ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

パワーコードな25曲

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 他のブログの方からブログバトンなるものを貰ったんですが(そっちは後日投稿します)、そのブログバトンの記事で取り上げられてた曲が今回の記事の1曲目だったので、そこで閃いて、今回は演奏の大部分をパワーコードでやってる曲を集めたら25曲くらい集まったので見ていきます。年代順で、最後にSpotifyのプレイリストがあるのはいつもの通りです。

 そもそもパワーコードとは何か?これはギターの弦を2本ないし3本だけ決まった形で押さえて弾くとなんか明るいとも暗いともつかない、なんか無骨な感じの割と太い感じの音が鳴る演奏方法です。こういう感じで押さえます。押さえやすいです。

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メジャーコードもしくはマイナーコードの第3音を省略し、それにより音の濁りが少なくなるため純粋かつ力強い音を醸し出す事が出来る。また、オクターブを加える場合もある。

    Wikipedia-パワーコード

 

 パワーコードがどういうものか知ってる人はその上で、知らない人は各曲を見てて「あっこういう演奏のやつのことか」ってなれば幸いです。あと例によって自分が聴いてるジャンルに偏りがあるので、特にヘヴィロック・ヘヴィメタルスクリーモ等は全然分からないので、その辺申し訳ありません。とはいえ、パンクからヘヴィなのまで、速いのから遅いのまで取り揃えました。

 

1. You Really Got Me / The Kinks(1964年)

www.youtube.com パワーコードをリフにして歌を乗せた曲として有名になったものではおそらく世界初なこの曲。この曲からロックのパワーコードの歴史が始まったらしい。ノーベルロック賞的なのが遡って獲れそうなやつ。

 始祖と言っても、どうしてもこの1964年という時代の録音なため、なかなかこのあと数十年分の楽曲と並べて聴くとどうしても迫力不足はあるけれど、それでも当時としては、「ギターを歪ませてパワーコードで弾いて、そこにキャッチーに歌を乗せる」というのは非常に画期的だったという。その「リフだけで楽曲をやりきる」方法論は後にハードロックやヘヴィメタルといったリフ重視のジャンルに繋がり、また他方で、シンプルで無骨な演奏方法とそれに反したキャッチーさは後のパンクに、そしてそのパワーコードを大雑把なリズムで反復させる手法は後のグランジに直結する。元がシンプルだから何にでも結びつけられるだけなのかもだけど。

 それにしても、この単純に2音を反復するだけのリフがちょっと上がり下がりするだけの演奏に、これだけキャッチーなフレーズやコーラスを付けたのは、永遠にRay Davisの功績だと思う。

 

2. I Wanna Be Your Dog / The Stooges(1969年)

www.youtube.com 同じ1960年代でも時がこう下ると、The Kinksが発明した方法論はその単純さおよび破壊的な感じゆえに、メインストリーム以上に、ガレージロックバンドたちの間で大きな影響力が出てきた。よりギターの音を汚く歪ませる方法も生み出され、そしてこの曲のような、パワーコードだけで不穏で破滅的な雰囲気を作り出す手法が編み出された。

 Iggy PopのボーカルはThe Stoogesの場合は突出しすぎてない感じがある。むしろ粗雑な音やルーズなビートからそのカビ臭い雰囲気が伝わるのによく合った声、という感じがする。録音で聴くからそう思うだけで、実際に当時のライブとか見たら凄いのかもだけども。でも、ギターリフが切り替わるところで歌が止んで、そして放たれる感じは原始的なキャッチーさがある。この闇な感じをもっと抑圧的にやったらそのままポストパンクになりそうな雰囲気もあって、パンク以降に再評価されるのは当然といった様相が備わっている。

 

3. Into The Void / Black Sabbath(1971年)

www.youtube.com Cream等による1960年代後半のイギリスでのブルースブームはなんか、大元のブルースよりもよりハードでおどろおどろしい感じがする。それはその時期が同時にサイケデリックムーブメントと並行していたからなのか。それは一方でLed Zeppelin的方向でハードロックを生み、他方ではよりドロドロしたものとしてBlack Sabbathなどに継承されていくものがある。

 パワーコードの特徴は何より押さえ方のシンプルさ。ギターを歪ませた上で最低2本の弦を押さえて弾けば何か太い音が出る。Tony Iommiはその仕組みを運指の執拗なスライド反復でおどろおどろしいリフを量産することに利用し、さらにはギターの弦の張りを緩めることで、低く淀んだ音を生み出すことに成功した*1

 彼はヘヴィメタルの元祖を作っただけでなく、本来太くはっきりしてるはずのパワーコードを、どこまでもドロドロした邪悪なリフを弾く武器に昇華した。それは時代が下って、90年代のグランジやヘヴィロックにより直結する要素となった。この曲のゆっくりととぐろを巻くかのようなギターリフの、ダーティさを超えてひどく怪しく、退廃し爛れきった気配を感じさせる様は見事なもの。一度だけ楽曲が加速してる間も、突き抜ける感じというよりもむしろ重苦しさを感じさせ、時代的に音の味付けは少ないのに、十分に漆黒めいた雰囲気を感じさせてくれる。

