ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『macbookpromid2012』セルフライナー

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 前回のサブスクにない音楽の記事でこのブログを読まれるようになった方々にとってはアレかもしれませんが、ぼくは宅録を細々とやっていて、このたび、2021年3月5日にアルバム『macbookpromid2012』をBandcampにてリリースしました。フリーダウンロードになります。

 

 今回はこちらのセルフライナーノーツというかセルフレビューというか、そういうものを書きます。

今回ばかりは本当に自己満足と自己顕示欲だけで書いていきます。

 

アルバムの経緯

 今まで使ってたMac Book Proはじゃんぱらで買った中古のmid201のもので、メモリが8GBだけなのが段々使用に支障が出ていて、特にDTMの作業においては、立ち上げの時点でかなり時間がかかり場合によってはプラグインが作動せずにフリーズが起こったりと、スペック的に厳しくなった。なので最新のMacBook等に着替えを検討することとなった*1

 それで、このデバイスを使って制作する最後の曲という意識をもって完成させた曲だった『ロウライフ・スロウライフ』をリリースした後に、せっかくだからこのデバイス宅録して作った楽曲の選りすぐりをしたアルバムを弔いにリリースしよう、と思いついて、それで選曲・ミックス等のやり直し・一部パート録音し直しなどをして、リリースにこぎつけた。元々宅録のアルバムをいくつかリリースしていたのと、あとコンピに提供してた楽曲がいくつかあったので、折角だからそういうのも集めておこうと思った*2

 こうやって選曲してリリースした過程で、各楽曲の制作状況とか、何を目指して作ってたかとかが思い出されてきたので、今回このように忘れないうちにまとめておこうと思った次第。今回のコンセプトは”恥ずかしがらないこと”で、そもそもこんなベスト盤的なもの出してる時点で自意識過剰なんだから、それを恥ずかしがらずに、このように長大なセルフライナーノーツも、ノーブレーキで書いてしまおう、ということ。一切の自主規制なしに、思いつく限り書きます。

 

収録曲

 以下15曲、1曲を除いて全てLogic pro Xを使用して録音してます。

 

1. ロウライフ・スロウライフ(5:46)

(2021年2月 For『SPECIAL EDITION』)

 上記のとおり、このデバイスで最後に作ることとした楽曲。最新の楽曲が先頭に来るのってベスト盤あるあるだと思う。先頭にしては陰気か。旭川市のバンドHappy Valley Rice Showerのドラムの橙さんがされてるSPECIAL EDITIONというインターネット上の展示会に提供する楽曲の2つ目でもあったけど、これはこのデバイス最後の曲としてもどの曲を出すかたくさんあるストックの中から色々考えた結果、この、iPhoneのボイスメモに残ってた2015年頃に原型のあった曲にした。

 こういう気概のもとで作って、そしてなかなか満足いく具合に仕上がったとは思ってる。淡々とした8ビートで静かな抑揚の中進行していく様はART-SCHOOLの一部の楽曲(『1965』とか『LOVERS』とか『君は僕のものだった』とかそういう淡々とした系統の楽曲群)を強く意識したもので、曲展開といい久々にART-SCHOOLマナーを徹底してみた。2回目サビ後のブレイクだったりドラムの単調で重いフィルインだったり終盤の頭打ちのリズムだったり。その割に5分を超える、今作でも2番目に長い尺になったのは自分でも不思議。

 曲構成的には、延々と同じコード進行(Ⅳ→Ⅲ→Ⅱ→Ⅰ)だけを繰り返し続ける中でヴァースとコーラスを乗せたもの。ギターのコードは全て5弦ルートで抑えていて、1、2弦はずっと開放弦になってるのは自分もよくやる手法。ひと回しの最後のちょっとしたリフは今回の制作に入ってから付けたけどNew Order『Regret』みたいになって気に入ってて、ベース含む全パートで同じリフをユニゾンするのもアホっぽくていいなって思ってる。ベースはDistortionプラグインで歪ませてあるけど、これもART-SCHOOL『LOVERS』で歪んでたからそのまま採用してる。最後の最後でギターだけ残って静かに終わるのはやはりART-SCHOOLの『シャーロット』意識だけどこれはもっと小さい音にしてそれっぽくすれば良かった…。

 あとはボーカルにロータリーのエフェクトを掛けたり*3、中盤以降に出てくる効果音的なギターの3音反復だったりが気に入ってる。今回の15曲の中でも上位に入る気に入り具合。

