチャをやってみせる。

 結局この楽曲の極端な曲調の分離は、しかしともすれば平坦なパワーポップ集になりかねないthe pillowsのアルバムという概念に、その周縁からダブルで突っ込む、the pillows的にはより極端なアプローチの楽曲として、アルバム中で前曲に劣らない「なんだったんだ…」感を残す。この奇妙な尖り具合がとてもたまらない。さわお氏の具体的な知り合いに語りかける歌詞といい、さわお氏本人が元々ライブ会場限定リリースのこの曲のアルバム収録を強く望んだのもなんとなく分かる、彼の人となりがざらりと表出した快心の1曲だと思う。

 

5.箱庭のアクト

 割とずっしりした前2曲の余韻をさっぱりとさせるような、爽やかなパワーポップ。イントロもそこそこにすぐ歌が始まり、かなりコンパクトなメロディの切り替えで、サビもBメロともサビともつかない展開*9で、そのあっさり具合はむしろこの曲固有の個性となっている(というか前後の楽曲が濃いためにこの曲のさらりとした感じが強調されてる)。

 さらっとした中でも、小技が利いているなあと思うのは楽曲のコード感。前曲のUK風味をやや引き継いだ、はっきり陽性とも陰性とも言わせない具合のコード感がまた、濃い楽曲の間で涼しさを感じさせる。細かいメロディ切り替えや最後のサビの仕掛け等、ほんのりドラマチックにするアレンジも手慣れすぎた位のもの。

 

6.眩しい闇のメロディー

 タイトルが正直こっ恥ずかしい…のを気にしなければ、まさにthe pillowsらしい気合いの入り方がした“気合い入ってるときのthe pillowsの曲”といった具合。つまり今作での“名曲枠”か。

 どっしりしたテンポ、メロウなメロディ・コード進行、程よく歪みながらやんわりとフレーズになるギター等、the pillows印のアレンジが隅々に行き渡り、そしてサビで何の衒いも無く「ベイベー!」と歌い上げる様は濃厚なthe pillowsっぷり。『One Life』『スケアクロウ』と同じ方向のどっしり感は、特に間奏直前のシャウトがエモく、そして間奏が短くすぐにBメロに帰着するところに歌の存在感の大きさが出てくる。

 ともかくサビのベイベー!をどう響かすか、ということに拘ったアレンジのような気がした。最後のリフレインの終わりの消え入るような喘ぎ方が特にエモみが高い。

 この曲、the pillows王道バラードとしては、10年程前に作られてからずっと収録に至らず、ようやく今回日の目を見たとのこと。インタビューにて「結果的に今まで僕の“心のオーディション”で「Brilliant Crown」「持ち主のないギター」「ムーンダスト」に負けてきた」と、何の曲と較べた結果お蔵入りになってきたか、というのをアーティスト自身が話しているのは単純に珍しい光景で、とても興味深い*10

 

7.Bye Bye Me

 これまた見事にthe pillows節な陽性パワーポップ。今作全体に言えることだけども、ギターの音が00年前後、つまり『フリクリ』で最も音源が沢山使われた『HAPPY BIVOUAC』及びその直後のシングル『Ride on Shooting Star』辺りを思わせるジャリジャリ具合なのが嬉しく、その意味ではこの曲の平熱オルタナ具合が、穏やかながら当時の演奏の土っぽさなどを感じさせて、何気に熱い一曲。サビは同じフレーズの繰り返しで歌詞も少ないけれども。アルバムタイトルがここでも顔を出すのが、サウンドの仕様とも相俟って気が利いてて良い。

 やはりこの曲も位置がいい。前後がまさにこのアルバム後半の重みを担う曲なので、この曲のふんわりしていて、真剣でも邪悪でも荒涼でもなく、でも音としてはとても長閑にオルタナしている風情がとても具合良くハマる*11

 

8.Starry fandango

 アルバム終盤の重みを担う、荒涼とした楽曲。いきなり鳴り始めるチープな電子音にある程度のファンなら誰でも「『Thank you,my twilight』だ…」って思うはず。しかし、ループのうち鳴り始める位置がずらしてあるため、演奏が始まってから「あっそう重なるのか…」という軽い意外性があるのが巧い*12

 『Thank you〜』をやはり意識してのことなのか、この曲についてはギターが、ギターソロ以外では殆どフレーズを弾かない。ひたすら歪んだ音でコードをかき鳴らし、しかしそれ(と電子音のリフ)だけで心地よい荒涼感を醸し出すのは、ソングライティング時点でのコード感の妙と言える。ジャリジャリした音の反響だけなのに心地よく響かせるのは少しNeil Young的かもしれない。

