ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

浅井健一作品5選

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「何の記念でもないけど浅井健一のベスト5枚記事書きます」というつもりだったけれど、気がついたら浅井健一 & THE INTERCHANGE KILLSの新作アルバム『Sugar』の発売日じゃないか!と気付いたので慌ててやります。

 

BLANKEY JET CITYをはじめ日本のロックンロールとその詩情を引っ張り続けている男・ベンジーこと浅井健一。もの凄く多作家な彼の無数にある作品のうちで、今回は筆者が特に好きな5枚を選んで紹介していくだけの記事です。さくさく行きましょう。順番は年代順ですので順位ではありません。

 

1.『SKUNK』BLANKEY JET CITY

SKUNK

SKUNK

 

浅井健一を語る上でブランキーはやはり外せない*1イカ天からメジャーデビューし日本のロックをかき回した暴走する不良3人組、という一般的なブランキーのイメージがあるけれども、しかしながら特に名盤とされる初期のアルバム『BANG!』や『C.B.Jim』について言えば、ここではプロデューサー土屋昌巳の元、イカレながらも純情さを併せ持つ不良少年というキャラクターの下に“適切に”コントロールされた音源は、当時の日本の音楽だとか背景だとかはひとまず関係のない今の耳で聴くと、ややパワー不足な部分がある*2
その点で行けば、中期ブランキーは間違いない。ともかく、収まり良くいきっこないぜっていう暴力的な勢いとパワーに満ちあふれている。このアルバムを人生で初めて再生して、1曲目『SKUNK』と2曲目『Dynamite Pussy Cats』を続けて聴いて、ブッ飛ぶかそれともドン引くかはその人の生活信条色々であるだろうけれど、単純にこの傍から見ればシュール極まりない世界観に渦巻く理屈ではない暴走感については、やはり日本最高峰なのかもしれないとも思う。それは自家薬籠気味にバンドサウンドを突き詰めて解散寸前まで行ってしまったバンドの実情もあるだろうけど、ともかくここでのバンドは歌も、ギターも、ドラムも、詩情も、ひたすら自棄っぱちで破滅的な勢いがある。

そしてそこからの3曲目『15才』。ここでふっと唐突に、柔らかくナイーヴな、それこそソーダ水の粒のような儚い煌めきに溢れたこの曲が登場することのインパクトは、ある意味で前2曲以上に大きい。あとドラムのフィルインの盛り込み具合はこの曲が一番凄いのでは*3

その後もある程度緩急を付けての名曲・名演の数々、それは単純にとても充実した作品集であるとともに、名状しがたいパワーを秘めていたバンドが、遂にそれを名状しがたいままに吐き出しはじめたような凄みがある。本当にここで解散してたら「このバンドのこの先こそ見てみたかった」と多くの人に惜しまれただろうから、そこは踏ん張ってくれて本当に良かったなとも思います。

15才 - Blankey Jet City - YouTube

 

2.『LOVE FLASH FEVER』BLANKEY JET CITY

LOVE FLASH FEVER

LOVE FLASH FEVER

 

上の『SKUNK』での解散の危機をなんか乗り越えて、各自のソロ活動を挟んだ後にレーベルも移籍した上でセルフプロデュースの末にリリースされた今作は、前作と張り合うほどに、バンドサウンド出力装置としてのBLANKEY JET CITYの限界に挑み、勝ち取ったアルバムだと言える。ジャケットはややダサい気がするけど…。

荒々しいブラッシングから始まるアルバムイントロからブチギレてる。どのパートも前作以上に各楽器の録音が荒々しく、そして迫ってくる。『プラネタリウム』は何故か後年のソロ等でも時折演奏される、彼の生涯のレパートリーのひとつとなっている*4