 あと、歌詞も曲タイトルも、このデバイス最後の曲として決めた後に決まった。タイトルはiPhoneの自分のメモに書き溜めてた思いついたワード集の中からいい具合に当てはまるものがあったのでこう付けたけど、自分のネーミングセンスがこういうダジャレみたいなのばっかだと今回曲を集めてみて改めて思わされた。メロディに悪くない形で合致してしまったので。

 

2. シェディーレーン・シャーベット(4:10)

(2016年12月 Soundcloud  Original by For Tracy Hyde

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 1曲目から陰気だったので2曲目でパッと爽やかな感じにしたかった。

 元々ドリームポップ風な楽曲なのをなぜかシューゲイザー的ギターロックにアレンジ変えて無理やりカバーしたもの。今作には4曲カバーが入っててそれらのせいで一切のマネタイズが不味いことになるのでフリーダウンロードにしてる訳だけど、4つのうちでは2番目に気に入ってる。他人の曲だとこんなにサラッと爽やかでポップなもの作れるんだな自分。

 間奏途中から入ってくるメロトロンのフルートとか、なんか当時元ネタにしてたものがあった気がしたけど思い出せない。ギターの轟音もさることながら、手数の多いドラムの具合が好き。今作までの自分の宅録作品はLogic以降であれば全てUltrabeatというプラグインで作ってる。ドラムの打ち込みは面倒臭いけど、意外とこういう生ドラム感あるフィルインも打ち込むことができる。そういえば今回のミックスし直しの際にボーカル録り直しと同時に一部フィルインをやりかえた。あと意外とベースラインの主張が強かったんだなあと気づいた。

 サンクラで発表した当時結構好評だったのが嬉しかった。事実自分のサンクラアカウントで一番再生回数が多い。それが他人のカバーなのはどうなんだって話は冷静になればあるけども。

 

3. バターフィールド(4:17)

(2020年1月 From『how to die alone』)

 アルバム『how to die alone』は、2019年の確か秋頃以降にまたどうにか何曲かSoundcloud上で立て続けに曲を出せたので、そのまま同じ時期に作ってたもう数曲を含めてアルバムにしたもの。これに至るより前にも色々作品のアイディアあったけど大体ポシャってて、結局なんのアイディアもなく出来ていった曲を集めたアルバムが出た。それも2019年中に間に合わすつもりが間に合わず、次の年の正月明けのリリースになった。

 そんな具合であんまり作品としてどうなのか今一つ自信のない作品だけど、録音の後半では”コーラスを深めに掛けたギターをメイン”みたいな音色で少しだけまとまりがあり、特に今作に収録した2曲は気に入ってる。この曲は曲展開もリズムの取り方もアレンジもなかなか良いと思う。演奏の取り直しもしてないし。色々の元ネタはRed House Painters『Mistress』だけども、結果的にそんなに似なかったかも。

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 1曲通してずっと曖昧なコード(確かadd9)を右側のチャンネルで弾き続けていて、これとコーラス厚めの単音リフとの対比が、少しだけThe Cureっぽさが出てていいなってなった。コーラスの効いたギターの単音リフは不思議な刺々しさが醸し出されて好き。刺々しいのに丸っこい感じというか。あとなんか両サイドのギターのなんか纏わりついてるぼんやりした音はキーボードじゃなくて、ギターにエレハモのPOG2でオクターブ上の音をアタック遅めで添加した結果だったような気がする。シマーリバーブのような微妙にそうではないような音になってる。出したかった感じの浮遊感は出せてたと思う。

 

4. 眠たくなったら(3:01)

(2015年11月 From『おきてがみデバイス』)

 全てがサクッと出来た幸せな記憶のある曲。実にシンプルな構成の楽曲もスルッと出来たし、この曲の雰囲気を決定づけるスライドギターも、こんなにスライドギターばっかり弾くの初めてだったのになんか妙に上手くいって、自分でもしばらく後になってから驚いた。こんなの弾けないけどどうやって…?ってなった。今回の収録についても録音し直したパートは無い。

 メジャーコードでこういう風に派手なサビもなく軽快に快走していく雰囲気の曲は、割と自分の得意な分野なんだと思ってるところがあって、前にやってた女性ボーカルユニットのkalan ya heidiというのに提供した『リリカルトレッキング』なる曲以降、こういうタイプの曲を定期的に出してきてた気がする。

