ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

(翻訳)『Chili Lemon Peanuts』Sun Kil Moon

Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood

Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood

 

上記アルバムの、disk1の2曲名に収録された楽曲の歌詞の(Google翻訳を頼りにした)翻訳です。

1曲目と打って変わって、どんどん適当に自分の身の回りや、最近したこと、今食べてるものとかについての話ばっかりして、終いに「今から適当に聖書を読み上げるね」とか言い出して、ホントに中身無いな、やる気ねえならこんな曲作るなよ、とか思ってたら、段々自分の人生の不安とか言い出して可哀想になってきた、かと思えば夢の中で自分がどれだけかっこ良くキモい奴をブチのめしたか話しだし、そして最後は楽しみにしてたボクシングの試合が思う通りに進まずに「まあ、これも人生だね」などと残念なことを言い出す、残念な中年がいますよ。Markはかわいいですね。

曲自体、聖書の辺りからドラムがなくなって静かになるのはいいけど、そのまま最後まで行くのかよ…最後の方本当にしゃべりだけじゃないっすか…これは英語圏の人も聴いてられなくないか…とか思うような感じで、ぶっちゃけ捨て曲感ありありで、結構いいドラム叩いてるスティーブ・シェリーが可哀想になってきますが、しかし歌詞だけ読むとなかなか、エッセイじみた小説みたいだと完走後思いましたが、いかがでしょうか。

 

 

オーバーンからダイヤモンドスプリングス*1へ、景色を見にドライブ。
晴れた春の日、橋の下でアメリカン川の水面が輝いている。
金が発見されたサターズ・フォートからブドウ畑やリンゴ果樹園まで回る。
クールという町の橋や看板を通り抜けていった。
いや、でもその看板はティム・ムーニーにとっては、彼がネバダ市でこの世を去る前に見て取った最後のものだった。
彼の妻や、娘のディクシーのことを思って泣いたのが夏のことだった。

 

4月2日になってもクリスマス飾りが家に飾ってあった。
表の芝生は刈り取られていて、裏庭には落木が横たわっていた。
明日、僕の雇っている庭師が木の処理に来る。
僕は玄関で、古くて埃被った聖書を読みはじめながら歌詞を書いている。
床にはホーナー製の古いペアロイド・アコーディオンが置いてあり、
あと、3つのガスランプと2つの骨董品、その他まがい物が飾ってある(?)。
僕はここに出てきて、気分が良くなったので、今このとき、このビクトリア調に仕立てられた黒く大きな玄関にて、言葉を紡いでみせる。

 

次にちょっとばかり書き残しておきたいのが、まあそんなに悲しいことでもないけれども、マニー・パッキャオとティモシー・ブラッドリーとの試合*2(?)のこと。
僕はマニーの判定負けを予想してたけど、4,5発頭部に大きいのを貰って、結局相手が勝ってしまった。
その後僕はガルフコースト*3の牡蠣を食べにニューオーリンズに下った。
そう、その通り!僕は夢に生きているんだよ、貴方様。
最初にギターを手に取ったときに、隣の奴とは違う人生を歩んでいくことになることを僕は知っていたんだ。

 

外で鳥達がツイート、ツイート、ツイートしまくっているのが聞こえる。
遠く離れた高速道路の車の音も聞こえる。
フクロウがホー!ホー!ホー!と木の上から鳴いてるのも聞こえるし、
地下でスペイン語のラジオが何か話して、喋って、喚いてるのも聞こえる。
ちょうど食べていたオイルサーディンの匂いがする。
ペンを置いて空を見上げて、世界最大級の笑顔を夢見てみる。
ほんの戯れに、聖書の適当な一節を読み上げてみせよう。
僕がこの家を所有してからなんかずっとそこにあった聖書だ。
開いたままになってたようで、僕は誓って触りもしなかったが、家政婦が気付いて閉じたらしい。
じゃあ読んでみよう、ちょっとばかりね。
後で松の木でも眺めて、心が漂流するように。

 

ルカの福音書 第9章
それからイエスは十二弟子を呼び集めて、彼らにすべての悪霊を制し、病気をいやす力と権威とをお授けになった。また神の国を宣べ伝え、かつ病気を治すためにつかわして言われた。
「旅のために何も携えるな。つえも袋もパンも銭も持たず、また下着も二枚は持つな。また、どこかの家にはいったら、そこに留まっておれ。そしてそこから出かけることにしなさい。だれもあなたがたを迎えるものがいなかったら、その町を出て行くとき、彼らに対する抗議のしるしに、足からちりを払い落しなさい」
弟子たちは出て行って、村々を巡り歩き、いたる所で福音を宣べ伝え、また病気をいやした。

ね。イエスキリスト様の本をちょっとばかり読んでみましたよ。
今はヒマワリの種とチリレモンピーナッツを食べていて、グラソー・スマートウォーターをちびちび飲んでいる。
そして寝ていた。2階から僕の彼女が起こしにくるまで。

 

夜の12時45分、サタデーナイトライブ、グウェン・ステファニー、あと、こっちの背の低い俳優、何て名前だったか…。
僕達は美しい夜に美しく死んでいるようで、僕は彼女やこの家、そして奇跡みたいな自分の人生を愛している。

 