ヒステリックなギターの音に、嵐のようなドラム、そんな典型的なブランキーサウンドの頂点にあると思ってる曲が2曲目の『Pudding』で、この曲の強烈に駆け抜けていく3分半足らずの破壊力はとても素晴らしい。これだけ演奏でやりたい放題やっているのにしっかり3分半の曲として成立していることが奇跡的。なんでベスト盤とかに入らんのだろう。

その後もブチ壊れたバンドサウンドの見本市のような楽曲が並ぶ。グランジに傾倒気味な重いギターサウンドと、ひたすらマイナー調の楽曲が続く曲順が、このアルバムのヘヴィさとダークさを形作り、かつ同時にたとえば『感情』での終盤のギターインプロなんかに表れたけだるさ・やるせなさが、突き詰めきったバンドの退廃感・ムードとなり影を刺す。ベンジーの他アルバム以上に回数の多い絶叫はどこか虚無的な響き方をし、プロデューサーがいなくなりたがの外れたバンドは 半ば行き当たりばったり的にのたうち回る。この辺りのコントロールされてなさは今作、ひいては後期ブランキーを指して批判されがちな部分だけど、今作の「行くあての無さ」は尋常じゃない。日本音楽シングル史上有数のヘヴィナンバー『ガソリンの揺れ方』がポップにさえ聴こえるという事態。

そんなアルバムも、最後2曲での見事な回収により作品として昇華される。『デニス ホッパー』でのロードムービーに対する憧れを通じた悲壮感は壮大で、そしてそこからの最終曲『海を探す』でアルバム唯一のメジャー調、ブランキー史上最もセンチメンタルでロマンチックな楽曲の登場となり、アルバムはそれまでの過程からすると思いもよらない程にすっきりと鮮やかに終わる。

今作を「コントロールできていない」という批判は理解しかねる。ここまで明確に痛々しい音と雰囲気を重ね、そしてこのような見事な曲順で作品化することが出来たバンドのセンスと我慢強さに、心から尊敬の念を捧げる。邦楽のひとつのフロンティアだと未だに思っているし、いつの間にかSHERBETSに大きく傾倒してた自分も、今作は聴き返すたびにその唯一無二さにぞくぞくする。

Blankey Jet City PUDDING - YouTube

 

3.『AURORA』SHERBETS

AURORA

AURORA

 

ブランキー以降のベンジーは良くないよね、なんか違うよね」という世間でも未だに割と強くある風潮に対しては明確に否定する。彼の最盛期はまさにブランキー解散前後の“ブランキー以外の”作品であるとさえ言える。

上記『SKUNK』と『LOVE〜』の間のソロ活動でベンジーがやってたアコースティックユニットSHERBETがバンドSHERBETSとなり、1999年のアルバム『SIBERIA』を皮切りに、ブランキー以上にヒステリックで叙情的で音の温度が低くて、そして人間・浅井健一の表現となったその活躍は壮絶極まりない。2000年にブランキーはラストアルバム『HARLEM JETS』をリリースしてしばらく後の7月に解散するが、解散して僅か3ヶ月後にSHERBETSでシングル*5をリリース、そして12月に本作『AURORA』がリリースされている。その後も年明け2月に同時並行だったAJICOでアルバム、そしてまたSHERBETSで2ヶ月おきのシングル3連続リリースからのアルバム『Vietnam 1964』でとどめを刺す。恐ろしいのはこの時期の作品群のクオリティの高さと、各アイディアの下で突き詰めきった制作姿勢だ。これら全てを聴いた上で、ブランキー以外の浅井健一の活動はパッとしないとなお思われるのであれば、話すことは何も無い。

何も無い、とは勢いで書いてみたけれど、ハイサヨナラはさみしいので、試しにどれか一枚聴いてくださいよ、っていう時に差し出したいのが本作。ここにはSHERBETSの基本姿勢、冷えてて醒めてて悲しげで儚げで神経症的でよりヒステリックな性質が、かなりポップな形で端正に詰め込まれている*6