 この曲のブリッジ部のボーカルのあっさりした感じはいいなって思う。それが最後に頭打ちのリズムでⅠ→Ⅳ繰り返しのアホっぽい感じで終わるのもスカッとする。もうポップソングなんて全部Ⅰ→Ⅳ繰り返しの頭打ちでいいんだよって時々思う。

 

5. ヘリポート(3:00)

(2019年4月頃? 未発表)

 今回の収録曲を探してたらなんか、作りかけにしては歌詞も演奏もそこそこ完成してるトラックがしっかりあったので、ちょっと幾らかを録音し直してそのまま収録したもの。右側のギターの適当な感じは当時のままで、しかし終盤のトレモロの利かせ方は前半の適当ギターと同じトラックで演奏されてて、どうやって録音したのかよく分からない。リアルタイムにエフェクターを踏んだのかな。上記の制作時期はLogicのプロジェクトの作成日から判断してる。

 今ひとつ作った覚えがない曲。でも歌詞のイメージは覚えていて、鹿児島市に住んでた頃、海に突き出た埋立地の公園の隅の方にヘリポートがあって、こんな平和なヘリポートにヘリが来ることがあったらそれは緊急事態なんだろうな、と思ってたことから歌詞にしたんだと思う。歌詞を書いた覚えも今ひとつないけども。展開的にはやっぱ歌詞が終わった後の終盤のトレモロでメロウな感じがいいなと思う。ボーカルを録音し直してて、終盤はロータリースピーカーのエフェクトをボーカルにキツ目に掛けてる。

 そもそもこの曲を何のために書いてたのかの理由がよく分からない。当時は確かまだhasu-flower名義のバンド活動をしていて、そっちで出そうとしていたシングルの付け合わせとかにでもしようと思ったんだったか。バンドで練習した覚えもなくて、色々と存在自体が謎な曲。供養されてくれ。

 

6. めくらましメランコリア(4:05)

(2017年11月 From『アンハッピー・ボーナストラック』)

 宅録で作ったアルバムの中では『アンハッピー・ボーナストラック』が特に出来がいいと思うあくまで自分の作品の中では。全編エレキギター不使用の、全曲アコギをメインに録音された楽曲集になってる。この収録曲すべてについては、アコギのチューニングも全て同じ変則チューニングで演奏されてて、オープンDaad9というか、2弦と3弦のみを弄ったチューニングで全て演奏している。この曲のコード感とか不思議でレギュラーチューニングで似たような感じを出せる気がしなくて、またなんかの際に使いたいチューニングだと思う。

 2017年4月に鹿児島に転勤になって、その後にRed House PaintersやSun Kil Moonを初めて聴いて凄く良くてはまり込んだ覚え。『アンハッピー・ボーナストラック』はそういう方向からも大いに影響された作品で、特にこの曲は露骨に『Benji』収録曲っぽさが出るよう願って作ってたと思う。コーラス部のメロディはART-SCHOOL気味だけど。

 『Benji』収録曲の暗いやつっぽくなるように作っただけあって暗い。ルートの動きだけ見たら明るくなりそうなのにコード感が暗い。この曲のコードをはっきりと名前つけて書き出すことができない。ボソボソ歌う歌も気力がない感じ。もっと気力がなくなるよう今回歌い直した。コーラスのつけ方とかもろに『Benji』っぽくなるようにしようとしてうまくいってない感じ。

 あとこの曲はアコギと歌とドラムの他に足した楽器の静かな不穏さが気に入ってる。Logic純正のエレピのウーリッツァーのクラシックの音はいい具合にショボくて、そのショボさから来る無機質さや寂しい感じが好きだけど、この曲の効果音的なのを反復させ続ける使い方は自分にしては冴えてるなと思う。終盤だけ出てくるヴィブラフォンも神経質で根暗な響きになってて気に入ってる。

 

7. そのまどろみを信じるならば(3:53)

(2017年1月 For『"Panopticon" parking lot​.​compilation vol​.​2』

 やはり北海道は旭川のバンドHappy Valley Rice Showerのたびけんさんが主催して出したコンピの2枚目に提供させてもらった曲。確かhasu-flowerのバンド作品『くさったブルース』の録音と同時並行して作曲・録音したけど、その頃の勢いとか何とかがあったのか、非常に抜けがあって演奏のアイディア的にも豊かな楽曲で、今作でも上位のお気に入り。コンピ提供系ではこれが一番好き。『眠たくなったら』等と同じ系統の爽やかな曲調に、たっぷりとダメダメな歌詞が載ってる。アンフェタミンがどうこうとか何言ってるんだ?って感じ。歌詞も気に入ってる。後半の歌詞は大体好き。