 

4. Highway Star / Deep Purple(1972年)

www.youtube.com 今回は王道から逃げない、のでこの曲も取り上げます。Black Sabbathが闇のロックなら、その反動でこっちは光のロックなのか…?そういえば間奏のオルガンソロもクラシックっぽい感じがするし。

 ある種のハードロックが持つ、パワフルな直進性。それは、パワーコードの持つ無骨な性質がひたすら真っ直ぐなビートに乗ることで生じる。所々でキメ的にリズムと合わせてリフを決めるのがポイント。そのハードロック的なストイックさはスポーツ的な爽やかさがあり、またそのストイックさから解放されるギターソロの場面が強調される。歌のバックでは淡々とバッキングに徹し、間奏で技巧を華々しく開陳する、そんなハードロックの様式美が、この曲にはすでに十二分に備わっている。

 

5. Chain Saw / Ramones(1976年)

www.youtube.com 1970年代って忙しい。ハードロック・プログレ・SSWってしてたら、すぐに次はパンクの出番が来てしまう。この曲、上の曲とのギャップが激しすぎる。ギターソロ?何それ?っていう。

 Ramoneの行うパンクミュージックはしかし、Sex Pistols以降のロンドンパンク勢と比べると遥かに抑制的というか、むしろこれはこれでとてもストイックなサウンドに満ちていると思う。バックの演奏はほぼパワーコードのみで、少しでも複雑な感じのするビートは選ばずにひたすら8ビートで、ベタッとしたパワーコードバッキングとリズムと歌とコーラスだけで、どこまで曲を書いてロックンロールしていくことができるか、という縛りプレイみたいに見えてしまう時がある。

 でも彼らの楽曲にストイシズムの厳粛さみたいなものがこれっぽっちも感じられないのは、彼らが目指す「ストレートなロックンロール」の中に、何故だかオールディーズのポップス群が含まれているから。彼らに限らず、Phil Spectorの楽曲とかはなんかポップスのはずなのにロックンロールクラシックとして扱われてる感じがある。でも、そういうポップス的なコーラスワークが実はパンクによく合う、というのもRamonesの「発明」のひとつで、この楽曲は冒頭からそのフラフラした声で実に妙なキャッチーさを醸し出している。

 あと、Ramonesからの選曲をこの曲にしたのは、タイトルがチェンソーだったからです。

 

6. Lowdown / Wire(1977年)

www.youtube.com 斯くしてNY発のパンクの潮流はロンドンにて派手に花開き、Sex Pistolsを先頭とする一大パンクブームがイギリス中に巻き起こる。Sex Pistolsのアルバムは1977年10月リリースだけど、でもその2ヶ月後にはすでに典型的なポストパンク的スカスカなダークさを有したこのアルバムがリリースされてる。このアルバム登場早すぎる…。

 Wireが自分たちの志向を「ロックでなければなんでもいい」と言ったことは有名だけど、彼らが楽器演奏初心者の状態で作ったという今作には、ギター初心者の武器であるところのパワーコードを実に無機的に、実に冷たく鳴らす楽曲ばかりが揃っている。その機械的サウンドの人力加減こそが今作の魅力だと思うので、やはり技術よりもセンス重視なパンク/ポストパンク的な出来事なんだなと。

 特にこの曲の、気力ゼロで反復され続けるパワーコードの響きはけだるくも心細くて、特に、これより前の似たようなロック(Velvet Undergroundとかの系統)には存在してた妖艶さみたいなのが一切感じられないところが、彼らの目論見が実に的確に実を結んでいるんだと思わされる。

 

7. Shadowplay / Joy Division(1979年)

www.youtube.com Joy Divisionの1stに特によく見られるBernard Sumnerのギタープレイは、簡単なことしかしていないはずなのに、楽曲の漆黒の中でよく炸裂し、ヒステリックさを素晴らしく撒き散らしていて、このギタープレイに感銘を受ける人はとても多い。リバーブ感やミックスが素晴らしいこともその高評価の理由だと思われるので、これはミキシングを担当したMartin Hannettのおかげなんじゃないか?とも思ったりして。

 特にこの、ニューウェーブ的疾走感と緊張感に満ちた楽曲において、その単純明快なパワーコードのプレイは実に効果的に、ダークな歌の後ろで的確に心細い音圧と破裂感とを楽曲に添える。楽曲がマイナー調であることは間違い無いけど、それを普通にマイナーコードで弾くと湿った感じがするところを、パワーコードの無骨さが、まさに的確に、乾いた空白の感じを楽曲に生み出している。Joy Divisionのこういうタイプの楽曲は特に、メンバー4人の誰が欠けても成立しない、という不思議なバランスがある。

