ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

Blue Songs :「青」がタイトルに入る曲50選

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写真はとりあえずサムネイル用に撮った今住んでる部屋のベランダからの写真です。

 

青 - Wikipedia

青(あお、靑、蒼、碧)は基本色名のひとつで、晴れた空の色や海の色、瑠璃のような色の総称である。青は英語のblue、外来語のブルーに相当する。寒色のひとつ。また、光の三原色のひとつも青と呼ばれる。

 青色って、いいですよね。。

 世の中に多数存在する「青」「ブルー」「blue」といった語が入る楽曲を50曲選んだSpotifyのプレイリストを以下のとおり作りました。今回はそのプレイリストに入れた曲をそれぞれ簡単にコメントする内容の記事です。並べ方は年代順(古い方から新しい方)になってます。

プレイリスト、全50曲で3時間33分とのことですごく長いですが、よかったら曲目覗いてみたり、聴いてみたりしてください。実に真っ青なプレイリストになっています。

 

1. My Blue Heaven / Gene Austin(1928年)

 世界の歴史上おそらく無数にある「青」の歌でもとりわけ最初期にポピュラーソングとして世に出た曲のひとつなんだと思います(詳しく調べてないけど)。割と時間差なく日本で日本語で歌われてたりするのが不思議で何気にすごい。家族の団欒を夜が来る前の青空に託した歌。今回改めて原曲を聴いて、後にSmashing Pumpkinsがカバーしたバージョンはこの原曲そっくりに作られてたことを知りました。

 

2. Bluebird Blues / John Lee Hooker(1952年)

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 青い鳥というモチーフは楽曲のタイトルとしてしばしば見かけます。綺麗で可愛い感じがするし、もちろん元ネタの童話に出てくる「巡り会えない幸せ」みたいなイメージが大きいのかと。しかしJohn Lee Hookerのブギーで歌われると、なんかその幸せは過酷そうな感じがしますね。

 ちなみに確かに「blue」の字は入るけど「Blues」「ブルース」の語が入った曲は今回選んでません。あくまで「青」という意味の言葉で入ってないとノーカンです。

 

3. Blue Suede Shoes / Elvis Presley(1956年)

 ロックンロールのクラシック中のクラシックのひとつとして有名なこの曲は実はPresleyが最初じゃないそうで、Carl Perkinsが作曲・リリースしたものをPresleyがカバーしてヒットしてしまったものらしい。でもまあ、そのカバーで特有の「Baby」の囁きを聴いちゃうとやっぱPresleyの曲だな感しか思えない風になります。

 

4. It's All Over Now, Baby Blue / Bob Dylan(1965年)

 世に数あるであろう「Baby Blue」という語句の入った楽曲のはしりはこれなんだろうか。よく分かりませんけどBaby Blue概念を少し悲しげなものとして確立したのはこの曲でしょうさすがDylan。ぶっきらぼうなようでタイトル出てくるとこのメロディはなかなかに甘い。ちなみにこの人この曲からしばらく後には今度はブルーにこんがらがってしまいますね。

 

5. Love Is Blue / Claudine Longet(1968年)

 そうか、恋って水色なんや…ってこの曲の邦題を見た人たちはみんな思ったんでしょうきっと。フレンチポップスの古典みたいなやつ?この歌ってる人のこと全然知らないけど、でもこの曲だけはこの人の名前以上に後世に残り続けていくんだろうなあって思います。歌ってることはフランス語なので余計によく分かりませんけど。

 

6. Old Blue / The Byrds(1969年)

 「色あせてくすんだような青色」のことをOld Blueと言うらしく、まさに着古したジーンズのような青色のイメージにぴったりな概念で、そしてそのイメージ通りなこの曲。カントリー化した後のThe Byrdsに元来の12弦ギターキラキラな音が上手く乗っかってて小粋なカントリーロック黎明期の良曲。

 

