ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『killing Boy』killing Boy(2011年リリース)

 ART-SCHOOLが今年の6月14日に新アルバムを出すということなので、それへの期待なんかもあったりした中で*1、そろそろ昔からやってたアルバム全曲レビューも進めないとなあ…と誰からともなく背中を押されたような感じがしたので、まずはART-sちょおlではないもののその中心人物木下理樹の当時のサイドプロジェクトであるこのユニット…バンド?の最初の音源から、全曲レビューを再開していこうと思います。

 9曲30分というのは流石にミニアルバムとしてはサイズが大きすぎる…フルアルバムみたいなもんと思っていいのかな。

 

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 ちなみに木下理樹の活動としての前作はART-SCHOOL『Anesthesia』になるはず。弊ブログで書いた全曲レビューはこちら。これ書いたのもうかなり前になるのか…。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

*1:Twitter経由で会って話したことある人が公式でレビュー書いてさえいる。

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『Revolver』The Beatles(1966年8月リリース)

 ホワイトアルバムに関する長すぎる記事を書き終わったので、折角だからこっちのアルバムについても書いとこう、と余勢を駆って書くものです。おそらく1990年代以降、これとホワイトアルバムが“The Beatles”という看板をなしにした上で最も多くのリスペクトを受けている作品でしょう。

 歴史的意義と現代的な影響力とは基本的に異なるものであって、歴史的意義の方は本当に歴史の中に埋もれてしまって「ふうん、今はそれが普通だけど当時はそうなんだ」みたいになってしまいます。現代的な影響力というのは、歴史に埋もれずに、いつまでもある種の異形として奇しくも魅力的に輝くものだと思われます。そしてそういう意味において、ホワイトアルバムとこれがこのバンドで最もそういう作品なんだと思われます。

 折しも2022年にはデラックスエディションが出て、そこでステレオ版についても徹底的に現代的な聴きやすさの基準でリミックスされ、この名作に唯一残ってた聴きにくい点が解消されました。これ相当聴きやすくなったので、本当に何の違和感もなく「どこかの時代の、かなり尖った感じの音楽」として本作を聴けるようになったかと思われます。

 

songwhip.com

 

 

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『The Beatles』The Beatles(1968年11月リリース)2/2

このサムネ画像は2018年のデラックスエディションのジャケ写真。

 ただ単に筆者が聴き返してハマり直す周期に入ったがために唐突に始まったこの歴史的名盤のレビューの後半です。前半は以下のとおり。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 この後半記事では、本作のDisk2の内容、そしてこの記事を書く発端になった「ぼくのつくったホワイトアルバムが1番いいんだ」系の話を書こうと思います。この手の曲順組み替えて楽しむ系でも世界最高級に楽しめるのが本作だと、いつになってもそう思います。

 

 

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『The Beatles』The Beatles(1968年11月リリース)1/2

 最近またこのアルバムの曲順いじりに熱中していて、何度も聴きかえして色々と纏めておきたくなったので、この歴史的な2枚組のアルバムについて書きます。

 何かもう語られ尽くしている作品のような気もするし、きちんと書こうとすれば夥しい文章量になって纏りがつかなくもなりそうですが、そこはそれなりに読みやすくなる程度に抑えて書ければなあ、というつもりで書きました。それでいて、何かしら決定版めいたものをも目指して。その結果、またかなり長い文章になりそうだったので、2分割することになりました。今回は前編。

 

songwhip.com

 

 なお、弊ブログの2枚組アルバムの記事でも本作を取り上げていました。このテーマでこれを取り上げないはずがない。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 なお、本当はこの記事を書く端緒になった「ホワイトアルバムの曲順いじり」こそが本命で書きたい内容なので、この記事はそこに向かうための前段、序章みたいなものでもあります。

 

 

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Pavementの歌詞を読む(10曲)

 Pavementのライブ記事を書いたついでにプレイリストを新たに作った、その余勢でもってもうひとつ記事を書こうと思い、今回は彼らの楽曲のうち10曲の歌詞を改めて翻訳して読んでみよう、という内容です。

