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ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

曽我部恵一関連1(『PINK』に対する悪口など)

まず、この投稿は次に準備する予定の、アルバム『超越的漫画』のレビューの、前哨戦です。あのアルバムは何となく久々に曽我部恵一について熱く語りたくなる作品で、で、その熱く語るためにはどうしてもその辺の事情というか個人的理由というかを整理してからにしたいので、以下すべて個人的な感想レベルの話。特にアルバム『PINK』を好きな人の気分を害する可能性が高いです。

PINKPINK
(2011/04/21)
曽我部恵一

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ぼくはアルバム『PINK』が嫌いだ。

サニーデイ・サービスにぼくがハマりはじめた頃にはとっくの昔にそんなバンド解散してた。ソロアルバムだと『Strawberry』あたりがリアルタイムで新譜として買え始めた時期で、『Strawberry』で結構あがって(『シモーヌ』とか『ストーミー』とか今聴いても全然名曲だなーって思う)、続く『ラブレター』は試聴してあれっ?って感じで買わなくって(mp3では持ってるからもしかしたら買って売ったのかも)、その頃くらいに確か「サニーデイの頃みたいに名盤作りに熱中するんじゃなくて、もっと日記みたいな感じで作品を作っていきたい」みたいなコメントを読み、ああ、もう『ラブレター』みたいなよく分からないアルバムばっかり作っていくのかなあ、淋しいなー、って思ってしばらく経ってから、ポンとリリースされた『LOVE CITY』が曽我部史上でも最高クラスの名盤で、すごく聴いて、なんだよ曽我部嘘つきかよ○ねよ、と思いながらめっちゃ嵌って聴いて、その辺りで曽我部恵一BANDも始まってて、結果的にダブルオーテレサなるバンド一個潰した代わりにあがってきた『Strawberry』各曲や『恋人たちのロック』などで期待煽られまくり、日本のニールヤングに曽我部さん就任しちゃうかー『LOVE CITY』のジャケットはその辺狙ってたんかなーやっぱりーとか思ってたら、曽我部BANDアルバム『キラキラ』でずっこけて(←こんなこと書いときながら当時アマゾンで星5つでレビュー書いてるやつ)、なんだよなんだよーって思ってたしばらく経ったらなんかサニーデイが再結成した。ライブをすぐには観に行けなかった、どんなもんやろ思ってたら、なんかアルバム出た(こっちもアマゾンレビュー書いたけどこっちはいまだに好きだ。へなちょこメロウファンク路線が大きな軸のひとつになってる辺りとか)。アルバム買って聴いてたら福岡にもライブに来た。観た。丸山さん体調不良でドラム別の人だったけど、すごいよかった!
この辺がぼくの中の曽我部熱のひとつのピークだった。

その後。
あるイベントで曽我部さんがぼくらの街福岡にまた弾き語りでやってきた。当時脱引きこもりで勉強など忙しかったけど、観に行った。
曽我部さんの弾き語りライブを観たのは何回かあった。話に聞くだけではちょっと引いてた『テレフォンラブ』の合唱もライブでそれに参加すると楽しくて、音源じゃいまいち良さが分からなかった『ジュークボックス・ブルース』も弦が切れたアコギを置いて歌いだす曽我部さんを観ると「なんだそれ!?ずるいぞかっこいい!」となってた。
そういう曲の合間で、曽我部さんが新曲です、と言って何曲かやる。なんでもソロ名義のアルバムをまた出すらしい。

このときの新曲が、どれもピンとこなかった。


「なんかカノン進行で大瀧詠一薄めてメルヘンにした女子ウケよさそうだけどロマンもクソもない詰まらん歌だなあ」→『春の嵐
「うわあ、「ねえ外はぁー春だよぉー」とか歌ってるなんかこういうの生理的にちょっとキツいしやっぱりメロディの飛躍が弱いおもしろない曲な…」→『ねえ、外は春だよ。』(←後で曲名知ったとき「そのまんまかよ!」と思った)
「あああーこれはダサいやろーダサイの承知でやるのがいいんだ、っていうラインすらも越えてやばいダサいレベルやろー歌詞が全くしんどいしフォークモロ出しすぎなのもキツい今回の新曲で一番キツいわこれ…」→『なにもかもがうまくいかない日の歌』