7. Pale Blue Eyes / The Velvet Underground(1969年)

 「淡い青色の瞳」って文字列だけでどうしてなんか切なくなるんだろうか、って多分この曲があるからなのか。Lou Leedの甘くジェントルな部分だけが奇跡的な純度で結晶化したような本当に素晴らしい曲。なんか淡い薄い青色が本当にうっすらと暗い部屋の中に広がっていくような、不思議な切なさに包まれた心地良さのような気持ち。

 

8. Blue / Joni Mitchell(1971年)

ブルー

ブルー

 

  アルバムタイトル自体も『blue』でジャケットの色も青いのでジャケットを貼ってみました。 青色にも色々あると思うけど、この青さは爽やかさとか淡さとかよりも、憂鬱とか悲しみとかの青。口に入ったらとても苦そうな青色をしています。この濃くて苦そうな青色もまた、夜が来た部屋を深く包むようなピアノと歌の感じが実に「青い」。

 

9. Something Out Of The Blue / Stevie Wonder(1971年)

 Stevie Wonderって黒人音楽感がかなり薄いポップス職人だなあとずっと思ってて、ただ掴み所がない感じがしてあまり聴いてなかったけど、今回この曲とかもう殆どソフトロックみたいな感じだし、ちゃんと聴かなきゃなって思いました。実に気品が溢れてて聴いてて気持ちがシュッとなります。

 

10. 青い魚 / 金延幸子(1972年)

 後世になって小沢健二のライブの開演前で流されたり、GRAPEVINEがカバーしたり、最近公開されたWilcoのメンバー作成プレイリストに入ってたりと、何かと現代的な再評価を受け続けるこの曲。「青い鳥」の題は世に多くても「青い魚」はこの曲くらいでしか目にしたこと無いですね。歌は和製Joni Mitchell、曲と演奏は渋めのNeil Youngって感じの楽曲はそのシンプルでラフに込められた不思議な情念がいつ聴いても新鮮。特に終盤のメロディ展開はすごいグワッと来てこう、エグいですね。

 

11. Out The Blue / John Lennon(1973年)

 「Out of the blue」で「突然に」という意味になるそうで、このフレーズも楽曲のタイトルとして頻出。この曲は「of」が無いけど意味はだいたい同じとか。楽曲としてはソロ以降のLennon節が(ややオーバープロデュースに感じるけど)上手いこと纏まった良い曲で、やっぱり声が強くて、特にファルセット気味な部分が良い。

 

12. Mr. Blue Sky / Electric Light Orchestra(1977年)

 「青空」って数ある青色の中でもとりわけ誰でも気軽にかつタダで触れることのできる青色な訳で、ファンタジックで、でも空っぽで、モチーフとしてはシンプルにして奥が深すぎるものだと思います。ELOのこの曲は魔改造ビートルズとしてのポップセンスを全開に発揮した彼らの手腕によって実に鮮やかな青色が浮かぶ感じ。

 

13. 青空のマリー / Moonriders(1982年)

www.youtube.com 本当はこのリストに入れたかったけどSpotifyになかったので入れなかった楽曲が今回いくつかあって、特に80年代の日本のポップスはやたらとなかった。大瀧詠一だったり山下達郎だったり…。ムーンライダーズも、何故かこの曲の入ったアルバムがSpotifyにないので代わりに同局の初音ミクカバーがあったのでここに入れました。ちなみにApple Musicにはそのアルバムはちゃんとある。どういうことなんだろう。。曲としては曜日ネタをポップに機能させた楽曲としてThe Cureに10年近く先んじてます。

 

14. Blue Monday / New Order(1983年)

 憂鬱方向でのブルーの意味があまりに重たいこの曲。前身であるJoy DivisionIan Curtisの自殺をネタにしたこの曲の暗さに、どうしてこんなに派手なキックやらシンセやらを載せようと思ったのか。暗い曲業界の中でもとりわけ売上が大きかった曲だと思います。バタバタやピコピコした音のチープさが今聴くとかえって新鮮。