ヴィダラホテル*4にて夜中の1時4分。
部屋番号は14015。2016年4月9日のことだ。
この日は沢山のキスで始まった。
あなたは14日までに南カリフォルニアに行く途上で、僕はラスベガス、その後にニューオーリンズへ行くところだった。
あなたがさよならと言って僕のアパートのドアの向こうに消えていったとき、重い感覚がのしかかってきて、その大いなる現実味にたじろいだ。
僕達は残りの人生を一緒に生きていくだろうな、ということ、そしてそれがとても幸せで心地よいだろうなという、その実感。
でも同時に、いつか最期の別れの瞬間が来るということも、より重くのしかかってくる。
毎日僕達は死に近づいていく。死後の世界に幻想なんて持っていないし、また自分の魂がいつまでこの星に存在していられるのかも知らない。
又は、充実した暮らしをあと、5年、10年、15年とやっていけるのかも分からないし、どこで僕等が最期のお別れを交わすか、その時どんな状況か、なんてことも見当がつかない。
あなたの健康がどうなっていくかも知らない、ねえ、どっちかが死ぬときにそもそも僕達は一緒に居れるんだろうか。
僕は、さようならなんて言うのは嫌いだ。
世界一痛ましく思えた人たちとの別れなら、もう十分すぎるほど味わった*5
こんなに悲しみに満ちあふれた人生、永遠になんて生きていたくない。
さっき見た彼女に心を輝かせていくんだ。
凄く暑い日のテンダーロインで、車の中で寝ていた彼女や子どもに。
駐禁のとこにいて、すっかり寝入ってしまっていたんだもの。
彼女は膝に大きな地図を広げていて、だけど僕はドアをノックして、彼女はこっちに話せなかったけど、まあオーケーだった(?)。
僕の人生きっての願いは、僕が死ぬときにあなたが側に居てくれること。
僕は49年間という長い月日を生きてきた。
でも、あなたと過ごした月日こそが僕の人生で最良のときだ。
僕は歳を取っていくし、それに胃が膨らんできて、嫌な感じがする。
僕はだらしなくゲップをして、こうなると思いもしなかった腸をした中年の男だ。
そしてここ、ラスベガスに僕はいる。
僕よりも腹が出た家族連れの男が、ガンズアンドローゼスのTシャツを着てほっつき歩いている。
パッキャオの試合を観にフィリピンくんだりから来た連中とエレベーターで一緒になる。
俺はあと何回ラスベガスに来るんだろうな。
僕はパッキャオを、2000年のサン・フランシスコ、ビル・グラハムの元で台頭して来たときに見た。
今や彼は37歳で、これが最後の試合になるらしい*6
僕はブラッドリーの判定勝ちに賭けている。
パッキャオが勝てば本当に引退試合になるだろうこの試合を見に来るために、僕はラスベガスに来てる。
僕は歳を取っていくし、ラスベガスはこれまで通りにワイルドだ。
しかし、僕はどうも疲れていて、冷蔵庫の微かなハムノイズが聞こえる。
僕の心も目も、色褪せてきている。

 

4月9日午後1時3分、ヴィダラホテル。
昼食のために、2時にトニーとホテルのロビーで待ち合わせの予定。
CNNを点けたらこんなニュース。
「パリでテロを起こした逃亡中の犯人は、ブルッセル爆発事件の実行犯と同一人物の模様」
僕は9時に目を覚ました。
昨日飛行機で恐ろしい夢を見た…キャロラインと僕がトカゲ顔に整形手術した気持ち悪い男に付け回される夢。奴は僕達を追ってホテルまで来た。
でも僕は駆け引きをしようとして、奴に向き直って、バーが近くにあるバルコニーで会おうと奴に言った。
僕達が着いて話し始めると、奴はこっちを侮辱しはじめた。
なので奴の飲み物を道にはたき落として*7、奴が動じずにそこに留まったので、奴の首を掴んで持ち上げ、バルコニーに押しつぶした。
クソして死ね、俺達のところから出て行けクソカス、と僕が言って、ようやく奴は黙り込んだ。
そして立ち去るときにキャロラインが僕に、あのクソ野郎をよくやっつけたね、と言ってくれた。
夢の内容はこれでお終いだ。

 

4月10日、ラスベガスからニューオーリンズ行きのユナイテッド航空、シートは2Eだった。
試合は僕の思ったようにならなかった。
僕の見立てでは、多くの人が、ブラッドリーが、最低でも判定勝ちするだろうと判断して金を賭けていたはずだ。
しかし彼は2回ノックダウンを取られて負けた。
ブラッドリーにも何度かチャンスがあり、僕は席で飛び上がって、拳を中に振り上げて興奮のうちに観戦してた。
でもマニーの方が動きが早く、カウンターを彼に決めた。
あの夜、マニー・パッキャオは最強だった。
僕達は19Bのシートで、選手出入口の右側だった。
ブラッドリーが通り過ぎていく時はバツが悪かった。
彼のトレーナーのテディ・アトラスはしょげていたように見えたけど同時に、盛り上がった時と同じくらいにはストイックだった。
マニーの母親や奥さん、子供たちは試合中、おしなべて笑顔だった。
試合の後も僕は長いこと座っていて、この負けに口ごもって唸っていた。
負けた分の金を支払わないといけない。試合は予想どおりにいかなかった。
そして、人生もそういうものさ。

 

『Chili Lemon Peanuts』

 lyric by Mark Kozelek 翻訳:おかざきよしとも(@YstmOkzk)with Google

*1:カリフォルニア州サクラメント近郊の地名

*2:両者ともプロボクサー。この辺の内容は試合内容的に2012年の第一戦?Mark Kozelekはボクシング好き。Sun Kil Moonもボクサーの名前から取っているほど

*3:アメリカ南部の海岸沿い全般? 具体的な店がなんかあるのかな

*4:ラスベガスの高級ホテル

*5:『Benji』があるからこそ、この辺は多少なりともよく分かりますね

*6:歌詞の前にあったティモシー・ブラッドリーとの第3戦(2016年4月)のこと。パッキャオが判定勝ちし、白星で引退を飾った、かに思えたがその後僅か4ヶ月で引退を撤回したそうです。Wikipedia情報。

*7:ポケモンならダメージが増えます