ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

2021年ベストアルバム(30枚)

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 今年もやっていきましょう。ルールは以下ツイートの通りです。自由!

https://twitter.com/YstmOkzk/status/1476389315274219528?s=20

 

 昨年2020年のベストは以下のとおり。ystmokzk.hatenablog.jp

 

ちなみにこの時は本腰を入れてベスト30を考え始めてからはじめて聴いた12月下旬発売のアルバムに強烈に心揺さぶられて勢いで1位にしました。誰に責任を負うでもない年間ベストなら、このくらいテキトーに「心揺れた」度合いとかその瞬間最大風速とかで決めてしまってもいいと思うんです。社会的なこととか考えてロジカルで自分でも不思議なリストを作るよりも、かえって個性が出て読んでもらえるかもしれない。そんな自分に激甘な皮算用も込みで、今年も書きます30枚。

 

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『LOVE/HATE』ART-SCHOOL(2003年11月リリース)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOL全作品レビュー記事のリマスターという体裁の仕切り直しの一連の記事の11個目。筆者のオルタイムベストで3本の指に入るくらい好きなアルバムです。邦楽だけでオールタイムベストを作るならこれが1位です。当然2003年のアルバムでも1位。

 重くて暗くて情けなくて綺麗で救いようがないです。虚無のベクトルで作品全体がどこか透き通っていた『SWAN SONG』と比べてももっと様々に乱れていて、見方によってはこっちの方がより引き裂かれて悲痛な感じがします。タイトルからして「愛と憎悪」に引き裂かれてるわけだし。そしてバンドの関係性もとっくに崩壊していたことから、このアルバムの後にメンバー2人脱退して活動停止と、あらゆるネガティブさが集まったような状況。

 なのに、なのか、だからこそ、なのか、これは信じられないほど感覚と音のスタイルとが奇跡的に噛み合った、本当に素晴らしい作品です。一部ではバンドの最高傑作とも言われるかもだけど、それ以前に、とても感覚を揺さぶられる、というか、世界の見方が変わってしまったまである、個人的にとてもとても大事な作品です。

 前作となる先行シングル『UNDER MY SKIN』のレビューは以下のとおりです。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

また、アルバムとして前作となる『Requiem For Innocence』のレビューはこちら。色々と比較して聴くとまた面白かったりするかもしれません。サブスクにはありませんけど。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 何回目の書き直しか分からないけど、何を書こう。

open.spotify.com

ART-SCHOOLの「Love/Hate」をApple Musicで

 

 

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2003年のベストアルバム30枚【前編】

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 なんで2021年も終わろうとしているこのタイミングで、別に20年前とかそういうきっかりしたタイミングでもない2003年の年間ベストを書くのか、ろくな理由がありませんけども、ともかく今回はそういう記事です。今回が前編で、30位〜16位まで、後編で残り2位までを扱い、1位だけ別記事になります。なんで1位だけ別記事なんでしょうね。まあ、しばらく前にやった2002年の年間ベストの時と同じ理由ですけども。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 当時をリアルタイムで過ごした人は懐かしい気持ちを感じていただいたり、知ってる人はいいよねって思っていただいたり、知らない作品があるひとは何かいい発見につながればと、そんな思いで書いていきます。

 こういう風に順番に公表していくと、プレイリストは最後の記事が上がるまでアップできないのが面倒くさいですね。そこまで行ったら追記で追加します。

 

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『UNDER MY SKIN』ART-SCHOOL(2003年9月リリース)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの全作品レビューのとりあえず『LOVE/HATE』まで書き直しを目指すレビュー記事の、これで10個目になります。

 「白鳥の歌」と題したいかにも最後の作品っぽいものを出したにも関わらず、一応は終わらずにシングルを、それもとても強力なシングルをリリースしてくる当時のバンドは、内情ボロボロのはずなのに案外無茶苦茶にタフです。一連の2003年の作品群の終着点となるアルバムに向けた3曲入り先行シングル、といったところ。

 なお、このシングルもやはり廃盤状態ですが、表題曲はこの時期でも随一の代表曲なのでアルバムは勿論のこと後のベスト盤にも収録され、またカップリングの2曲もさらに後のB面集コンピに両方とも収録されたため、「このCDを入手しないと聴けない曲」は現状存在しません。

 前作となる「白鳥の歌」と題した作品についてのレビューは以下のとおり。

ystmokzk.hatenablog.jp

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『SWAN SONG』ART-SCHOOL(2003年7月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの全作品レビューのとりあえず『LOVE / HATE』まで書き直しを目指すレビュー記事の、これで9個目になります。すでに崩壊が約束されつつも何故か楽曲はやたら沢山生まれ出して、しかも見事な諦観の美を獲得してしまう、彼らの危うい魅力がもしかしたら一番奇跡的に素晴らしく表現されているかもしれない作品群です。

 6曲入りのDISK1と3曲入りのDISK2でリリースされ、重複を除くと7曲の(当時の)新曲がこの2枚に含まれていました。現在は廃盤。後のアルバム『LOVE / HATE』にはここから1曲のみ収録され、その後ベスト盤『Ghosts & Angels』に表題曲が、さらにかなり経って、ファン投票を軸としたB面曲コンピ『Cemetery Gates』には最多の4曲が収録されています*1

