随分と間が空いてしまったスピッツ全アルバムレビューを久々に書きます。何せ前回『青い車』が2020年5月、アルバム『空の飛び方』は2019年10月…相当放置し過ぎてました。
今回取り上げるのは、スピッツ最大のヒットを記録し、彼らを「J-POPを代表するバンドのひとつ」にまで押し上げたアルバム『ハチミツ』です。流石に緊張します。
本人たちすら予想していなかった『ロビンソン』の大ヒットにより当時のミスチルやB'z等と並ぶくらいの立ち位置に急に”成り上がった”直後にリリースされたアルバムで、そしてやはり『ロビンソン』の収録アルバムとして「日本の歌謡界の名盤のひとつ」としても扱われ続けるであろう作品*1。
しかしながら、そんな急激に変化した状況を感じさせないほど、この作品単体を見たり聴いたりした感じは「軽い」というのが、今作の面白いところです。何ならここで、今までで一番「可愛らしさ」を押し出した、”カジヒデキとかの横に置いても違和感の無い”ギターポップアルバムとして割り切った作品に仕上がっていることは非常に重要だと思います。「ヒットの重圧を気にせず自然体の作品」とよく言われるけど、個人的には決してそうではない、かなり狙い済ましてる作品だと思ってもいます。
なおかつ、そんなスピッツ史上最も可愛らしい作品にどうやって「今までの邪悪なスピッツ要素」を入れ込むかというところも、見どころになってくるのかと。「爽やかギターポップでありながら、内面はエロとグロに塗れた妄想が漏れ出してる」という作品とも言えるかも。それで通算で170万枚程度売り上げたという、冗談みたいな作品…!
では、河原でワンピでアコギ、なんていういかにもなソフトで可愛らしいジャケットに見送られつつ、各楽曲を順番に見ていきましょう。
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