 

8. Highway To Hell / AC/DC(1979年)

www.youtube.com Ramonesが有していたストイックさに近いものを持っていたのは、他のバンドではAC/DCかもしれない。ともかくそのサウンドの純度。少しでも純度を下げそうな要素は取り入れず、ひたすらミドルテンポの8ビートとパワーコードのギターリフだけでキャッチーな楽曲を量産していくその様と、ストイシズムの厳粛さを微塵も感じさせない点などもRamonesと共通するところ。バカを貫き通すにはストイックさが必要なんだなということなのか。

 この曲はそれにしても、いい具合に昔のハードロック的なもっさりしたノリが出ている。サビの合唱がよく効いているのか、Rolling StonesとかNew York Dollsとかにも通じるようなルーズでウェットなノリが感じられる。この曲が入ってるアルバムがギリギリ1970年代だからそういうノリが残ってるように感じれるのか。このあと死別によるメンバーチェンジが起こるからなのか。でもこの曲のシンプルな伴奏をバックに楽しそうにみんなでタイトルコールしてるのを聴くと、ロックってこれだけで全然成立する音楽かもしれんなって思ってしまう。

 

9. Protest and Survive / Discharge(1982年)

www.youtube.com パワーコードの演奏の簡単さは、その分楽曲に速度をもたらすことができる。それがデスメタルとして現れようとも、ハードコアとして現れようとも、その際のパワーコードの響きが歪んでグチャグチャな感じなのは共通だと思う。なので、ハードコアの元祖たるこのバンドのリフもそのように、高速だけども重く鈍くかき鳴らされる。

 もはやメロディを失い、楽曲の勢いに乗ってわめき散らすのが初期のハードコアのスタイル。その方法論で彼らは2分前後程度の楽曲を量産し、曲数の割に高速でアルバムは進行していく。この曲もひたすら鈍重なパワーコードのリフを引きずり倒し、訴えかけるようなボーカルが楽曲にメロディよりも勢いとメッセージとを添える。楽曲の終わり方がとても呆気ないのも含めて、実に無骨に駆け抜けていく。彼らの場合、意外と間奏で聞かせるギターソロが相当にテクニカルなプレイになっていて、こうなるとデスメタルとの違いが少し曖昧になる。

 

10. Head On / The Jesus & Marry Chain(1989年)

www.youtube.com 1stではシューゲイザーの先駆者となり、2ndでは内省的なギターロックをしていた彼らも、3rdアルバムでは急にベタなロックンロールに腰を据えて取り組み出し、ドラムがいないのをそのままドラムマシンで代用し続け、太い音をしたパワーコードを鳴らすことに拘り倒した。その結果、彼らなりのスタジアムロックとでも言えそうな、ポップでワイルドな楽曲がいくつか完成した。その中でもこの曲は最もパワフルでキャッチーなもののひとつ。

 この時代の打ち込みドラム特有のスネア連打フィルインのやけっぱちさがなんか清々しくていい。そしてこの辺からだんだん露呈してくる、彼らも3コードでしか曲を書かない縛りがあるかのような一本槍な作曲手法も、この曲ではそのどストレートを見事に楽曲化できていて、ああ、こういう曲を量産するようになったらこのバンドは終わりだな、でもこの曲は抗いがたいキャッチーさに満ちてるな、っていう感じの魅力がある。パワーコードを強引にスライドさせてロックンロール的なリフを作ったりするのは余裕たっぷりという感じ。

 

11. Smells Like Teen Spirit / Nirvana(1991年)

www.youtube.com 今回のプレイリストで最も有名な曲のひとつ。Nirvanaは他に選びたい曲がいくつかあったけど、でもやっぱりこれを避けるわけにはいかない。

 この曲でKurt Cobainの才能が世界に叩きつけたことは、4つのコードを循環させるだけで魅力的なメロディは書けるし、そこにバンドの破壊的なパワーが乗れば楽曲は実に強靭なものになる、という、典型的なグランジの方程式だった。このスタイルは特にドラムに技術が十分にあれば、あとはある程度の運動能力でもって、誰彼が持つナイーヴな憂鬱さとバイオレンスさを思うがままに引き出すことができる、魔法のような手法だった。その手軽さに多くの人々がこの曲の後に続こうとし、そして誰もが、Kurtのように素晴らしい声とメロディセンスを持っていなくて、Dave Grohlのようにパワフルではなかったことを知らされる。

 この曲はそうやって多くのフォローワーを傷つけ、しかしながらその負の勢いのはずが観客にスポーツ的な興奮として消費され続けることによって作曲者本人をも傷つけた。実にグチャグチャで陰惨な歌詞、無骨な4つのコード、破壊力に満ちるギリギリのところでメロディが通るセンス、謎にチアガールが踊り続けるPV、それらが奇跡的に合わさった、否定しようのない永遠の名曲だけれども。