 

溺れ死ぬなら汚れた海で 寒く七色に光る朝

 

 楽器の種類は今作でも圧倒的に多い。ギターだけでもアコギとエレキ、エレキの方もコード弾きにスライドにトレモロに終盤のギターソロにとてんこ盛りだし、冒頭から逆再生シンバルだし、アコーディオンとピアノ両方とも同時に鳴ってるし、なんか間奏ではSEまで入ってくる。今作で一番カラフルな演奏だと思う。録り直しする隙間も見当たらなかった。特に終盤の、Wilcoっぽいことをしたいけどなんか工夫がしたいということであんなリズムの上でギターソロ弾くのは上手くやったなと思った。元の音源はリズムがずれてたのでそこは修正したけど。

 順調にバンドがやれてればこの曲とかライブで演奏できてたかもしれない。楽器数が多いのがひたすらネックだけども。

 

8. くれない埠頭(7:24)

(2020年1月 From『how to die alone』Original by MOONRIDERS

 今作に入ってるカバー曲4曲の中で一番気合が入ってて重たくて辛気臭くなってるのがこの曲。原曲から違いすぎて完成した時笑ってしまったけど。

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原曲のこのボヤーっとした透明感のあるメロディがマイナー調に合ってしまったのが運の尽きだと思う。冒涜的カバーだと思うけど、ファンの方からのコメントはディスも好意的なものも一切なかった。

 イントロの雰囲気だけだと初期GRAPEVINEっぽい雰囲気もあるけど、これはスロウコア的なものを狙ったアレンジ。原曲本来の水辺の感じとギターアレンジのウェットな具合とで、荒野の感じはあまりしないかもだけども。ギターサウンドのみで埋め尽くしてキーボードとか入っていないのが気に入ってる。この時期手持ちのギターがずっと不調で、弾いてない時にノイズを大量に放出していたので、プラグインでDenoiserなるノイズ除去のものを強烈に掛けたらギターの音が変に潤んでしまって、でもその感じがかえって好ましく思えたのでそのまま採用した。

 特に3分半のあたりで一回ブレイクしてからの重苦しさは原曲のぼんやりした軽やかさから程遠い光景になってて、実に気に入ってる。世に数あるであろうこの名曲のカバーでもこれほど壮絶ぶってるのも珍しいだろうなと。終盤の延々と繰り返しするところが原曲どおりなのにひたすら重たいのも、自分で笑ってしまうけど良い出来だと思ってる。作曲者の鈴木博文さんには申し訳ない気持ちもあるけど、こんなことになってしまいました許してください、と言う他ない。

 

9. ロックンロール(4:16)

(2016年1月 For『parking lot.compilation vol.1』

 7. と同じくたびけんさん主催のコンピの、こっちは第一弾の方に提出させてもらった曲。タイトルはまあ、全然ロックンロールな感じがしないこの曲への当てつけと、あとは歌詞のメロディにこの単語が当てはまってしまったことから。

 シャッフルのテンポで、かつこういうウエスタン的なリズムで楽曲を構成してみようという試み。当時は確かThe Beatles『Old Brown Shoe』みたいなリズムを目指してたと思う。元々はイントロのリズムギターが弾いてる微妙なリフを前面に出すつもりが、まあスライドギターに喰われて、そういえばなんかリフがあったな…程度にかき消えてる。アコーディオンバンジョーを伴奏に入れたり(プラグインでキーボードによる演奏)、メロディの展開の組み方が変だったり色々意欲的だったんだと思うけど、特にコーラス部の伴奏が思い浮かばなくて、挙句歌メロと同じギターを弾いてる。

 この曲も終盤の図太いファズギターが聴きどころになってる。元々のトラックにあったリズムのズレはこちらも修正した。なのでファズギターのギャグみたいな重さがすっと響くようになった。あと原曲ではフェードアウトしてたのを、再ミックスの時に面倒臭かったのでそのまま演奏終了までにした。

 

10. バニーガール・レプリカント(3:02)

(2015年11月 From『おきてがみデバイス』)

