ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

素敵な歌詞botで翻訳した気に入ってる15曲part3

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 私が運営してる「素敵な歌詞bot」につぶやかせるために翻訳した楽曲の歌詞の、個人的に気に入ってるもの15個を取り上げる記事の、第3弾です。現在208個ぐらい登録してますが、なんとなく翻訳ものがやっぱり投稿してて面白いなって思います。日本語の歌詞は内容いじれないから140字の制約が強いし…。

 ちなみに第2弾は1年とちょっと前でした。1年でそんなに投稿パターン増えてないんだなって気付かされます…。

ystmokzk.hatenablog.jp

 botに掲載している歌詞一覧はこちらの記事で確認できます。折角なのでこの歌詞一覧記事から気に入ってる翻訳シリーズに飛べるようにリンクも入れときました。

ystmokzk.hatenablog.jp

 この1年でbotに追加した歌詞のうちの少ない分は、このブログの記事で翻訳したものの使い回しだったりもします。なのでそういうのは選んでません。

 

1. Well I Wonder / The Smiths(1986年)

https://www.youtube.com/watch?v=6psa1ptpGTc

 

 淡々とした演奏でドラマチックさの薄い、アルバム『Meat is Murder』でも地味側の曲なのかもしれないけれど、だからこそ、ソフトな形で綴られたMorrisseyの独特の自己憐憫の情緒が怪物的でない、よりしんみりとした形で伝わってくる気がします。終盤のファルセットの不恰好さが特に独特で好き。しれっとリズム要素に『Be My Baby』なフィーリングが混じるのもいい。

 

2. Add Some Music to Your Day / The Beach Boys(1970年)

The Beach Boys - Add Some Music to Your Day - YouTube

 ビーチと女の子の軽薄な歌詞を書くのを得意とし、Paul McCartneyに歌詞の書き方の秘訣を聞かれて「簡単さ、地名を沢山入れればいい」と言ってのけたMike Loveは、でも本当に古今東西形式で単語を並べて歌詞を書くのが上手くて、それが誠実な形で活かされるとこの曲の美しい情緒に連なっていく。『I Can Hear Music』に続く、当時のバンドの音楽至上主義的な感じがとてもスウィートに出た名曲です。

 

3. Tulsa Jesus Freak / Lana Del Ray(2021年)

www.youtube.com 

 

 Lana Del Rayの音楽のハイコンテクストさは時々全然よく分からんってなるけど、この曲の不思議に怪しい雰囲気にはとても惹かれました。カルト宗教っぽい、いかがわしさと神聖さが交わったような雰囲気というか。アメリカーナ志向にしても、その視点のどこか邪悪な様がこの曲の入ったアルバムのチャームポイントなんだろうなって、アメリカでの陰謀論の最たるもののひとつである「ケムトレイル」を冠したアルバムタイトルからも感じられます。

 

4. Only You / Portishead(1997年)

www.youtube.com

 うんざりするような行き詰まりのパートナー関係のドロドロ具合が、Portisheadの2枚目のアルバムではよく見られます。憎しみの相手でもあり、でも共犯者でもあるような関係性の苦しさが渦巻く様に、その業の深い様相に、どこか格好よさが感じられてしまうのは何故なのか。「罪の幻想に騙される」って、よく考えたらどういう状況のどういう意味だ?でも格好いい。

 

5. The Good Old Days / The Libertines(2002年)

The Libertines - The good old days

 

 人間関係とドラッグでボロボロになっていくこのバンドの歴史も、その根底にこの曲の歌詞にあるような「愛と音楽への信仰」があるからこそだよなって思います。新人として出てきたバンドがこんなこと歌うのは単純に格好いいなって思うし。「愛と音楽への信仰」がもつれていく中で形作られたのが彼らの音楽なんだろうな。

 

6. Autumn Almanac / The Kinks(1967年)

The Kinks - Autumn Almanac (Official Audio)

 度重なる曲調の変化に転調に、そしてこんなしみじみとして地味で残念なこの曲をシングルとしてリリースしてくる当時のバンドの、偏屈で、しかし確信めいた姿勢が格好いいです。こんな曲でも当時英国チャートで3位につけてて面白い。何のドラマチックな物語も起こらない、ただただ街中の冴えない光景を綴る歌は、でも人々の普段の暮らしなんてそんなもんだよな、って中のちょっとした気の利いた言い回しの面白さが、少しばかり生活のうんざりさを救ってくれる感じがします。

 

7. It's All Too Much / The Beatles(1969年)

It's All Too Much - The Beatles

 

 『All You Need is Love』で頂点に達する「愛をサイケデ歌うThe Beatles」の偉大なカウンターパートとしてのこの曲の立ち位置が好きです。そのサウンドの混沌具合のダラダラと引き伸ばされていくピースフルさも、東洋思想と持ち前の皮肉っぽさが変な形で渦巻いているGeorge Harrisonの歌詞も、終盤で聞かれるヤケクソみたいなToo Muchのコーラスも、何もかも輝きながら拉がれてて、いいなあって思います。

 