 

12. Basket Case / Green Day(1994年)

www.youtube.com Kurt Cobainが死んで伝説になってしまってグランジが終わりゆく年に、新たに二つのパワーコード・ミュージックが生まれたことは不思議な巡り合わせを感じる。ひとつは次に挙げるパワーポップのことで、いまひとつは今から触れるメロコアのこと。

 自分は日本の青春パンクをやがてヘイトするような方向の音楽遍歴を歩むこととなったので、そのついでにメロコアというジャンル自体に心の底から共振できる魂を失ってしまっているのだけれど、でもたとえばこの曲の若さと爽やかさとバカさと躍動感に満ちた有様を見たり聴いたりすると、The Whoの初期のポップな曲をより洗練させるとこういう風になるのかな、とも思えるし、そんな難しいことを考えずとも、自分がもっと運動神経があって身体も精神も健康であれば、この曲や他のメロコアの曲を大事にして他の人と共有してうまくいく未来があったかもしれない。別に今の自分の不健康さがそこまで死ぬほど嫌いなわけじゃないから、こんな過程無意味だけども。

 ともかく、こういうのを聴いて当時の若者が興奮しまくるのはそれでもよく分かるし、そして実際こういう風に興奮できる曲が、いつの時代の若者にも必要なのかもしれない。最初のサビ後のブレイクで刻まれるシンプルなパワーコードのリフ、これ以上音楽に何が必要なんだ?この曲は常にそう問いかけてくる。

 

13. Buddy Holly / Weezer(1994年)

www.youtube.com 陽キャ陰キャの2分論が好きじゃないので、上を陽キャでこれを陰キャとする話にはしたくない。でも仕方ない、この曲が含まれる1stアルバムの時点でRivers Cuomoは自身の熱烈なハードロック好きを完全に封印し、ひたすらナードな地点に自身のポジションを定めた。なので、その他いろんなこともあって、いつしかパワーポップはナードの音楽、ということになった。

 後世の様々なバンドが演奏する典型的なパワーポップに比べると、マイナーコードから始まるこの曲の荒涼とした歌い出しは、その伴奏がパワーコード敷き詰めだとは思わせないほどの哀愁が漂っている。これがサビでメジャー調に移り変わり、ポップにメロディのケリをつけ、そして感想ではちょっとばかり「イケてる若者」風にはしゃいで見せる。僅か2分40秒程度に無駄なく仕込まれた数々の仕掛けが、この曲にパワーポップのパイオニアにして後世の山ほどのパワーポップの中でも埋もれないほどの存在感を持たせている。

 その上で、この曲が示唆する特に重要な点は、メロディと歌が良ければ、2本のギター両方ともがパワーコードをどっしり弾くのもそれはそれで中々格好いい、ということだと思う。この曲のようにいつでも上手くきまるものでもないとは思うけど。

 

14. 見えないものを見ようとする誤解 全て誤解だ / BUCK-TICK(1995年)

www.youtube.com この前までずっとアメリカかイギリスの音楽だったけど、ここからは日本の曲も入ります。日本におけるパワーコードの受容は、1980年代以降のことなのかなとなんとなく思う。RCサクセションの『雨上がりの夜空に』でパワーコードのハードロックがヒット曲として成立して、アングラで多くのパンクバンド等が活躍して、BOOWYとかTHE BLUE HEARTSなんかも出てきて、といった裏で、ヴィジュアル系がヘヴィメタをひとつの重要な原点として始まっていったことも重要だったんだと思う。ヘヴィネスとゴスというヴィジュアル系ルーツの2大要素をどのように組み立てるかが、90年代ヴィジュアル系バンドが当初挑戦し続けた大きなテーマだったとすれば、そこでバンドサウンドをジャックナイフ的に鍛え上げたLUNA SEAとは異なる方向性で自信をビルドしたのがBUCK-TICKなんだと思う。このブログで初めて触れるけど間違ったこと言ってないか不安…。

 熱心なファンの方の記事などを読んでると、とりわけ1995年の『six/nine』というアルバムの評価が高く、聴くと、確かにそのヘヴィネスにゴリゴリと寄りながらも、自身の出自から来るゴスさを自在に毒々しく狂気的な雰囲気に転化させる手際が物凄いと思わせる。音質的にも90年代前後の作品よりも遥かに現代的になり、かつ今の耳で聴いてもその巧みなヘヴィネスの展開の仕方がエキサイティングに聴こえる。なるほど…。

 この曲は、そんなヘヴィネスゴリゴリのアルバムの中で唯一、クランチの音でパワーコードを無骨に鳴らしている曲。でもそのリズムゆえか、インダストリアルノイズや少し変則的なリズムと合わせて聴くと、これは意外とダンス音楽的に思える。引き攣ったダンスが生じてくるようなカクカクしたファンクな感じと、サビで時空が少し歪むかのような感じのサウンドが、比較的地味なメロディ展開を実に妖艶なものにしてる。この曲の落ち着いていてかつ吸い込まれるようなゴスな感じは、徹底した美学と手法とが合わさって、中々他に似たようなものが思いつかない。