なんかもう、新譜に全く期待が持てなくなった。ソロ10周年とかそういう言葉がどうでもよくなってた。

しかし、ネットでの意見を見ると、その期待が持てなかったアルバム『PINK』は相当評判が良かった。
「『LOVE CITY』以来の傑作!」
「決めるところを決めてくるソロ!」
「やっぱり歌ものの曽我部さんは素晴らしい!」
えっそうなのか…自分が不安になってきたぼく、その後福岡のツタヤで何故か置かれていないそのアルバムを確か大阪某所で借りた。確か『レモン』とかいう曲が大名曲ってことになってたな。聴かなきゃ(使命感)。

宅録風味になってもやっぱなんかつまらんく感じた『春の嵐』を飛ばして、期待感で胸をやや膨らませて『レモン』を聴く。
冒頭の歌詞が、気に食わなかった。オシャレなカッティングとともに。
海の方へ〜、車飛ばし〜
この一節だけで、「あ、普段は電車しか使わなくていい東京の奴らが、自動車に「自由」「解放」「メロウ」みたいなイメージを貼付けてその空気感を味わえるタイプの曲だ!」と決めつけた。
ぼくは極度の東京コンプレックス持ちで、東京産の自然体なシティポップとかいうタイプの音楽について無条件で「ぺっ」と思ってしまうタイプの残念な人間にいつからかなっていた(就活ミスって東京人になり損ねたあたりからだろうか…)。
穏やかな抑揚とそれに寄り添う豊かで洒脱な演奏、そんな「キングオブメロウ」曽我部氏の2011年最高のシティポップ(客観的に聴けば、少なくとも良い曲であるとは本当に思う)のいちいちが、そんな残念なぼくの繊細な感覚をともかく逆撫でした。

その後も、繊細な弾き語りでいかにもな文系の女の子の特徴を歌い上げる『普通の女の子』。おっ、と思わせるジャジーなスウィング感でどうだ、と思ってたら突然のトーキングスタイルとその内容がやっぱりなんか癪に触った『愛と苦しみでいっぱい』。結構悪くないんだけど眠くなるし長い『PINK』、嫌いじゃないけどいまひとつ印象に残らない『がるそん』(この曲がこのアルバムでは一番好きかなあ)『一週間分の愛』。そして音源で聴いても全然印象が変わらないばかりかむしろ穏やかで豊穣な演奏がより楽曲の嫌いさを際立たせる既聴三曲…。

ぼくはアルバム『PINK』のいろんな部分が嫌いだ。今でも嫌いだ。
全体的に穏やか目で大人しくて豊かでメロウで、ロマンや淋しさを感じられない(個人的に感じきれてない)演奏。
突き抜ける感じのしない、ソロ1st以上の手癖感のある(と個人的に思い込んでしまっている)籠ったメロディ。
中庸と凡庸を行ったり来たりすることを「繊細」と読み替える風の(個人的にそう思ってしまう)歌詞。
四季の中で春が夏の次に嫌いな俺の鬼門である春全開の世界感。

アルバム『PINK』の内容を確認したところで、ぼくの中の曽我部熱の季節はさっさと終わってしまった。
その後、なんか色んな他ミュージシャンとのコラボがあったり、曽我部恵一BANDは一年に二枚アルバム出したり、サニーデイとソロそれぞれのベストが出たり(サニーデイの方は最近やっと『真昼の出来事』が収録されていることを知って「なんで知らなかったんだよ俺!?入手しなきゃ!」ってなってる)(ソロの方の選曲が気に入らない。『She's A Rider』も『幻の季節』も『スウィング時代』も『センチメンタルな夏』も入らなくてあの曲やこの曲が入ってる!)。すべてスルーしていた。

ぼくは色々と、聴こうと思ってたけどなんかすっかり忘れてたバンドとかジャンルとかの音源集めやら、知り合い連中とのああでもないこうでもないな音源作りやらで、そこそこ賑わっていた。相対的に曽我部恵一の存在感はぼくのなかでどんどん薄くなっていった。何故かサニーデイまで、どうでもいい存在に思えてきた。ああ、好きだったものを卒業するのって、こんな感じなのかな、なんか嫌だなあ月並みだしかっこわるいなあっていうか単純に淋しいなあ…。


ある日、ツイッターしてたら、リツイートで曽我部さんの新曲すごいことなってるwみたいなのを見かけた。あ、新曲出すんだ。すごいことって、もうおっちゃん大概のことやっとるやろう、今更何をすんのよ…?

リンクをクリックして、新曲とやらの動画が始まった。

ちょwwww
曽我部さんなにやってんのwwww!!!?

次回に続く