 一体何回この曲を出しているのか…。hasu-flower名義でBandcampで最初に出した弾き語りミニアルバムから始まり、その次の『おきてがみデバイス』にバンド演奏”形式”のバージョンが、『くさったブルース』に本当のバンド演奏によるバージョンが収録され、そして今回、『おきてがみデバイス』のバージョンのリズムのズレを直そうと思ったけど今回は全体的にズレが大きく、上の何曲かみたいにドラムだけを直せばいい、という状況じゃなかったので、結局ドラムパート以外を全て録音し直した。つまり今作収録分はこの曲の実質ニューバージョン。この作業中はさすがに何をやってるんだろう…と後悔した。

 すげえ簡単な作りの曲だけど、メインのギターフレーズは自分が作った繰り返しのフレーズの中でもとりわけ印象深いものかも。今回弾き直してみて、でも元のやつの方が音が良い気がしてがっかりした。でもリズムは前よりマシになった。元のにはピアノが入っていたけど、今回のにはアコギのミックスを大きくして、あとチェレスタを弾いてみた。チェレスタのリバーブが大きすぎた感じはある。

 「3分以内に収まる曲」というコンセプトで元々作ってたのをまんまと忘れて、3分を少し超える尺になってしまった。まあいいや。

 

11. 虎を放つ(5:11)

(2018年1月 for 有志によるGRAPEVINEトリビュート Original by GRAPEVINE

 申し訳ない話、この曲を提供したコンピが何だったか、誰の発案による企画だったか、忘れてしまった。覚えているのは、締め切りを過ぎてもこの曲のギターの録音が終わらずに憔悴してたこと。無謀にも、ろくにギターが弾けないくせにどうしてギターソロの箇所が半分以上のアレンジにしてしまったのか。

 GRAPEVINEWilcoを大きな影響元と公言して以降の”近代GRAPEVINE”の楽曲で、自分も存分にWilcoしてみようという挑戦だった。結果として、沢山の冗長で無様なギターソロが演奏されていて、自分の演奏能力のよろしくなさを思い知らされる。志を感じ取って補完してほしい。むしろギターソロがない箇所の方が演奏的には好きな部分が多くて、ワウで牛技エフェクトみたいな音が出せるって気づいたのは嬉しかったし、サビの伴奏とかにしてみたかったファズギターのロングトーンも思うようにできた。ひたすら、間奏のギターソロが、音色もフレーズもプレイの品質も四苦八苦して、今作でもそこは弾き直していない。あとはやはりリズムギターがリズムに対してズレてた気がしたので弾き直して歌も再録してみた。少しはマシになったかな。

 歌が終わった後のギターソロは本当に苦行で、メインフレーズのようなものを展開させきった後のネタがなくて、変なテンションの中WilcoImpossible Germany』のフレーズをそのまま入れ込んでみたり、拙作『リリカルトレッキング』のメロディを弾いてみたりでどうにか最後まで間をもたせた。もう絶対こんなギターソロばっかりの曲なんてやらない、って思った。原曲は全然こうではないので、これについてGRAPEVINEは本当に少しも悪くない。

 

12. 太陽は夜も輝く(5:18)

(2016年初頭? Soundcloud  Original by WINO

 これは弾き語りのカバーだけど、今まで自分が歌った歌の中で一番上手いかもしれなかったので収録した。おそらくiPhoneのボイスメモで録音したものにLogicでフェードアウトを付けた音源みたいで、軽い気持ちで作業してたのか、これだけLogicのプロジェクトのデータが残ってなかった。WAVデータすら存在してなかったので、サンクラのmp3のデータからBandcampに上げる用のWAVのデータを作り直すという情けないことをした。

 原曲はHUNTER×HUNTERの旧作アニメのヨークシン編OPとして有名で、夕方アニメにしてはダークすぎる映像の感じや他のアニメと比しておどろおどろしいこの曲など、ぼくだけでなく世代的に、中二病とかいう概念を遥かに超えたレベルで大きな印象を残したことと思う。歌ったバンドであるWINOがこの曲のヒットから後が売り上げに恵まれず解散してしまったのは残念で、特にこの曲も収録されている『Dirge No.9』は、まるでOasisニューウェーブRadioheadに感化されたかのような、リリース当時の時代の感じを色濃く残した名盤で、その元々のバンドカラーと反するようなダークさがすごく好きで、とても勿体無いなと思う。