 これからちゃんとBUCK-TICKしっかりと聴かなきゃ、と思いました。

 

15. You May Know Him / Cat Power(1998年)

www.youtube.com パワーコードは、普通は歪ませたエレキギターで弾くものであって、アコギで弾くものではないように思われる。アコギで弦3本だけ鳴らすと音数的にボソボソした感じになって、アコギ的なフォーキーな煌びやかさが出なくて、普通はそれをあえて選ぼうと思わない。だけど、たまにそのエレキギターよりも無骨な響きのするアコギのパワーコードを選択する人がいる。Cat Powerもそのひとり。より分かりやすくパワーコードをリフレインさせる『Free』は他の記事で取り上げたので、今回はこっち。

 こちらもまた、アコギのボソボソしたパワーコードでコードを4つ弾き、それを延々と繰り返す形式の弾き語りとなっており、歌とパワーコードしか鳴っていない。なんて寂しい音数…。だけど不思議と普通の弾き語りと遜色なく聴けるのは、ソングライティングが魅力的だからか。それもあるけれど、Cat Powerのハスキーで細い声自体が。全体的に心細げな感じがして、それがボソボソしたアコギの音によく合っているんだと思った。ボソボソしたはずのアコギが何かのミスか時々煌めいた音を出す時、その寂しい空間がちょっとだけキラリと光ったかのような、そんな風情があって、心地よい。

 

16. ジェット ジェネレーション / ギターウルフ(1999年)

www.youtube.com ロックンロールの純化というバカな命題のためにひたすらストイックな道を貫く人たちがここにも。彼らの純化されすぎたガレージロックサウンドに比べると、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTが凄く多彩な楽曲とサウンドのバンドに思えてくる。別にどっちがいいとかの話ではなく、目指してるものも聴いた印象も違うという話。

 パワーコードは歪みの粒を揃えて演奏すると実に均一な、のっぺりした音の壁的に活用することができるけど、セイジのギタープレイはその真逆で、ジャリジャリのギターサウンドを、感情任せと言うよりも、自分の信じる「ロックンロール」任せに弾き倒しまくる。その計算されたがむしゃら感が、特に彼らの曲でもポップな方であるこの曲においてはロンドンパンク的なスマートさすら獲得していてちょっと笑う。歌詞の意味不明さや、メジャーレーベル所属(!)による潤沢な予算で作られたであろうアホすぎるPVの面白さが、でもきちんとこの曲のポップな勢いに寄与してるんだから面白い。

 一度ライブでこの曲の演奏を観れたけど、まあすごかった。一生これでドライブしていく、と決めた人たちの強さとそれゆえの突き抜けた楽しさがあった。

 

17. シェリーに口づけ / Pizzicato Five(2000年)

www.nicovideo.jp これは今回の中でもとりわけヘンテコなものかも。Pizzicato Fiveが『シェリーに口づけ』をカバーする、ここまでは全然わかる。リミックスアルバム『REMIXES 2000』に収録されたこの曲のバージョンが何故かメロコア風味なギターやリズムになっているのが問題。もしかしたら当時全盛期だったHi-STANDARDが様々な昔のポップソングをメロコア調でカバーしてたことに対する邪な模倣かも。

 いやでも、この曲相当好きなんで今回リストに入れてしまった。いざとなったらこれくらいべったりしたパワーコードゴリゴリのアレンジも用意してますよ(笑)という感じの小西康陽という人の嫌らしいとこ全開で、しかもそれが実にポップにハマりまくっているから笑ってしまう。しかも、こんなアレンジなのにいつものピチカート的なお洒落なトランペット等は普通に付属するのが面白い。意外とメロコアとトランペットは合うのかもしれないと、パワーコードでリズム半分のありがちな間奏の上で鳴るトランペットに不思議な哀愁を覚えながら思ったりする。

 そして、この曲だけSpotifyに存在しないので今回のプレイリストに入ってないです。早くサブスク全面解禁しないかな。。

 

18. Sweetness / Jimmy Eat World(2001年)

www.youtube.com エモというジャンルをメジャーシーンに押し上げた功労者バンドの、その功労を成し遂げた楽曲。ナード的なナイーヴさがメロディとして美しく飛翔し、パワーコードの激しいドライブ感によって躍動するこの楽曲は、エモというジャンルのひとつの記念碑的なものにすらなってるのかもしれない。