このアルバムはSHERBETSの中でも曲調がカラフルなところが良い。のっけからヒステリックさ全開のグランジ調『愛はいらない』 で、しかしブランキーと違ってキーボードがメンバーにいるため、その趣向はまた違った風情がある。

そして『グレープジュース』という大名曲が3曲目に待つ。今までになく繊細に潤みきったコーラスの効いたギターのトーンは、The CureやらDurutti Columnやらといった、実はベンジーのギターのルーツになってそうな音楽の影がこれまでよりもはっきりと覗く。ブランキーとは性質の異なるナイーヴさが、宛てもなく這い回るかのような不安感はとてもけだるくも美しい。

その後も神々しい『トカゲの赤ちゃん』や、フォーキーでポップで安心する『勝手にしやがれ』等名曲がひしめき、そして今作もうひとつの大名曲『チャームポイント』に至っていよいよその冴え方もピークに達する。ミニマルな曲展開・演奏でここまで鮮やかな「突き抜けるあの感じ」を出せるこのバンドのポテンシャル・アレンジセンスの高さ。ベンジーのギターも曲が進んでいくに連れてロマンチックなリフレインが増えていき楽しい。歌詞もベンジーの優しさと信条が張り裂けんばかりに炸裂している。

『SIBERIA』から『Vietnam 1964』までの初期SHERBETSのアルバムはどれも外れが無いけれど、その中でも上記ベンジー史に残る大名曲2つを擁するこのアルバムの輝きはやはり、もっと世の中に知られていいもののようにも思う。このアルバムの翳りのある開け方、宛てもなく彷徨うような感覚に、人間・浅井健一のロマンと哀愁がめい一杯詰まっている。

Sherbetsグレープジュース PV - YouTube

SHERBETS "チャームポイント" - YouTube

ライブではめっちゃ速くなる『チャームポイント』。リリース当時から既に「もっとテンポ速くすりゃ良かった」と浅井健一本人がぼやいていたとも。

 

4.『FREE』SHETBETS

FREE

FREE

 

浅井健一は不思議な人で、折角始めたソロでそんなに内省的な作品を作らず、バンドであるSHERBETSでこんな作品を突然ドロップしたりする。

上記の初期SHERBETSの時期が終わった後、ベンジーは新たにJUDEというバンドを始めて、どことなくライトなスリーピース感を追求する感じで数年のうちに5枚のオリジナルアルバムとベスト盤を作って終了する。その後満を持して(?)浅井健一名義での活動が始まるも、クレジットを見てみたら演奏者全員SHERBETSだったっていう、謎な事態が発生*7。しかもSHERBETS名義のアルバムもポツポツリリースされるしで、この時期の活動のよく分からなさは正直ちょっとある。

転機となったのはソロ4作目『Sphinx Rose』。深沼元昭氏を共同プロデューサー兼エンジニア兼奏者として迎え、宅録的なアプローチで丁寧に作られたこのアルバムにおいて浅井健一の意識に新しい色が差し込んだことは想像に難くない。優しい・可愛らしい楽曲の多いアルバムだけど、それは上記プロダクションの影響もあったのかもしれない。

そこから一転SHERBETSに戻って、しかし突然の解散宣言が出て「もうSHERBETSからミラクルが出てこなくなった感じがした」とかまでベンジー言っときながら、しばらくして解散を「撤回」。「危うく解散するところだったぜ」とベンジーがライブMCで言ったとか何とか。

そんな謎のゴダゴダから、どうしてこんなに洗練されたアルバムが出てくるのかが今ひとつ分からないけれど、今作はベンジーの「静」サイドを深く極めた作品となった。落ち着いた曲なんてブランキーの頃にだってあったし、SHERBETSにも同タイプの『natural』があったりもするけど、今作ではバンドも、また作曲者としてのベンジーもそれまでの武器を整理し、丁寧に曲を書き、ちょっと新味を加えてアレンジすることで、それまでと落ち着き方の質が異なる魅力が溢れている。

