ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『SWAN SONG』ART-SCHOOL(2003年7月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの全作品レビューのとりあえず『LOVE / HATE』まで書き直しを目指すレビュー記事の、これで9個目になります。すでに崩壊が約束されつつも何故か楽曲はやたら沢山生まれ出して、しかも見事な諦観の美を獲得してしまう、彼らの危うい魅力がもしかしたら一番奇跡的に素晴らしく表現されているかもしれない作品群です。

 6曲入りのDISK1と3曲入りのDISK2でリリースされ、重複を除くと7曲の(当時の)新曲がこの2枚に含まれていました。現在は廃盤。後のアルバム『LOVE / HATE』にはここから1曲のみ収録され、その後ベスト盤『Ghosts & Angels』に表題曲が、さらにかなり経って、ファン投票を軸としたB面曲コンピ『Cemetery Gates』には最多の4曲が収録されています*1

 前作となる、シングル『EVIL』についてのレビューは以下の記事になります。このシングルから後のアルバムまでに至る、いわゆる“LOVE / HATE期”とでも呼べそうな、一貫性のある時期になっています。

ystmokzk.hatenablog.jp

*1:とはいえ、サブスクに限った話をすれば、よりによって『Cemetery Gates』が未解禁状態なので、この音源で聴ける曲は僅か2曲に激減します。

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“メロンコリー期”Smashing Pumpkinsの隠れた名曲集(25曲)

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 1995年のアルバム『Mellon Collie and the Infinete Sadness』は、その2枚組28曲という圧倒的なボリュームと、そしてそこで展開された様々な音楽性、ヘヴィさもロマンチックさもファンタジックさも静謐さもゴスさも何もかもな楽曲の充実具合によって、シカゴ出身のいちオルタナグランジバンドと多くの人に思われていたであろうこのSmashing Pumpkinsというバンドを一気に「大いなる野望と実力を備えたビッグなバンド」に変えました。

 それで、このアルバムのレコーディングにおいては、夥しい数の楽曲が作曲・録音され、2枚組28曲だけでも物凄いボリュームなのに、特にアルバムリリース後の1996年に順次シングルカットされていった楽曲のカップリングとして、その大量のデッドストックがリリースされていきました。後にこれらのシングルはアルバムの先行シングル共々纏められ、更なる追加楽曲も含んだボックスセット『The Aeroplane Flies High』として1996年にリリースされました。更には、彼らが一度解散・再結成してしばらく経った2012年にはアルバム『Mellon Collie〜』の、翌年の2013年には『The Aeroplane〜』のそれぞれデラックスエディションがリリースされ、そこにはやはり本当に大量の、とても全部聴く時間なんか取れそうに無いほどのボーナストラックが追加されました。

 今回はそんな“メロンコリー期”のアルバム外の楽曲から、特に好きな楽曲25曲のプレイリストを作ったので、1曲ずつ紹介していく記事になります。幸いこれら含む上記両作品のデラックスエディションはサブスクで聴けるので*1、以下プレイリストも貼っておきます。

open.spotify.com

 

*1:他のアルバムもデラックスエディションがサブスクで聴ける中、どうして『Siamese Dream』だけボートラ無しのものしかサブスクで聴けないんだろう。

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素敵な歌詞botで翻訳した気に入ってる15曲part3

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 私が運営してる「素敵な歌詞bot」につぶやかせるために翻訳した楽曲の歌詞の、個人的に気に入ってるもの15個を取り上げる記事の、第3弾です。現在208個ぐらい登録してますが、なんとなく翻訳ものがやっぱり投稿してて面白いなって思います。日本語の歌詞は内容いじれないから140字の制約が強いし…。

 ちなみに第2弾は1年とちょっと前でした。1年でそんなに投稿パターン増えてないんだなって気付かされます…。

ystmokzk.hatenablog.jp

 botに掲載している歌詞一覧はこちらの記事で確認できます。折角なのでこの歌詞一覧記事から気に入ってる翻訳シリーズに飛べるようにリンクも入れときました。

ystmokzk.hatenablog.jp

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『EVIL』ART-SCHOOL(2003年4月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの作品の、かつて書いた記事のリマスター(書き直し)、これで8つ目の記事になります。メジャーデビュー後すぐ『Requiem For Innocence』という鮮烈なアルバムを放った後の、次のモードに突入する4曲入りシングルにして、同じ年の暮れに最初の大きなメンバー脱退と実質活動停止に突入する、それまでの間に非常に沢山の、しかもどれも高品質で世界観がもの悲しい、第一期ART-SCHOOLの終わりにして壮絶な2003年の最初の音源です。

 現在は廃盤。とはいえ、4曲中実に3曲が後のアルバムに収録されたため、このシングルを買わないと未だに聴けない(配信販売もサブスクにも無い)楽曲は1曲のみ。優しいんだか辛いんだか。

 

 前回の記事はこちらになります。

ystmokzk.hatenablog.jp

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ソフトロック(a.k.a. Sunshine Pop)諸々:アルバム10枚

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 サンシャイン・ポップ、日本ではソフトロックと呼ばれるような音楽の代表作品のひとつに数えられる名作アルバム『Take a Picture』の作者であるMargo Guryanというアメリカの女性アーティストが亡くなったニュースを受けて、自分も彼女の音楽が好きだったので、後年発表されたデモ集も含めてプレイリストを急いで作ったら、思いのほか多くの人が反応をくれました。

 

 

 なのでもう少し、彼女も含む当時の、後に日本において”ソフトロック”と称されることになる色々について、ちゃんと色々と思うところを書いておこうと思います。海外では”Sunshine Pop”と呼ばれていたり、でもその範囲は微妙にソフトロックの範囲と被ってない部分もあるように思えたり、微妙なところです。