 元々エモというジャンルはハードコアからの派生で、初期はもっとドロドロした具合があったと思われるけど、他のハードコア派生でスロウコアなどのサブジャンルが生まれていく中で、より純情風味でナイーヴな感情を歌い上げることがエモバンドの大きな役割となった。アルバム『Clarity』で頭角を現した彼らは、そこからパワーコードのゴリゴリさをより抽出したアルバム『Bleed American』でスターダムにのし上がる。その中でもとりわけメロディアスに高揚し、前作のキラキラ要素も少し残した上で、パワーコードの箇所では徹底して爽快感の放出に努めたこの楽曲に、青春の像を重ねた人たちは世界中にたくさんいるんだと思う。『Lucky Denver Mint』の方が遥かに好きだなんて下手には言えない。

 

19. ゴスロリちゃん綱渡りから落下す / 特撮(2001年)

www.youtube.com 筋肉少女帯の活動を凍結させた大槻ケンヂがその後始めたバンド・特撮は、COALTAR OF THE DEEPERSNARASAKIの弾くヘヴィなギターを中心としたハードコアサウンドに、初期筋少以来の三柴理のピアノが絡む中をオーケンオーケンする、という音楽スタイルで、活動開始からわずか2年で3枚ものアルバムを製作した。この3枚はどれも閃きと勢いが炸裂しまくる作品となっている。1stが1番ハードコア色が強いけど、他2枚も十分にゴリゴリしていて、その分ピアノの出番が増えて独特さは増している。

 この曲は3枚目のアルバム『Agitator』に収録。こんな曲名オーケン以外の誰が書くかよ…って感じのタイトルだけど、そんな「可哀想な女の子を作りたがる」オーケンストーリーテラーさとNARASAKIパワーコードゴリゴリ具合とヒロイックさの丁度いい楽曲とが、ここでも上手に噛み合い、特にオーケンの物語性が自在に表出したこの曲は、他のバンドのハードコアな曲では絶対聴けないだろこんなの…、っていう世界観がガッツリと作り込まれている。サビのヒロイックさはオーケンの特性をよく理解した塩梅でベタに格好いいし、そしてパワーコードの箇所が激しいほど、それが途切れる女性ボーカルセクションの儚さが際立つ。特に終盤では、その儚げな女性セクションに這いよるノイジーなギターの様がドリーミーにも感じられて、NARASAKIシューゲイザーな出自も垣間見えて面白い。

 

20. Seven Nation Army / The White Stripes(2003年)

www.youtube.com ガレージロックリバイバルと呼ぶことでやや無理矢理気味にまとめて盛り上げられた2000年代初め頃のムーブメントは、しかし1990年代末のロックサウンドの肥大化・レディメイド化に対する反動としては確かに非常に的を射たものだった。スカスカ具合を哲学するかのようなThe Strokesや、酔いどれスウィンギンロンドンを目指したThe Libertines、はたまた北欧のパワーコードガチガチなロックンロールバンドThe Hives、もしくはオーストラリアのグランジビートルズを交互に演奏するThe Vines、といったメンツは、方向性はバラバラでも確かにみんなバンドサウンドの軽量化、ハンドメイド感の奪還といった主義の点で共通するところがあった。

 The White Stripesもまた、ギターボーカルとドラムという、最小限のサウンドさえ割り込んだような編成にて、しかしながらシンプルで整然としてかつ大胆で豪快で妖艶なサウンドを繰り広げた。Jack Whiteの様々な技巧とアイディア及び声が、それを可能にした。この曲においては、その編成から来るどうしようもない音数不足を全開に活用して、オクターバーか何かのエフェクターにてベース音を出しリフを弾きながら艶やかに歌い、しかしながら構成上の盛り上がるセクションは、そのリフをギターのパワーコードで攻撃的に鳴らすことで形作られる。

 ある意味ではグランジ的手法ではあるけれども、しかしそのオンとオフの付け方はグランジ的な堕落感のあるそれではなく、静パートの張り詰めたような緊張感とそこを打ち破るガジェットという構成は非常に戦略的で、また同時に、パワーコードが生み出す無骨な響きの攻撃的な活用方法がまた増えたような感じがあった。まあこのスタイルだってこの曲だからこそなものであって、彼ら本人でさえこの曲に連なる系統の曲を残してるという感じではない。もっと言えば彼らほど「手を替え品を替え」感のあるバンドもなかなかいないかも。

 

21. Banquet / Bloc Party(2004年)

www.youtube.com ガレージロックリバイバルの後に都合よく組まれたポストパンリバイバルの流れにおいて、Bloc Partyは最重要と言っていいバンドだった。全体的にダンス志向で、どこか享楽的な雰囲気のあったあのブームの中で、彼らはずっとシリアスで、他からバカにされるくらいシリアスだった。でもそれが結果的に、ニューウェーブ的な無音具合による緊張感とダークさとを、ギターロック的なダイナミズムに上手く溶け込ませて、独特の鋭さとロマンチシズムを持ち合わせた楽曲を、少なくともその活動休止までの間、作り続けることができた。