新味は冒頭『これ以上言ってはいけない』のスムーズでダウナーな弱ファンク感でいきなり立ち上がる。この曲のスモーキーなムードはこれまでの浅井健一作品で見られなかったもので、歌を坂本慎太郎に差し替えればそのままゆら帝か彼のソロになるだろう、というくらいの薄暗くも心地よい雰囲気がある。

そこからの『リディアとデイビット』。緻密なギターとベースのリフ*8の絡まりに乗った楽曲はまるで、光のあまり差し込まない森の中を主人公の二人が彷徨っていくかのような、不思議に童話的で、しかし何か乾ききったような質感が静かに鮮烈。終盤のいつになく低音なベンジーのボーカルはまさに新境地そのもので、吸い込まれそうな奥行きを感じさせる。

その後もフォーキーで牧歌的でひたすら優しい*9世界が広がる、アレンジも丁寧な『WONDER WONDER』に、内省的なワウの使い方がやはり新鮮な軽快なマイナー調『LOVE BEAN』、『グレープジュース』を救いの無い方向に発展させたかのような静寂の寂寥感の溢れ出す『青いサングラス』*10等々、アルバムの穏やかで寂しげな雰囲気は一貫している。個人的には、今作以降のベンジーの静かな楽曲へのスタンスは決して「ロックをやめる」的な寂しいことではなく、むしろ積極的に自身の中の物語をより丁寧に深化させていこうという意気込みに満ち溢れている、と言い切ってしまう。ぼくは独特な寂寥にまみれた詩人としてのベンジーが好きみたい。

それにしても、2011年という悲しい年に、こんな美しくも寂しいアルバムでSHERBETSが解散しなかったことは本当に良かった。このアルバムこそ浅井健一が到達した、もうひとつのフロンティアだったと言いたいが、それでもなおSHERBETSとしての旅路は時々休みながらも続いている。実際次作『STRIPE PANTHER』も名作であり、その後のソロ2作に至るまでで、浅井健一は静かに新たな絶頂期にあったと、ぼくは考えている。

SHERBETS「リディアとデイビッド」 - YouTube

SHERBETS / LOVE BEAN - YouTube

 

5.『Nancy』浅井健一

「Nancy」(初回限定盤)

「Nancy」(初回限定盤)

 

上記のとおり静かに再び絶頂を迎えたSHERBETSの、しかし人によっては地味としか思われないのかもしれない『FREE』『STRIPE PANTHER』の2作を経て彼は再びソロに尽力、アルバム『PIL』ではアルバム前半で往年のベンジー流なキャッチーなロックンロールを披露しファンを喜ばせるも、中盤以降はやはりSHERBETSの深化の流れを伴った、寒そうなマイナー調のコード感と囁くようなスタイルの楽曲が占めていく*11

そして続くアルバム『Nancy』において彼は再び暗く寒く寂しげなマイナー調が全体を支配する楽曲集を作り出した。打ち込み等のソロ的な要素を多々含んでるのは理解できるが「なんでこれSHERBETSの作品じゃないの?」というのが初聴時の正直な感想ではあった。本来ソロの方がバンドより内省的になりがちなのに、ようやくここでバンドと同じ程度に内省的になるって、めっちゃ変。リード曲の『紙飛行機』とかどう聴いたってSHERBETSじゃん!

一応アルバム冒頭こそ、打ち込みながらアクティブな躍動感の『Sky Diving Baby』や『SALINGER』的なシャープなロックンロールの『Stinger』が続くが、そこから先は妖しげなシャッフルな『Parmesan Cheese』だったり、アレンジ的にギターが必要な部分以外で前面に出ない『Papyrus*12だったり、霧のたちこめる森を彷徨うかのような『僕は何だろう』『君をさがす』の2連続だったり。今作のベンジーのマイナー調はSHERBETSの時の幻想的なのとはまた印象が異なり、どこか醒めた、悲観的な視線が色濃く出ている。『紙飛行機』の中盤以降、神父へ語りかける辺りの展開のキリキリと胸の内が寒くなる感覚にはRadiohead的な性質さえ感じた。