 とりあえず”ソフトロック”という語の範囲を示すひとつの指標としては、この本がある程度の権威となるでしょう。

 

 

 なので、以下の文章はあくまで今これを書いている筆者の個人的見解、ということでお願いしておきます。”ソフトロック”というものに関するああでもないこうでもないの文章と、10枚のアルバムレビュー、そしてその10枚から3曲ずつ選んだプレイリストまでを含む記事です。

 

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#オールタイムベストシューゲイザー (20枚)

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 今回の記事はTwitterハッシュタグで企画された「#オールタイムベストシューゲイザー」というものに投票するための記事です。

 

 そういえば去年の12月ごろにも同じ人の同じ企画に記事を上げてました。

ystmokzk.hatenablog.jp

 シューゲイザー、いいですよね。今回はもうシューゲイザーの解説の前書きとかそういうのせず、サクサクとチョイスした20枚のアルバムを並べていきます。シューゲイザーか微妙なやつも何のその。よろしくお願いします。

 

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3の倍数(4分の3拍子,8分の6拍子,三連符)のリズムの曲:40曲

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 世の中に存在するポピュラーな音楽の大半は4の倍数のリズムで出来た楽曲です。いわゆる8ビートとか16ビートとかそういうやつです。拍の数を数えてみてください。大体1小節*1のうちに8回か16回、均等にシンバルが叩き込めるようになってると思います。

 ただ、世の中には、決して多数派とは言えませんが、8や16ではどうもタイミングの合わない音楽があって、それらのうちの多くは3の倍数でリズムが構成されていることが多いわけです。所謂「4分の3拍子」だったり「8分の6拍子」だったり、もしくは人や場合によっては「三連符」などと呼ばれたり。

 今回はそういうのについての記事です。3の倍数のリズムのみで構成された40曲をそれぞれ見ていく感じです。例によって最後にプレイリストもあります。

 

*1:”1小節”という単位もいまだに感覚的にきっちりと把握できてないけど、大体普通の8ビート的なリズムでスネアが2回叩き終わる周回までのこと、と把握してる。

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『coup d'Etat』syrup16g(2002年6月):2002年の日本の下北系ロック関係(後編)

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 2002年頃に急に色々と現れてその後しばらくのロック界隈の潮流と人脈とを形成した下北系ギターロック界隈について、2002年にリリースされた10枚のアルバムをサンプルとして見直してみる、という趣旨の記事を前回から書いています*1

ystmokzk.hatenablog.jp

上記の記事で10枚のうち9枚を取り扱って、そして後半の記事である今回は、残り1枚のアルバムについて全曲見ていきたいと思います。それがこの『coup d'Etat』です。人によってはこの作品こそ、2002年のみならず、下北系ギターロックの最高傑作だと思う向きもあるんじゃないでしょうか*2

 

open.spotify.com

syrup16gの「coup d'Etat」をApple Musicで

 

 ここで取り上げなくてもどうせ別に、こんな強烈なレコードが歴史に埋もれるなんてこと考えられない気がしますが、何がそんなに強烈なのか、改めて確認していけたらなと思います。

 

*1:まさかの好評で驚いてます。ありがとうございます。今の日本の音楽の潮流的に語りづらい、だけど好きだからどうしたものか、、という人が案外沢山いたということなんでしょうか。

*2:もしくは、次の年の『HELL-SEE』とこれが彼らの二大巨頭だと思われるので、『HELL-SEE』の方をそう思ってる人も多いのかも。

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2002年の日本の下北系ロック関係(アルバム等10枚)(前編)

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 日本のロック関係の歴史で、同世代のバンドが一気に出てくる場面は何度かあるかと思います。渋谷系の諸々の中でミスチルスピッツ等が同じ頃に出てきた1990年代初めやら、くるりスーパーカーNumber Girl中村一義やらが一気に出てきた1997年〜1998年の世代やら。そして、2001年〜2003年に一気に出てきた、”下北系”という括り方をよくされる世代も。

 今回はこの、2000年代前半に一気に出てきたこの”下北系ギターロック”な世代の、そのうち2002年に出た作品を10枚選んで見ていく記事になります。10枚と言いつつ、上のサムネ画像には9枚しかないのですが、今回はこの9枚を扱う前半の記事で、そして次の後半の記事でサムネに無い残り1枚を個別に扱います。一体何デターなのか、予想してみてください。

 中には一度解散したバンドや、活動が止まってしまっているバンドや、中心メンバーが亡くなったバンドもありますが、でも、今回取り上げる10組のバンドが、なんだかんだで続いていることは、根強い人気だったり、メンバーの粘り強い活躍だったりを感じられて、何よりも、風化しないぞ、と懸命に立つその姿に、尊敬を覚えます。リアルタイマーではまるでないし、ネットで調べた知識とアルバムを聴いただけの自分に何が書けるのか、とも思いますが、しれっと書いていきたいと思います。

 

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『Requiem For Innocence』ART-SCHOOL(2002年11月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOL関連作品のリマスター記事という形式でのレビュー書き直し、7つ目にして大きな山場となります、彼らの1stフルアルバムについて今回取り組みます。

 このバンドを端的に象徴する1枚であり、なおかつその特化し切った楽曲のフォーマット等により後進への最も直接的な影響を与えたであろう作品で、下北沢ギターロック文化遺産としての価値すらあるんじゃなかろうかと思う作品ですが、何故かサブスク未解禁。それでアルバムの価値が損なわれることは無いとは思うけど、でもサブスクに無いせいでこの作品が風化が進んで行ってしまうのも何か悲しいので、自分含むファンから一番にどうにかしてほしいと願われている作品です。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 前作、このアルバムの先行シングル『DIVA』のレビューは以下のとおり。このシングルから2曲が今回のアルバムに収録されました。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

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