8. Map Ref. 41°N 93°W / Wire(1979年)

Wire - Map Ref. 41°N 93°W - YouTube

 

 この曲の、ストレンジなんだけれど案外ロックとしての爽快感がしっかり備わってくる感じはどこかXTCにも似てる。それにしても、タイトルの異彩っぷり。日本語訳の『北緯41度 西経39度』というのも異物感として凄い。歌詞もそのタイトルに沿って、微妙に理解できるようなやっぱりできないような絶妙な線で言葉が綴られていて、その実に整然として爽快な混沌っぷりはとてもポップでキャッチーだと思います。

 

9. Harness Your Hopes / Pavement(1999年)

Harness Your Hopes (B-Side)

 上の曲を訳した後、ハーネス繋がりでこの曲を取り上げました。何故かPavementのサブスクで最多再生回数を誇るこのシングル『Spit on a Stranger』のB面曲は、でも確かに、それまでと異なる宇宙的なサウンドを見せる『Terror Twilight』期の割にかなり「それまでのPavement」的なテキトーさが“的確に”炸裂した、ヘンテコな痛快さに満ちた楽曲でもあります。上記の歌詞は確かに140字に納めるために色々端折ってますけど、でも大体こんな内容が、しかしながら軽快に韻を踏みながらリズムよく吐き出されていきます。その中の絶妙なシニカルさと優しさのバランスに、彼らのテキトーさの美学が垣間見える気もしますが書いた当人は「覚えてない」とか言ってるとか何とか。

 

10. Twilight Time / The Platters(1958年)

https://www.youtube.com/watch?v=UGwa2tw7Vws

 The Plattersの楽曲を最近このブログのいくつかの記事で取り上げて、やっと1950年代のこういう音楽の入口を見つけられた気がして喜んでます。歌詞の、言葉までスーツを着込んでいるかのようなシックさがいいなって思います。彼らの一番の代表曲『The Great Pretender』の歌詞もいいんだよなあ。いい具合の翳りがある。

 

11. The Good Life / Weezer(1996年)

www.youtube.com

 「だってこう書いてあるんだもん!」という勢いで楽しく訳しました。そうだよね、誰も傷つけたくないし大騒ぎしたい訳でも無いもんな。こんだけグッチャグチャにはしゃぎ倒す楽曲で結論が「紅茶に砂糖を入れたいだけ」っていう、その感覚の拗らせ具合がいつまでも愛しい。

 

12. It's a Motherf●cker / Eels(2000年)

Eels - It's a Motherfucker - YouTube

 ART-SCHOOLもカバーしたこの曲。親族を失いながら人生と音楽活動が続いていく悲しいSSWとしてのEelsの特性は様々な形で出てくるんだろうけど、この静謐なアレンジで大切に歌われる曲は、割と素直にその心境を言葉にしてるようにも思えます。振り返るのが「良かった頃」だけでなく「悪かった時」もなのが、実にしみじみと現実的で、なんだかこっちまで胸の奥の方が少しだけ悲しくなってきます。

 

13. Dumb / Nirvana(1993年)

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 デタラメなようでその底に溜息気味な心情がある、というのがKurt Cobainの詩情の個性だと思われます。それは激しい曲もいいけれど、この曲みたいなしんみりした曲調の中だと、少しばかり生活感も伴った形で響くような気がします。終盤の「馬鹿なんだろうね」って連呼するところの、自嘲が格好良さにすり替わる具合はロックって感じだなあとつくづく思います。

 

14. Vapour Trail / Ride(1990年)

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 この曲の歌詞の「恋人の存在が”淡い”感じ」は本当にシューゲイザー的だなって思えます。実在するのか、妄想の中の存在なのか、その淡く儚い“恋人”の存在感は、文系男子的な感覚に大いにマッチするものだなあと、もっと言えば、オタク的だなあと思ったりしました。Rideで最も何もかもシューゲイザー的に感じれるのはこの曲で間違いないなと思ったりします。

 

15. On the Way Home / Buffalo Springfield(1968年)

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 Neil youngが作ってRiche Furayが歌う、という、3人のソングライターが鎬を削る様が本筋なこのバンドにおいて珍しく*1、また華やかにアレンジされもしたこの華麗なポップソングは、彼らのラストアルバムの最初に収められて、歌詞共々、どこか不思議に晴れやかな寂しさを感じさせます。後にNeil Youngのソロでも度々取り上げられますが、ここでのポップソング然とした華やかなアレンジが、この曲のリリカルさに一番合っているような気もします。後にNeil Young本人がこの原曲アレンジに寄せた形でライブ演奏しているバージョンもとても良いです。

www.youtube.com

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 以上、15曲でした。

 もっと登録曲を増やすべく、こっそりやってた「同じアーティストの曲は3曲まで」ルールをやめようかなと思います。それにしても、1ツイートに収まる程度の量の翻訳はやってて気楽でいいです。

*1:初期はNeil Youngの声を嫌ったレコード会社からそう仕向けられた曲がいくつかあるけど、徐々にNeil youngの強固なエゴが確立されてからはそういうのはなくなっていた。