 

15. Tender Blue / Everything But The Girl1984年)

 Ben Wattのソロアルバムがネオアコ純度Maxだとしたら、その後結成された彼らの1stアルバムはネオアコをもっとジャズとかボサノバとかAORとかそういったムーディーな方向に変質させたものだったんだなあって今回この曲を選んだついでに聴き返してて思いました。この曲は若干Benのソロに近い感じします本人歌ってるし。

 

16. Blue Thunder / Galaxie 500(1989年)

 青い雷ってのがどういうものかよくわからんのですが、曲のふわっとして曖昧模糊な感じが、部屋の中かなんかから遠くの雷が見えたのかな、っていうぼんやりとした状況を思い起こします。スロウコアの元になったというGalaxie 500がスロウコアでないのは、この音も含めて湿度も含んだぼんやり加減があることなのかなあ。それはきっとThe Velvet Underground由来でもあるんだろうけど。

 

17. TRUE BLUE / LUNA SEA(1994年)

 「true blue」というのは「忠実・忠義」といった意味の熟語になっているらしいです。でもそれがどうしてこの曲がこの題なのかの説明になっているのかよくわからん感じもしますけど、でもこの曲はまあ「TRUE BLUE」なんですね。LUNA SEA独特の疾走感が完成した時期で、イントロの仕掛けがいつになってもキャッチー。

 

18. 青い車 / スピッツ(1994年)

 こっちで色々書いたのでもう書くこと無いです。スピッツだったら他に『群青』とかもあったけど、でもまあこの曲の実に鮮やかで複雑なメランコリアが勝つなあと。

 

19. Blue Line Swinger / Yo La Tengo(1995年)

 この曲は本当に凄いっすね。同じコードをループしながら、最初ははすごいぐちゃぐちゃに思えた(特にドラム)演奏が段々と纏まっていき、そして8ビートの凛々しい楽曲に変貌していく様、その勢いで進みながらもギターノイズが溢れまくり、しかしながら総体としては不思議なハッピーさに満ちていること。90年代オルタナティブロックが生んだ一つの頂点かもしれないです。

 

20. blue nylon shirts / thee michelle gun elephant(1996年)

 流れるように進行していく爽やかなギターロック的なガレージロック。こういうロックンロールとギターロックの中間を爽快にややシュールに駆けていくタイプの曲は初期ミッシェル特有のものがあって気持ちいいです。少年的で、力強いのに中性的で、やけっぱちで、「ああ、この感じは確かに青いナイロンのシャツかもなあ」って思わせます。あとアルバム版の声にリバーブかかってるのよりそうじゃないバージョンの方が好きです。

 

21. 青春狂走曲 / サニーデイ・サービス(1996年)

 ここまで全然日本特有の青の使い方である「青春」という語に触れて来ずにきました。ただ、どうにも色々「青春」の語の入った曲を聴く感じ、多くは過ぎ去っていく青春を惜しんだり愛しんだり、または昔の青春を懐かしがったり。その点この曲の計算されきったどんくささでもってなんとも冴えないでもちょっと文化的な感じのする情景を描いてるのは、結構すっきりしてて意外と独特な感じ。

 

22. BABY BLUE / Fishmans(1996年)

 流石にBob Dylanも自分が歌ったbaby blue概念がこんなにも行き詰まった感じに取り扱われるなんて思ってなかったでしょ。まだ宇宙の向こう側ではない、でもうっすらと憂鬱やだるさや虚無感が空気に混じってべっとり肌に染みてくるような、この曲の気味の悪さは、我々の生活にも起こり得るようなダークサイドを少しだけ甘美で魅力的な雰囲気に描いていて、いつ聴いてもちょっと危険だなって思います。

 