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 今回このカバーを今作収録するために聴き返してて気づいたのは、意外と原曲の節回しを忠実に再現していたこと。原曲を聴いて「あっこここんな節回しだったのか…あちゃー…」みたいに思ってたところが、ちゃんとそれに合わせて歌ってあったりした。ちゃんと原曲に寄せた低い声で歌おうとしてるし、自分こんなのも歌えるのか…と今更思ったりした。あとこれ多分普通にマンションの部屋の中で歌って弾いて録音したんだよな…と思うとその光景の近所迷惑さが恥ずかしくなる。

 

13. 何を話せば(1:58)

(2019年2月頃 未発表)

 実に短い!この曲はバンドで演奏するために書いた曲で、バンド形態のhasu-flowerは2017年初頭までレコーディングしたあとメンバーが抜けたりして意気消沈して録音物も宙ぶらりんになり、それを2018年中にどうにかリリースまでして、メンバーを入れ替えて1回だけリリース後のライブをしたけど、その後新曲を3曲ほど練習してたらまたダメになってしまって今に至ってる。その時に自分が提示したデモのうちひとつがこれ。それをそのまま今作に収録。バンド演奏できるようにギタートラックは二つに抑えてある。ちなみに他2曲もバンド演奏用にギター2本でアレンジしたデモがあって、その2曲も今作に入れられるクオリティだと思ったけど、その2曲はここにおまけ感覚で収録するには良すぎたので収録を見送った。うち1曲は今まで作った曲でも最上位に気に入ってる。

 この曲は確か、スカートとかがたまにやるような2分以下の小品を作りたいという気持ちと、Deerhunterのライブを大阪で観て自分もああいう音出したーい!っていう気持ちとが合わさった曲。意外にもZOOMのマルチストンプに入ってる”Space”なるリバーブエフェクトで簡単にこの曲の轟音が鳴らせたので驚いてしまった。ザリザリするファズ風ギターはWMDの『Geiger Counter Civilian Issue』というビットクラッシャーのエフェクターで弾いてる。これファズっぽい音が鳴るのに弾いてない時のノイズが皆無で、根本的にファズと構造が違うんだな…って思った。短いメロディ展開で轟音とそうじゃないところを繰り返すこの曲の展開のさせ方は気に入ってるし、そして声を残してあっさり終わるのはART-SCHOOLの名B面曲『レモン』のオマージュなのでもっと気に入ってる。

 録音まで行ってれば、シングル曲にする予定だった他2曲のうちの片方のカップリングにでもするつもりだった。バンドにしても宅録にしても、色々ボツになったプランがたくさんある。ボツになった理由を考えると色々と残念な気持ちになるけど、新しいMac Bookに変えたら作業効率アップでこの辺改善されるのか…福岡に帰ってきてもうすぐ1年で、全然曲を作れていない状況ではあるけども。

 

14. あんしんアンダルシア(4:57)

(2018年8月 Soundcloud

 最後の最後になって、この曲を追加した。リズムが生ドラムではなくてリズムマシンのもので質感が違うかな、と思って外そうとしたけど、でもやっぱこの曲出来がいい、と思い直した。何か撮り直そうかとも思ったけど結局ミックスし直しに留まった。ギター録音の時のノイズが乗ってるままなのが歯がゆいけどもう力尽きた。

 毎年夏にサンクラで新曲を出す習慣がこの頃まではあって、それで夏をイメージした茹だるようなドリームポップとしてこの曲を作ったみたいだけど、シンセ等無しにギターだけで構築したこの曲のぼんやりした音像が結構いい。当時のプロジェクトを見てもプラグインにはEQとコンプしか刺さってなくて、このギターのリバーブ感はエフェクターか何かによるものなのか、と分かった。何を使ったんだろう真剣に分からない。なかなか良いリバーブ感だと思った。

 楽曲も、久々に聴いたら終盤に大サビみたいなのがあって、こんな曲作ってたのか…と地味に驚いた。ブリッジのアンニュイなコード進行が、どういうのだったかは忘れたけど好き。多分ディミニッシュとか入ってたと思う。ドリームポップとか普段全然聴かないけど、「まあこういう感じやろ」程度の気持ちでもこういうトラックが作れることがあるんだなあと思った。

 

15. アンハッピー・ボーナストラック(5:34)

(2017年11月 From『アンハッピー・ボーナストラック』)