 前作となる、シングル『EVIL』についてのレビューは以下の記事になります。このシングルから後のアルバムまでに至る、いわゆる“LOVE / HATE期”とでも呼べそうな、一貫性のある時期になっています。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 

*1:とはいえ、サブスクに限った話をすれば、よりによって『Cemetery Gates』が未解禁状態なので、この音源で聴ける曲は僅か2曲に激減します。

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“メロンコリー期”Smashing Pumpkinsの隠れた名曲集(25曲)

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 1995年のアルバム『Mellon Collie and the Infinete Sadness』は、その2枚組28曲という圧倒的なボリュームと、そしてそこで展開された様々な音楽性、ヘヴィさもロマンチックさもファンタジックさも静謐さもゴスさも何もかもな楽曲の充実具合によって、シカゴ出身のいちオルタナグランジバンドと多くの人に思われていたであろうこのSmashing Pumpkinsというバンドを一気に「大いなる野望と実力を備えたビッグなバンド」に変えました。

 それで、このアルバムのレコーディングにおいては、夥しい数の楽曲が作曲・録音され、2枚組28曲だけでも物凄いボリュームなのに、特にアルバムリリース後の1996年に順次シングルカットされていった楽曲のカップリングとして、その大量のデッドストックがリリースされていきました。後にこれらのシングルはアルバムの先行シングル共々纏められ、更なる追加楽曲も含んだボックスセット『The Aeroplane Flies High』として1996年にリリースされました。更には、彼らが一度解散・再結成してしばらく経った2012年にはアルバム『Mellon Collie〜』の、翌年の2013年には『The Aeroplane〜』のそれぞれデラックスエディションがリリースされ、そこにはやはり本当に大量の、とても全部聴く時間なんか取れそうに無いほどのボーナストラックが追加されました。

 今回はそんな“メロンコリー期”のアルバム外の楽曲から、特に好きな楽曲25曲のプレイリストを作ったので、1曲ずつ紹介していく記事になります。幸いこれら含む上記両作品のデラックスエディションはサブスクで聴けるので*1、以下プレイリストも貼っておきます。

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*1:他のアルバムもデラックスエディションがサブスクで聴ける中、どうして『Siamese Dream』だけボートラ無しのものしかサブスクで聴けないんだろう。

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素敵な歌詞botで翻訳した気に入ってる15曲part3

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 私が運営してる「素敵な歌詞bot」につぶやかせるために翻訳した楽曲の歌詞の、個人的に気に入ってるもの15個を取り上げる記事の、第3弾です。現在208個ぐらい登録してますが、なんとなく翻訳ものがやっぱり投稿してて面白いなって思います。日本語の歌詞は内容いじれないから140字の制約が強いし…。

 ちなみに第2弾は1年とちょっと前でした。1年でそんなに投稿パターン増えてないんだなって気付かされます…。

ystmokzk.hatenablog.jp

 botに掲載している歌詞一覧はこちらの記事で確認できます。折角なのでこの歌詞一覧記事から気に入ってる翻訳シリーズに飛べるようにリンクも入れときました。

ystmokzk.hatenablog.jp

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『EVIL』ART-SCHOOL(2003年4月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの作品の、かつて書いた記事のリマスター(書き直し)、これで8つ目の記事になります。メジャーデビュー後すぐ『Requiem For Innocence』という鮮烈なアルバムを放った後の、次のモードに突入する4曲入りシングルにして、同じ年の暮れに最初の大きなメンバー脱退と実質活動停止に突入する、それまでの間に非常に沢山の、しかもどれも高品質で世界観がもの悲しい、第一期ART-SCHOOLの終わりにして壮絶な2003年の最初の音源です。

 現在は廃盤。とはいえ、4曲中実に3曲が後のアルバムに収録されたため、このシングルを買わないと未だに聴けない(配信販売もサブスクにも無い)楽曲は1曲のみ。優しいんだか辛いんだか。

 

 前回の記事はこちらになります。

ystmokzk.hatenablog.jp

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ソフトロック(a.k.a. Sunshine Pop)諸々:アルバム10枚

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 サンシャイン・ポップ、日本ではソフトロックと呼ばれるような音楽の代表作品のひとつに数えられる名作アルバム『Take a Picture』の作者であるMargo Guryanというアメリカの女性アーティストが亡くなったニュースを受けて、自分も彼女の音楽が好きだったので、後年発表されたデモ集も含めてプレイリストを急いで作ったら、思いのほか多くの人が反応をくれました。

 

 

 なのでもう少し、彼女も含む当時の、後に日本において”ソフトロック”と称されることになる色々について、ちゃんと色々と思うところを書いておこうと思います。海外では”Sunshine Pop”と呼ばれていたり、でもその範囲は微妙にソフトロックの範囲と被ってない部分もあるように思えたり、微妙なところです。

 とりあえず”ソフトロック”という語の範囲を示すひとつの指標としては、この本がある程度の権威となるでしょう。

 

 

 なので、以下の文章はあくまで今これを書いている筆者の個人的見解、ということでお願いしておきます。”ソフトロック”というものに関するああでもないこうでもないの文章と、10枚のアルバムレビュー、そしてその10枚から3曲ずつ選んだプレイリストまでを含む記事です。

 

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