23. Baby Blue Sedan / Modest Mouse(2000年)

 この曲については「2000年」なのはこの曲含むシングルのコンピのリリース年なので、この曲自体はもっと前か。『青い車』に対するUSインディの回答、というわけでは当然ないけれど、アコギ主体にModest Mouseするこの曲のソフトなややこしさは、後々彼らがポップに振り切っていくその前兆という感じがします。でもこの段階ではまだややこしいままのメロディ展開が妙に愛しい。

 そういえばそのコンピのジャケも青いので貼ります。改めて見ると青は青でも冴えない青色だなあ。

Building Nothing Out of Something by Modest Mouse
 

 

24. 青写真 / くるり(2002年)

 くるりは『青い空』を差し置いてこっちを。「大学(か何か)卒業直後のノスタルジー」というシチュエーションの曲は意外と世の中にはそんなに無い気がして、それをジザメリばりのザリッザリにノイジーなギターとハンマービートでサラサラとぶちまける様はまさにくるり的な青春の構図。この時期の彼らの曲そういうのが多くて独特の魅力を感じます。そういえば青写真という単語は歌詞に出てこない。。

 

25. Came Blue / Smog(2002年)

 最近では激シブフォークをやっているBill CallahanがまだSomg名義で活動してた頃の作品はスロウコアともジャンクとも扱われていて、でもこの曲の太くて丸いアナログシンセの音にボーカルと環境音を乗せただけのトラックは、二つのコードを行き来しているだけなのにしっかりとなんとも言えない青い情感を残していきます。

 

26. BLUE BACK / GRAPEVINE(2002年)

www.youtube.com

 「青春に帰ろうぜ!」というのをGRAPEVINE流に茶化しきって、でもちょっとだけホントにああいうの恋しくなるよね…みたいな情緒を覗かせるアホアホポップナンバー。作曲者がこの曲を最後にバンドを去るというオマケ付きで、また映像合成とかで使う青いアレ*1、というタイトルの意味もPVで回収するという手の込み方をしてます。

 

27. Bluebird of Happines / Mojave3(2003年)

 これは今回「青」というテーマで曲探しをしていた時に初めてちゃんと聴いて驚いた曲。なんだこのJim O'Rourkeみたいなシュールで超越的なメロディと音響は…?と思ったらなんとSlowdiveの人たちがその後に組んだバンド!彼らUKの人間だけどこっちではかなりガッツリUSカントリー的な音楽性を志向してて、特に今作が冒頭に収録されたアルバム『Spoon and Rafter』は音響的な凝り具合や2003年というリリース年を思うと、Wilcoの『Yankee Hotel Foxtrot』に共振したかのような素晴らしいサウンドと曲が詰まっていて素晴らしいです。YHF的なものをロックに求める人にはとてもオススメです!

  

28. True Blue / Bright Eyes(2004年)

 True Blue2曲目。シングルのカップリングの曲みたいで、よくおれのiTunesに入っとったなあそんなにBright Eyes聴き込んでないのに…と思いました。ともかく歌詞であらゆるblueを連呼するのが面白いです。同じメロディを延々と取り留めなく続けているだけなのに不思議な豊かさがあって、彼が世界で何人めかのBob Dylanの再来と言われたのも頷ける楽曲になっています。

 

29. ブルーメロディ / 小島麻由美(2004年)

 ぼくはこういう楽曲を並べ立てる系のやつだととりあえず小島麻由美を1曲ぶち込みがちです。小粋にゆったりスイングするスカ調の演奏に乗って、彼女のポップサイドのセンスが実に安定した感じに出力された楽曲。いい曲と歌声があるとこれだけのシンプルな伴奏だけでも実に味わい深いなあと聴くたびに思います。というかこの人のアルバムではこの曲が入ってるアルバムがなぜか1番好きです。その辺についてはきっとまたどこかで。

 

30. ブルートレイン / ASIAN KUNG-FU GENERATION(2005年)