 ここで思うのが、ギターボーカルのkele Okerekeのこと。彼のメロディセンスの攻撃的な部分はとりわけマイナー調の曲で鋭く感じられるが、そういった曲では彼はパワーコードを休符多めにクランチな音で弾き、2000年代でも有数の花形リードギタリストの華麗なトリッキーさの裏でシリアスゆえな重さを醸し出していた。この曲も、リードとリズムで交互にリフを弾きながら、リズムの方は彼ら的なコード進行でAメロに緊張感を付し、そして煌びやかなサビでは歯切れの良い刻みに切り替えて楽曲にキリキリしたドライブ感を添えていく。

 彼らの楽曲の多くから感じられる、明るめな曲であってもフォーキーさをまるで放棄したような、全体的にカクカクしたような感覚は、彼のパワーコードへの拘りが大きく作用している気がしてならない。そんな彼とRussell Lissacのキャッチーな刺々しさを有したギターとのコンビは、2000年代でもDeerhunterと双璧を成す「沢山のインディーロッカーが憧れるギターロック」を形作った。本当はよりパワーコードゴリゴリに徹した『One Month Off』を選曲したかったけどSpotifyに無いのでこっちにした。

 

22. If I Had a Tail / Queens Of the Stone Age(2013年)

www.youtube.com ヘヴィロックにおける鈍重さの表現技法としてのパワーコードは、グランジともストーナーロックとも解される彼らにおいても非常に研究がなされ、そして2013年のアルバム『…Like Clockworks』にて遂に、その邪悪さと妖艶さとを実に優雅なスタイルで活用し倒されることとなる。ここで彼らが得た「闇のU2」とでも言いたくなるような広大な闇の感じは、もちろん様々な自在なサウンド展開が大きく影響するが、それらの楽曲の重要な局面で鳴らされるのは、粗暴で重々しいパワーコードのリフだったりする。

 とりわけこの曲は、Aメロの落ち着いた曲調において鳴らされる変なリフも、どこか音をおかしくし切ったパワーコードのような感じの質感がする。そこから太いリフで楽曲が展開していく様はまるで太いパワーコードにて漆黒を描くようで、本来調性を放棄してるためモノクロ的に響くはずのパワーコードが、実に強い発色で鳴らされている。このリフを伴ってバンドが裏打ちのリズムで軽快に進行する様は、吸血鬼のパレードのような毒々しさと可笑しさとがある。

 このアルバムでJosh Hommeはこの手の重厚でダークネスなサウンドの術を完全に手中に収めた感がある。2016年のIggy Popのアルバムでもこのサウンドを援用して優雅で硬質なダークさを演出していたし、2017年のQOTSAの『Villains』でもいかがわしいダークネス具合を撒き散らしている。ヘヴィネスをこのように昇華させたことは偉業だと思う。

 

23. Just See Far / Cloud Nothings(2014年)

www.youtube.com ぐちゃぐちゃでやけっぱちなパワーポップを書くセンスがハードコアに接続して奥行きと退廃感とを吐き出した傑作『Attack on Memory』以降のCloud Nothingsは、ガレージロックとパワーポップのひどく歪なのに魅力的で理想的なブレンド具合を常に有している。リードギターが抜けてスリーピース体制となりサウンドの広がりが期待できなくなった時点で、潔くサウンドの多様さを捨ててやたらと疾走感のある曲を並べたアルバム『Here And Nowhere Else』において彼はブチブチに歪ませたギターを曲の高速に合わせて掻きむしる事で、今作のサウンド的な課題を強引にクリアしてしまった。それは居直り的ともコペルニクス的転回とも取れる、この時点の彼らとしては実に鮮やかな回答だったのかも。まあリードギターが復活した次作のが好きだけど。

 このスリーピース体制においても、彼らがサウンドの無骨さや荒涼感を維持して行けたのは、そのズタズタなまま疾走するような雰囲気が成立していることがまずあるけれども、その荒いようでいて意外に色々と手の込んだギターの奏法にも秘密がありそうな気がする。たとえばこの曲では、パワーコードをつなげていく無骨な曲かと思わせてその実、ちょくちょくパワーコードを外れて同じ音が持続していくといった様子がある。この曲はそういった部分とパワーコードの無骨さとが楽曲のメロディの進行と並行して付かず離れずで展開していくところに面白さがある。特にサビ的なフレーズの、ルート音が変わっても同じパワーコードを引っ張り続ける様などは楽曲に荒涼とした奥行きを出す上でかなり重要なテクニックなように感じる。

 パワーコードを主体にしつつ微妙にそこから外れることで生まれる無骨さ…もしかしたらこのアルバムにはパワーコードというギター奏法が発展していく上での重要なヒントが色々詰まっているのかも。音の荒さに気付かなかったけど、実はギターリフというものを考える上でかなり面白い作品なのかも。

 