 こんなにどっしりした楽曲なのに、尺が4分に余裕で届かない程度に収まっているのはとても驚異的なことだと思った。確かに『Thank you〜』程には重たくも壮絶でもない楽曲だとは思うけれど、考察は脚注にてする*13として、この程よい重量感はアルバムのこの位置ということも踏まえてとても渋い。。。

 

9.BOON BOON ROCK

 今作で最も軽快なロックンロール楽曲。ちょっと気恥ずかしくなるくらいに無邪気で爽やかに流れていく楽曲は彼らが『I Know You』以降時々出す類の“やや気恥ずかしい系”のパンキッシュさだけども、しかしながら上記の曲が入った『ペナルティーライフ』からでも既に15年、こういう曲「も」演り続けて年季が入ったそれは、特に過去への目配りの利いた今作においては作り込み方により力が入っている。

 作り込まれたBメロからのサビで突如登場する「ローファイボーイ、ファイターガール」のフレーズに驚く。アルバム『GOOD DREAM』で登場した楽曲のタイトルをサビに入れ込む様に「えっそのフレーズってそんな大事なやつだったの…?」と不思議な感じになりながらも、そういえば『ローファイボーイ〜』もこういう系の楽曲だったな…とか懐かしくなったりすると向こうの思うつぼかも。

 歌詞の世界観的に「自分たちと一緒に成長した孤独なバスターズ達に捧げる」系の楽曲で間違いない。それにしても「吠えるギター爆音でBOON!BOON!BOON!」という世界観をこの歳でも恥じらわずにやり続けられる氏の強さがすごい。何気に歌詞で読むと苦渋のフレーズも所々紛れ込んでいる上で、この中二なフレーズなのだから、やはりこれは強さなんだと思う。

 一番驚きなのは、このいかにも軽快な曲でアルバムが終わらないところ。

 

10.Before going to bed

 the pillowsのアルバムで最後が軽快な曲じゃないなんて…!という何気にアルバム中一番の驚きどころな楽曲。ラストが英詩曲という方は守ってるけども。

 ずんだれたギターリフ、ずんだれたビート、アルバム一ローファイな楽曲は、だらしなく身を引き摺るように進行する。しかしながら荒涼した風ではなく、オルタナおじさんのダサかっこよさ、みたいなものを純粋培養したかのようなけだるさとスマッシュさを、実にダラダラとしたテンポで放っている。

 これがどんだけビックリか。the pillowsのアルバムは、ラストが軽い曲でなければむしろ重い曲が来がちだった。『確かめに行こう』然り、『Sweet Baggy Days』然り。この曲は、軽い曲でも重い曲でもない。いや別に全然あり得ることだけど、the pillowsでこうやって出てくると、おおお、パターン打ち破っちゃった…という驚きがひとしお。

 そしてこの曲の終わり方がまた、とてもだらしない。元々フェードアウトさせる予定だったのが、演奏が尻切れトンボになっているのを面白がったらしく、「えっそんなんでいいの!?」っていう終わり方をする。

 今作のthe pillowsのしたたかさを最も象徴する楽曲、なのかもしれない。

 

 以上10曲39分。全体の尺的にはthe pillowsの平均的な尺か*14。近年は10曲のアルバムばかり出してますね。

 エイベックスを離れて自主レーベルに移行してからの作品はボーカルのダブルトラック等の使用が減っているけれど、今作では遂に2曲目以外は多少のコーラスはあってもシングルボーカルで貫き通す。かつてthe pillowsサウンドの特徴のひとつだったダブルトラックの多用は大分過去のものとなってた*15

 今作の良さは、雑に言ってしまえばやはり単純に「曲の平均点が高い」。過去のアルバムに必ず1曲あるような「今回はこの曲に命懸けてきてるな…」みたいなのが『Moondust』を最後に無くなってる気がするけども、その点今回は『眩しい闇のメロディ』でデッドストックを回収しつつ、そこを山場にし過ぎない、全体的に快適な緩急で聴かせて、それでも所々に重量感のあるバランスになっているように感じる(やはり曲順が心地よいんだと思う)。

 アルバムの流れで言うと、やはり『ニンゲンドモ』の存在感がとても利いてる。このthe pillowsの王道を華麗に避けた新機軸がここにあることで、他のthe pillows印の楽曲群が映えるし、なによりその次の曲である『ぼくのともだち』の極端さがまた活かされているように思う。