 Blue Trainといえばジャズのクラシック、又は今は亡き寝台特急。当時くるりと散々比較された彼らがくるりの領分である電車方面に乗り出してきた、なんて当時言われたりしてた気がして懐かしいです。楽曲としてはこの辺からパワーポップ路線を大きく変えてより立体的な楽曲を志向してる感じが、シングル曲のクオリティで響いてきます。特にドラムの変幻自在でタイトな演奏がすごく頼もしい。

 

31. Idlewild Blue(Don't Worry 'Bout Me) / Outkast(2006年)

 正直な話ヒップホップも1曲くらい…と思ってこれを入れたんですが、でもこの曲聞いてると言うほどこれヒップホップか?って感じになります。どことなく西部劇とかそう言う古いアメリカ音楽を参照した感のあるアルバムで、この曲もまたタランティーノ映画とかに使われそうなワイルドなブルースで、しかしビートはきっちり打ち込みで、そうかブルースを打ち込みでやるとこんな感じになるんだな…という感じ。かっけえ。

 

32. Sky Blue Sky / Wilco(2007年)

 この3個前の記事でも取り上げたWilcoの安定期突入のアルバムの、そのタイトル曲がアルバムでもとりわけ穏やかなこのフォークロックなのに何かしみじみするものがあります。Neil Young的な質素なフォークソングながら、特に間奏の空間的なギターサウンドが、青空が零れ落ちてくるかのようで綺麗です。

 

33. In the Blue / ART-SCHOOL(2007年)

 ART-SCHOOLは一番取り上げたかった『OUT OF THE BLUE』がSpotifyになかったので、彼らが最もシューゲイザー/ポストロックに接近したこの曲を。プロデューサーの力もある程度あるけれども、この曲から出力される浮力は本当にすごく好きです。このバンド的な、惨めったらしくも清々しい轟音。収録されたアルバムのレビューはこちらです。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

34. ライトブルー / SHERBETS(2007年)

 浅井健一も結構「青色」をよく取り上げる人で、彼にとって青とか水とかそういうのは「偽りのない純真」を象徴するものなのかなあとか思います。このSHERBETS色に染まりきった冷え冷えとしたカントリーソングの感じは、意外とベンジーの出自がネオアコとかにもあるのかなあとか思わせたり。でも終盤の盛り上がり方はまさにベンジー節全開な感じ。

 

35. Heron Blue / Sun Kil Moon(2008年)

 本当はこの企画にうってつけの『Songs For a Blue Guitar』というアルバムがRed House Painterに存在し、その2つ目のタイトル曲を入れたかったのですがやはりアルバムごとSpotifyに無く、なので同じ人のやってるユニットのこの長くて暗いフォークソングを入れました。暗黒フォルクローレ的な良さはすごくあるんですけども。

 本当はこっちを入れたかった、の曲の動画を貼っときます。ほんとこの美しくすり減った具合のギターの音どうやったら録音できるんだろ。

www.youtube.com

 

36. 青い空 / andymori(2009年)

 ここでこっちの青い空を入れるのでくるりの方で選ばなかったんですね。彼らが猪突猛進だけでなくファンタジックでメランコリックな曲も素晴らしくかけるバンドであることをさらりと差し出す曲。歌詞のフラフラとしながらもそのフラフラのスケールが妙に広くて、そして曲から出てくる言葉や感情の節々がやるせないのがスッときます。青空ってこれくらいにはどうとでも取れるし意味がないものだよなでも綺麗だよなっていう。

 

37. Blue Blood / Foals(2010年)

 彼らの出世作となったアルバム『Total Life Forever』。Spotifyでは「今年で10周年!」って出てました。その冒頭で緊張したテンションをポップに開花させるこの曲。blue bloodで「冷血」って意味かな?と思ったら「貴族の血統」とか出てあれ?ってなりました。左右で反復し膨張する緊張感あるギターのサウンドと、どんどん深い青色にテンションを上げていくバンドの様が格好いいナンバー。そういえばジャケットも青いですね。。