24. The Greatest / Alabama Shakes(2015年)

www.youtube.com Alabama Shakesの2nd『Sound & Color』が絶賛されたのは、ブラックフィーリングもふんだんに含んだ楽曲の良さもさることながら、何よりも「レイドバック的なサウンドを録音方法によって実にモダンな音として世に放つことに成功した」ことだと思う。どの曲もえっどうマイク立ててミックスしたらこの音はこんなに生々しくパツパツに鳴らせるの?という部分が存在する。豊かで程よい密室的空間を感じさせるリバーブの具合が、各楽器をとても迫ったものとして響かせる。

 この、暴発って感じで演奏されるパンクなロックンロールソングも、ブチブチしたパワーコードにも関わらず、その鳴り方は確実にギターのそれでありながら、しかしなんかそれまでに聴いたことの無いような不思議な質感で音の壁を作り上げている。このザリザリしてブッ壊れたような音の感じがあるために、中間部の古きポップスをエミュレートしたようなアレンジ展開も実に鮮やかで効果的に機能する。

 彼女らの手にかかればパワーコードすら新しい音の表現になるのかと、この何気にかなりムチャクチャな狂騒の感じを楽しげなものとして聴きながら、少し戦慄したりする。彼女らがまたバンドに立ち返って、ロックの範疇で楽曲を作ったら、どんな作品になるんだろう。気長に待っていたい。

 

25. Hamletmachine / THE NOVEMBERS(2020年)

At The Beginning

At The Beginning

  • アーティスト:THE NOVEMBERS
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: CD
 

  最後は今年の作品で締めたくなったので、この曲を。前作『ANGELS』から覚醒したように貪欲に様々なサウンドを取り入れて自身のヘヴィネスを更新していく様は、彼らが敬愛するBUCK-TICKの音楽性への接近が本当に重要だったんだと最近BUCK-TICKを聴き始めてよく分かった。特にこの最新作『At The Beginning』において電子音等の大幅な導入の裏で、よりゴシックで分厚いヘヴィネスへの挑戦も進められていたことは、上で登場したアルバム『six/nine』のサウンドの影が覗く。

 個人的に彼らのヘヴィ系の楽曲の中でもとりわけ好きになったのがこの曲。冒頭からヘヴィメタル的な高速でピッキングされる鈍重なパワーコードのリフに驚かされるが、激しく打ち付けるAメロから思いの外ロマンチックでかつ沈んでいくような危うさがあるブリッジに展開していくのは、とても雄大な感じがする。そこから更にサビで悲鳴のようなシャウトが、磁気と重力の嵐のようなサウンドの中で悲痛に舞い上がる様は実に美しく感じれて、曲タイトルの鮮やかな引用センスが実に楽曲に染まっていると思った。

 こんなロマンチックな壮絶さ・ヘヴィネスもあり得るんだ、というのは蒙を拓かれた感じがした。彼らの誠実な歩みと極端を求める探究心とが、「ここが始まりなんだ」とアルバムタイトルで不敵に告げるのが、とて頼もしい感じがする。

 

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 以上、25曲を見ていきました。

 なんとなく、パワーコードの使われ方にも色々あるんだなあとぼんやり思うとともに、その音色・装飾としての探求は特にヘヴィネスが重要となる局面で非常に進んでいるんだなあと思いました。パワーコードの探求はヘヴィネスと共にあったのかもしれないなと。今回挙げた曲は別にそういった曲だけではないですけれども。

 でも確かに、チューニングを下げて、ダークに歪ませて、低い音でパワーコードを弾くのは実に格好いい音がします。メジャーもマイナーも無い、というパワーコード特有の性質だからこそ生み出される、虚無的に太い音というのは、実はとても魅力的なものだったんだなと、今回のこの企画を考えるまで日頃あんまりその手の音によく触れてなかった自分としては、遅すぎるとはいえ気付けて良かったです。そんな低く暗い方向にどんどん広がっていったパワーコードの手法が、初めはThe Kinksのアレだったと思うとそれがまた不思議で、ちょっと可笑しかったりもします。

 パワーコードって、どうしてもこれだけで作曲やアレンジをしようとするとすぐ平板な感じになって、行き詰まってしまいがちなもの。だけど、見方を変えると、このような様々なパワーコードの活用の仕方もあるんだなあと。万に一つ、この記事でパワーコードの可能性に新たな気づきを得る人なんかが出てきたりしたら、駄文冥利に尽きます。少なくとも、テンションコードとか開放弦活用とか少しやめて、ゴリゴリのセッティングでパワーコードを弾いてみよう、と思えたなら、この記事は成功しています。自分も、どこかで時間を作って思う存分チューニングを低くしてズブズブに歪ませて、パワーコードを弾いてみようかしら。

 

 最後に、いつものSpotifyプレイリストです。上記のとおり、配信されていないPizzicato Fiveの曲を除いた全24曲となっています。

 

*1:彼が弦を押さえる指に事故による障害があり、それを克服しやすくするために弦を緩めたのがその始まり、というエピソードがとても奇跡的。