 音についても、本人曰く「とても久しぶりにフリクリに関わって、その当時の楽曲を聴き返して良さを感じたから」といった理由で、彼らが最もオルタナ的なサウンドをした『HAPPY BIVOUAC』前後の時期に近いサウンドになっている。ジャリジャリとして、歪み過ぎもせず軽すぎもせず、身体に心地よいドライブ感をトーン自体が持っているような、そんな音色が、今作はあちこちに満ちている。

 最後に、このアルバムの数少ない欠点のひとつは、最新の『フリクリ』サントラに収録された2つのフリクリの主題歌になった新曲、特に『Star overhead』が収録されていないことか。いや曲のタイプ的に、割とジャリッとした今作に入ったらまず浮くと思うんだけれども、しかしながらあの曲は本当に、近年のthe pillowsでもトップクラスにグッと来る楽曲だったなあ。特に曲で聴いたら響きや意味が軽快に心地よいのに、文章で読むと中々に暗い感じの歌詞とか。

*1:収録シングルのクオリティが高すぎるし、結果的にこのアルバムっぽい作風ってこのアルバムにしかないし、意外とそういう点で貴重なアルバムと思う

*2:「(元の言葉の意味どおりでなく、スタイルとしての90年代オルタナを想定した上での)オルタナティブロックとはどういうものですか?」という問いにスパッと答えられるアルバムのひとつだと思います

*3:このアルバムの結構思い切った録音方針(ギターを真鍋さんが全部録音する、シンセを多用する、とか)がかなり好きだったので、近年のフリクリ再録の際にさわお氏本人から「特に『Thank you〜』の頃の作品はスケジュール等の都合もあって満足な録音じゃなかったから、今回再録できて嬉しい」みたいなことを言ってたのはなんか、本人的にはそうかもだけど、ちょっと寂しかった

*4:これが出たときも今回と同じくらい衝撃が大きかった。最近では「the pillowsの歴史上でもとりわけダークで、そして山中ソロ的なエモーショナル度合いの高いアルバム」という位置づけになっている模様

*5:合唱系パワーポップ『RUNNERS HIGH』や、ざらりと疾走する『トライアル』、軽快すぎる『Stroll and roll』などの例外もあります

*6:歌詞のフレーズなら過去にもしばしば虹がどうとか飛行船とかカメレオンがーとか言ってたような…

*7:『HAPPY BIVOUAC』はモロにそうじゃん!と言われると困る…

*8:過去にも『Skin Heaven』など似たようなスタイルの曲もあるけれども、奇妙さを押し出した過去の分に較べると、この楽曲でのスタイルはよりサバサバとしている印象があり、効果の程が違うなと思う

*9:こういう展開で思いつくのがスピッツの『醒めない』の数曲。『雪風』も『みなと』もこういう感じの、サビっぽくないサビだったなあと。Bメロとも、ブリッジとも言いづらくて不思議な立ち位置

*10:確かにこの辺の「アルバム一の大曲として機能しますよウチら」感のある楽曲に較べるとこの曲はそこまでではない感じもあるかもね…とか思ったり

*11:他のアルバムで言うなら『Thank you,my twilight』の前に来る『ウィノナ』とかと同じような安心感があってとてもいい

*12:ピロウズは時々こういうズラしを使う。The Kinksの初期のリフのズラし方とかを意識したものかと思われる

*13:思うに、この曲ははじめから「アルバムラスト前の、アルバム中最高の名曲」として作られていない感じがするんです。それは近年のthe pillowsがそういう展開を『Moondust』を最後に、回避し続けている事情がある。確かにアルバムで毎回毎回、ラスト前に最大の山場を置くというのは、1作のロマンチックさでは良くても、数作続けばマンネリに陥りかねない危うさがある。the pillowsというバンドはそういったややメタい部分自体に敏感であることが、その特質のひとつだと思う。しかしながら、この曲の後の2曲のある程度の軽さを思うと、この辺りに重しを付けておくことはアルバムの流れとしてとても理に叶っているし、何よりドラマチックだ。その辺のコントロールの範疇でこの曲が作られ、ここに置かれたのだとすれば、やはりthe pillowsというバンドはアルバムの曲順というものについて、徹底してコントロールフリークなんだなーと思える

*14:ってか前作『NOOK IN THE BRAIN』って10曲30分しかなかったんだな。短い

*15:かつてのthe pillowsのダブルトラックっぷりは相当なものだと思っていて、特に印象的なのがあんなにエモい『エネルギア』が一部を除いて全てダブルだったりするとか