Total Life Forever

Total Life Forever

  • アーティスト:Foals
  • 発売日: 2010/05/12
  • メディア: CD
 

 

38. Deep Blue / Arcade Fire(2010年)

 マイナー調のフォークナンバー的な始まりからどんどんそのしっとりしたリリシズムのまま駆け上がっていくのが流麗でダークな楽曲。このアルバムにかかるとこんな曲もシャッフルのリズムになるんだなあとか思ったりしたけど、でも直線的で力強い曲だけがArcade Fireじゃない(そりゃ1stのうちから当然のことだけど)んだなってこの曲の心地よいヒステリックさを聴いたりしてると思います。

 

39. True Blue / Dirty Beaches(2011年)

 True Blue3曲目。そんなにみんな真実の青色に飢えてるのか。この「Pet SoundsとかSmileとかのブートの海を延々と漂い続ける」みたいな作風に潜む独特のシックなノスタルジアが、めためたにローファイになったファルセットが、おそらくそんなに言うほど多くの人は経験していない類の「永遠の夏」な光景を惹起させます。

 

40. 青い栞 / Galileo Galilei(2012年)

 青色界隈でもとりわけスマッシュヒット感のあるこの曲。彼らが電子音等を取り入れてファンタジックな楽曲を志向し始めた過渡期にあって、その志向とJ-Pop的なセンスとが奇跡的に折り合った、文句のつけようのない「どこまでも青い」感じのする名曲だと思います。特にサビ終わりのメロディ展開が素晴らしい。アニメ主題歌としては「フルで聴くと冗長」って言われがちなパートかもだけど、こここそが素晴らしいんです…。

 

41. Blue Moon / Beck(2014年)

 「青い月」というのはいくつか定義があって、空気中の塵で月が青く見えることだったり、満月のことだったりと色々。「青色の」月を見るのが大変難しいかことから転じて「奇跡」といった慣用句的な意味も持つとか。Beckがフォークサイドを全開にしたアルバムに収録されたこの曲も、そんな幻想的な感じを大事にしたアレンジでその情景を描写します。アコギによるオーケストラのようなトラック。

 

42. ブルーハワイ / ミツメ(2014年)

 アルバム『ささやき』の後にスタジオセッションで公開された時は「これぞミツメの新しいポップな名曲!」と思ったのにリリースのされ方がLP限定・その後のアルバム収録無し、という感じで、なんか勿体無く思ってました。最近ようやくサブスク配信が始まって本当に良かったと思いました。日常から薄皮1枚だけリゾートに入ったかのようなこの絶妙に抑制されたポップさはThis is ミツメ!って感じがすごくします。

 

43. Blue Boredom / DIIV(2015年)

 聴いた瞬間にCaptured Tracksの楽曲だーって感じのする直線的ビート+コーラスギターに、ゲストのSky Ferreiraが延々とポエトリーリーディング的に囁き続けるこの曲は、どことなく彼ら流のSonic Youth解釈みたいに聞こえます。延々と同じ展開を繰り返してキャッチーなサビもなく終わっていく感じはまさにタイトルどおり!って感じがして上手い。

 

44. Blue-Eyed Devil / Low(2016年)

 この曲はこの年にリリースされてた55曲入りのシングルB面+レアトラック集の中からの1曲で、正直この曲の出自をよく調べてなくて、おそらく本当のリリース年はこの年じゃないかもだけど、でもこの曲を見つけた時は嬉しかったです。ドローン的なシンセ音に乗っかった透明感のあるギタートラックと歌の、心細さと優しさが両方とも静かに振り切れるような感覚はもう、スロウコアだなあ綺麗だなあ、ってすごく思います。

 

