ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

2013年の個人的年間ベストアルバム(20枚)3/5

2/5のつづき。12位→9位。

2/5書いてる最中に大瀧詠一死去のニュース見た。あああ…。
今年は辛い死が多い。

作風の大変化した作品にも関わらず多くのファンから驚きと熱烈な歓迎で迎えられている今作。その変化はニューウェーブ要素とファンク感覚のバンドサウンド化ということになるかと思う。元々ロックンロールリヴァイバルという題目で出てきていたこのバンド、しかし1stの頃から「NW以降のミニマルな感覚でラモーンズ的ロックンロールを演奏」していた感じもあるので、それが今作の変化でも極端な違和感を感じさせない一因か。しかし今聴き返すと前作でもNW要素はかなり含まれていて、でも今作の方がずっとよく聴こえる、この差は何か、と考えると、ファンク要素の増加がポイントに思える。特にファルセット交えて抑揚利いたボーカリゼーションとギターフレーズの変化が大きそう。どっちも今作の重要な聴き所。『Tap Out』『Welcome To Japan』『Slow Animals』に顕著。これらに挟まれると従来的な『All The Time』『Partners In Crime』も輝きを増すという、理想的なバンド転機の作か。ぼくは個人的にまるえつソロのシングル曲集めたプレイリストを作り愛聴していたが、それがそのままアルバムになっちゃったような作品、大好きじゃない訳が無い。流石にシングルのリッチな楽器演奏の方がライブレコーディングよりもいいなと思う瞬間もままあるけど、それでもこの全盛期ビートルズかなにか(言い過ぎ)と思える名曲を所々ライブならこんなふうになるんだーと思いながら続けて聴けるのは嬉しい。この選曲にあと『ルル』と他のシングルカップリング曲数曲あれば完璧、だけどこれでも十分。ライブ的な緊張感も感じれる『廻るピングドラム』関係二曲(ドラムがスタジオ音源より勢いも生感もあるのがいい)や、曲自体のコンパクトで普遍的な可愛らしさをそのまま自分のものにしきってるNHKみんなの曲カバー群(特に『恋するニワトリ』『メトロポリタン美術館』。余談だけどこの辺の曲全部カバーって知ったの割と最近でなんか恥ずい…)が特に素晴らしい。そりゃそうだ的な残酷なことだが相対性理論の新譜よりもずっと良かった。この辺で疲れてきた。

基本的に新譜で邦楽のは結構な部分をツタヤで済ませられるので大いに助かるが、洋楽でそれは難しい。で、バンバン新譜買えるほどの金もないとなると、どうするのか。いやいや、借りれるとこあるでしょ…これもそんな一枚。NYのシーンとか全然詳しくなくてっていうかそもそも外国の音楽について殆どアンテナなしな自分にとって、ツイッターで名前見かけたことある、誰かがピッチフォーク言及の中で挙がってたバンドだ、みたいなのが数少ない情報源だったりする。このアルバムはその中でどうにかたどり着けた一枚。いくらでも取りこぼしがあるんだろうなあ…。
全体的に、前作から一気に上昇したBPMと、その分より感じられるようになった金太郎飴感が印象的。でもこの弦の振動が生々しい感じのクリーン気味ギターの音とか、いちいち小節最後にバタバタしないと気が済まないドラムとか、すごくインディミュージックを象徴してる感じがあって(サウンドの感じは違うけど、ぼくが去年アートスクールの新譜を激賞したのも同じような感じがしたから)なんかグッと来る。これこれ!って感じ。楽曲単位で見ると一曲目の勢いをさらに増しで引き継いだような『Generational Synthetic』、アルバム中盤のどっしり感『Taking Off』から一気に加速し耽美なメロディも持つ『Shallow』の流れ、そしてアルバム最後かけ声とも言えないようなけだるい声から一気に加速してその調子のまま後半すごいとこまで行く『Crashed Out』などが特に好き。先行シングルとかも聞かない中の唐突なリリースだったように感じたので、「あ、出すんだ」と思って試聴したらメチャクチャに良かった。ユニークで大雑把ででもそもそも曲がいい、みたいな髭の美点がいつになくバランスよく展開された充実作。ソングライティングの安定は昨年の須藤ソロの成果か何か?それよりもソロでも何作かに関わってたギターの斉藤氏がリード曲的なの書けるほどにソングライティングに関わってきていて、そこが特にチャーミングなところ。
一曲目からふざけたコーラスとジャンクさと爽快なメロディが合わさった『とても愉快なテオドアの世界』に始まりもうずっと髭の音楽の上澄みみたいなのが続くが、ジョーク感覚な元の曲の続編とは思えないほどロマンチックな展開を見せる『ハリキリ坊やのブリティッシュジョーク2』、ご無沙汰じゃないっすかーな骨砕けオチなしな雰囲気最高『キングスバリー・マンクス』からの斉藤氏渾身のニールヤングみたいにシリアスな雰囲気のペン『ツァラトゥストラ』を経て初期髭の強引でユーモラスなな勢いを取り入れた『ベルボーイ! ヘルプミー!』の流れ、ソロからのフィードバックが特に感じられるやはり斉藤氏作曲のまったりと気が遠くなる『フラッシュバック』など、総集編的な充実度。この次何するのか心配になっちゃうようなタイプの作品でもあるけれども…。

4/5につづく。
そして実家に帰らないといけないのでこれが多分2013年最後の更新か…。
書くことは無数にあるのであとはそれをアウトプットまで届かせるバイタリティなのだけど…。
来年は体力作りでもするか…(肉体的にも精神的にも)