 タイトルがタイトルなのでどんな時でも一番最後に収録せざるを得ない業を背負っているけど、今作で1番気に入ってるし、これはもしかして名曲って言ってしまえるんじゃなかろうか、と、他のよりもいくらか自信を持った上で思ってる。今まで作った曲の中でも最上位に好きなやつのひとつ。

 アルバム『アンハッピー・ボーナストラック』は、元々はこの曲のメロディを作るべくこの曲のリフを弾き語ってて、弾きやすくするために変則チューニングをしたことから始まった作品で、その変則チューニングを放置したまま他の曲を作ってたことで、上記の『めくらましメランコリア』含む書く収録曲が生まれた。この曲の録音は確か最後の最後までかかった。この頃オーディオファイルの波形を直接弄れることに気づいて、この曲や他のいくつかの曲のボーカルの波形を一生懸命弄ってた覚えがある*4

 はっきり言ってRed House Painters『Over My Head』のパクリなんだけども、上手にパクれなかった結果別物になってる、もしくは原曲の感動的なアコーディオンをこっちではメロトロンのフルートに替えて、しかもかなり垂れ流しにしたことでいい具合にあの曲のバリエーションみたいになれてると思う。フルートのフレーズは感覚的だけどいい具合にぼんやりと切ない感じがして、延々と同じアルペジオを繰り返すアコギに感動的に合ってると思った。アコギも歌もドラムもプラグインのベースも、どれも手を加えないといけないと思うところは無く、当時のままの演奏を少しだけミックスを変えるに留まった。

 自分は、同じコードやリフの繰り返しで作曲するのが得意なのかもしれない。今作冒頭の『ロウライフ・スロウライフ』にしても、『何を話せば』のところで書いたお気に入りの1曲も、ずっと同じコード進行というかリフというかを反復し続ける。反復していく中で、コード進行ともリフともつかないギターのプレイとかが、同じ反復なのにメロディの後ろで響き方が変わる感じとかが好きなのかもしれない。好きだからこそ、以下の弊ブログ記事も弊ブログでも有数のPVの伸び方をしたのかもしれない。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 この曲の歌詞も好き。延々と同じ繰り返しをする曲は気が遠くなっていくから、載せる言葉もいい具合に光景がぼんやりして、どんな言葉もそんな色付けに引き寄せられるように出てくるのかもしれない。まあこの曲の歌詞は苦労した覚えもあるけど。

 

コントロールのふもとで偏頭痛を抱きしめる
エンドロールまで観ずに席を立ち離れ離れ

散策路で眺める砂と術の混ざり合い
病んだカーブで輝く デンドロビウム座を探す

真実を言う感覚もなく全部にべなくフライアウェー
昏睡の海 アンテナの町 ほんのちょっと風を感じて
ぼんやりしていた

顰蹙を買い慣らす ウィークエンドの惨死体
タービンを殺す熱 ダークナイトの袖を引く

反則をする 幻滅をする 踏んづけてくれマイブルー
輪郭が揺れ アイス溶かした 排気口で名前落として
ぼんやりしていた

感受性が事切れる 暗黒の並木道
オキシドールに預けた きみの声の高い部位

 

それにしても今作に出てくる曲の歌詞、しょっちゅう昏睡したりしてる気がする。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 以上15曲でした。

 一度こういう風に自分の拙い作品について延々と思うところを書いておきたかったので、今回の記事は様々な意味でいい訓練になりました。読んでくれた人は、こんな徹頭徹尾自分のためだけに書かれた、何のためにもならなそうな記事を読んでいただきありがとうございます。

 新しいMac Bookに替えたら、今度こそもっとマシなトラックをたくさん作れるようになりたいな、でもそのためには努力が必要なんだよな…と思う今日この頃です。頑張りたいです。

*1:実はこの記事を書いている段階で新しいMacBookを購入済みだけど、まだ開封してなくて、結果としてこの記事まで元のMacBook Pro mid2012で書くこととなった。

*2:コンピ提供曲だとART-SCHOOLっぽい曲を持ち寄るコンピに提供した『ヒヨス・コースト・ランデブー』という曲のみ今回収録してない。なんか他の曲と合わない感じだったので。

*3:これはLogic純正のプラグインのうちの『Space Designer』というリバーブで掛けてる。なんでリバーブモジュレーション効果のものが混じってるのか分からんけど、好きなかかり具合だった。

*4:特にサ行の耳に痛い音を消すのに腐心してた。あとあと思うととても面倒くさかったので、今はその箇所のゲインを落とすだけにしてる。