そんな暗いアルバムの締めとして『ハラペニオ』は完璧に壮絶で、そして眩しい。アルバム唯一のメジャー調の楽曲で、ベンジー流の言葉のリズムで紡がれる優しいメロディと、そして完全にポストアポカリプスな世界観の中で「いつもの生活をする浅井健一」の姿が、今作の暗さに対して決定的に落とし前をつける。やはり中盤以降、演奏が一旦ブレイクしてから、そこからサビのフレーズを険しいコード感で展開した上で、元のホッとするコード進行に戻るまでの流れは浅井健一全楽曲でも随一の、「打ちひしがれた」感覚*13と、彼なりの暖かくてキュートな感覚とが駆け巡っていく瞬間。夜と朝が出会うときのようなこの感覚こそ、『FREE』以降のベンジーの“冒険”のひとつのクライマックスだったのかな、とさえ思う。

浅井健一 "紙飛行機" (Official Music Video) - YouTube

そういえば今作は、自分がとあるメディアに原稿載せてもらってた時の記事がネットにあります。それとこの文章と、あまり文章量変わらないんじゃないか…?

 

 

以上、個人的ベンジー作品ベスト5でした。かなり感傷的な作品に偏ってる気がするけれども…。

今日発売日の浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSはまだ買いに行けてないけど、しかし先行公開された『Ginger Shaker』がまた、実にベンジー的なダンディズムの詰まった名曲だったのでとても楽しみです。これからもどんどん寒くて寂しくて狂っていてやるせなくて悲しくて虚しくてだからこそ尊くて美しくて温もりがあって奇麗な空気を、世界を見せていってください。

www.youtube.com

Sugar(初回生産限定盤)

Sugar(初回生産限定盤)

 

*1:個人的にはSHERBETSのみにフォーカスしてもいいくらいに思うことも結構あるんですが

*2:あとそこまでヒャッハー!ってノリする必要なくない?とか思ったりする

*3:静かなはずのパートで我慢しきれんとばかりに小さなフィルがちょこちょこ挿入されるたびに、パッツパツだったであろう当時のバンドのテンションが伺われる

*4:この枠は他に『SALINGER』とか『シェイクシェイクモンキービーチ』とかが入るのかなあ

*5:曲がまた、問題作『38 Special』。この時期の活動は恐ろしく濃い

*6:その点同じハイクオリティでも『Vietnam 1964』はより人を選ぶ感じしますね。でもブランキーのぶっ壊れてる感じこそを好きな人はこっちの方が良かったりするのかな

*7:実際、ソロ1st『Johnny Hell』の半数以上の楽曲がSHERBETSメンバーで録音されている

*8:こんなもん弾きながら歌うなよこの変態、と浅井さんの技術に改めて、静かに戦慄するところ

*9:それゆえに、この曲の歌詞や音から見える景色があまりにユートピア的すぎることで、かえってぞくぞくするような寂しさが感じられてしまうと思うけども

*10:終盤のファルセットがひたすら虚しくて奇麗ですね

*11:ロックンロールな曲と内省的な曲とが高水準で入っている、という意味では、今作がソロで一番の作品かもしれない

*12:この曲の面白いのは、かつて彼がSHERBETSで戦争をやめさせる手段として極めて楽天的に突き抜けた『Baby Revolution』とはある意味同じ事象が起こっているのに結果の明暗が全く逆なこと。このアルバムでのベンジーのいつになく悲観的な詩情はなんなんだろう。

*13:「やがて冬がやってきて/雪がすべてを覆い尽くして/何もかもにとどめさされて/しまう前に」という歌詞の、難しい言葉も無いのに、ひたすら物悲しくなる描写がとても素晴らしい。個人的に彼の歌詞の中でもトップクラスに胸に影を落としたフレーズ。