45. Yonder Blue / Tortoise(2016年)

 Tortoiseも実はちゃんと聴けてないアーティストのひとつなんですが、こんなドリームポップ的リゾートチックな楽曲もあるんですね。途中からストリングスのようなスティールパンのような不思議な音が反響してるのもたゆたい感に満ちていてなんともまったりとした美しさ。終わり方が結構唐突で、それも含めてのこの曲のノスタルジックの提示の仕方なんだなあとか思いました。

 

46. BLUE / 泉まくら(2017年)

 「博多口はブルーAh…」と歌われて、そうか博多口もブルーだったのか!と福岡市在住経験者として強く思わされた楽曲。大胆なサンプリングを軸にしながらもキュートとシックをシック寄りにフロウするこの曲は、この人のひたすらシックなブルーにこんがらがりっぷりを極めていく世界観に新たな質感を持ち込んでました。そうか本当に福岡市在住なんだなあと、また福岡市に住めるようになった今の身で聴くとまたしみじみ不思議に思えます。

 

47. Blue Bird / Dirty Projectors(2018年)

 1回ぶっ壊れたバンドの再生2作目としてはとてもピースフルでかつ色んな込み入ったアレンジに余裕すら感じさせる快作だったアルバムの中で、この曲もまた自在に自身の手を替え品を替えなアレンジで、最早チェンバーポップ的な良さでもって青い鳥タイトルを優雅に羽ばたかせています。この曲の青い鳥はあんまり儚くなさそう。ある種の力強さすら感じそう。

 

48. Blue Hour / Homecomings(2018年)

 この曲の入った彼女らのアルバムでの化けっぷりはびっくりしました。この曲はアルバムの真ん中に大事に据えられて、淡々としたビートに絶妙に言葉数を抑えた歌メロディがとても「理想的な荒井由実」みたいなしみじみした良さがあって、しかもそのメロディを移り変わるバンド演奏の中で繰り返すことで展開続けるというソングライティングの妙がまた実に良い。このメインメロディの芯の強さと、それをしっかり支えて展開させる演奏の丁寧さで、しっかりと「あーブルーアワーだなあ…」って気持ちになります。

 

49. Out of the Blue / George Clanton(2019年)

 昨年話題になったトラックメイカーの、アルバムに入っていない曲で青の曲があったので入れました。これだけシンセを自在に扱えたら気持ちいだろうな…って思うほどのいい具合のシンセの噴き上がりっぷりがとても心地よい。シンセの盛り上がりは少しだけEDM的なのにビートはチルいというのか…この辺全然詳しくないので間違ったこと言ってないかヒヤヒヤですけども、こういうタイプの哀愁の噴き出し方もあるんだなあって思いました。いい具合のブルーさ。

 

50. 青の世界 / 国府達矢(2019年)

 最後にこの、もう青一色みたいな感じの曲を入れれたのでこのリストに満足しています。作曲者的にはギリギリのところで、この曲が残ったままなのが勿体無いから作家人生をつなぐことができた、というエピソードの曲で、それがこんなにポップでノスタルジックな視野がぐっと広がっていくような、絶妙にサイケデリアでメランコリアな美しい曲だというのが、本当によくできた話で、本当に世に出て良かったって思いました。包まれるような、救われるような、ヒンヤリと優しさが入り混じった素晴らしい青色だと思います。

www.youtube.com

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 以上、50曲でした。

 流石に50曲もあるとあまり1個1個に長く文章書けないですね。フワフワした内容も多いしこのリストから漏れた素敵な「青の曲」も多数ある状況ですが、それでも「青色というもの」について多少は色々とああでもないこうでもないと書けたので良かったです。ひとまずは良かったら聴いてみてください。

 あと「こういう青色もいいと思います」みたいなのがあったら教えてください。青色、いいですよね。。。

*1:今回の外出自粛でのZoomとかそういうネット会議的なので、グリーンバック共々お世話になった人もそこそこいるんでしょうか。