 ご承知の方も多いかと思いますが、バンドの中心人物であるStephen Malkmus(以下「S.M.」と呼称)はソングライター・コンポーザーとしての実力は勿論、その批評眼においてとりわけ特質的な才能を有していて、何かとシニカルになってしまう人物ですが、それが歌詞に出ないはずがなく、なので彼の書くこのバンドの歌詞は、シュールなものや雑なものや難解なものも色々とありつつ、しかし押し並べてどこか鋭いものを持ち合わせています。最近筆者はこのバンドのことを「USインディーにおけるThe Smithsのポジション」みたいに強く感じるようになりましたが、歌詞の面においても、ベクトルは違えどその鋭さについて共通するものがあるのかも、と思うようになりました。

 歌詞botからの流用や再掲など色々ありつつ、ともかく10曲見ていきます。年代順で並べてます。

 

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Pavementの大阪公演ハイライト

 また大阪まで行き、今回はPavementのライブを観る事が出来ました。バンドの再結成に関する屈託めいたものを前回の記事で書きましたが、個人的にはその屈託を完全に払拭してひたすら「最高!最高!」みたいな感じにまではならなかったですが、それでも幾つも「やっぱりいいな…」とか「これはすげえ!」ってなる瞬間があって、なんだかんだで観れて良かったと思います。記憶が新しいうちにちょっとした備忘録的に書いておこうと思います。

 

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【追悼】岡田徹の23曲

 ムーンライダーズのメンバーで、プレイステーションのCMのサウンドロゴをはじめ様々な場面でも活躍した作曲家・編曲家の岡田徹がこの世を去った。信じられない。

 故人を偲ぶ、などという気分になるはずもないくらい悲しい。

 予定を色々と変更して、彼が作ってきた名曲・怪曲を見ていきます。全てムーンライダーズから、合計23曲。サブスクだと色々抜けがあって揃わないからプレイリストは無し。

 

 

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“バンドの再結成”をめぐる取り留めない何やら

 以下の文章は、「Number Girlの再結成が、結局ライブを1回も観ないまま終わってしまった」「最近Pavementサニーデイ・サービスのライブのチケットを買った」の2つの内容で言い切れるものを、よりこねくり回して出てきた文章なので、実に主観的で、別に何か客観的に示そうとしてたりとかそういうものではない、ただの日記帳的なものでしかありませんのであしからず。

 一応、結果的に2個目のチャプターに多少のカタログ要素ができました。

 

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素敵な歌詞botで翻訳した気に入ってる曲part(14曲)

 細々とツイート内容を増やしてるこのbotの、翻訳したやつで気に入ってるものを取り上げるやつの4つ目の記事です。前回が割と1年前だったのでそれ以来となり、その時点で210曲程度の登録だったのが2022年末までに241曲になっています。あまり増えていない…。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 前の記事でも「1年でそんなに登録曲増えてない…」と嘆いていて、人間変わらないなってちょっと笑いました。

 

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『3』麓健一(2022年12月リリース)及び彼について

 新年最初の記事です。今年もよろしくお願いします。

 昨年末の2022年年間ベストの記事に書いたとおり、このアルバムの単独記事を書けなかったことが2022年にやり残した最も大きなことだと思っていたので、今回早速書いておこうと思います。成り行き上、彼のディスコグラフィーを簡単に追う箇所もあり、例の如く内容が散乱しているかもしれませんが、しかしながら是非多くの人にこの、サブスクにはおいていないアルバムを手に取って聴いていただきたい気がしますので、どうぞよろしくお願いします。

 というか、Bandcampにもこのアルバム置いてないのか。なんかそのうち置いてくれそうな気はします。

 

diskunion.net

 一応Amazonの方も。結構売り切れとか多くて、期待(需要)に対してあまり数を作ってなかった感じがあります。筆者はどうにか購入が間に合ってますが、発売日から数日後までにはもう在庫切れの状態になっていた模様。

 

www.amazon.co.jp

 

 それにしても…2011年の最後となっていた音源『コロニー』以降にライブで演奏されて、その完成度の高さから、もし音源になれば名盤になってしまうことが不可抗力だろうと思われた『Pentagon』『ヘル』『幽霊船』等々の名曲が、もうこのまま不可抗力的に世界から消えていってしまうのかと思ってた人たちからすれば、今回のリリースはひょっとしたら未だに夢見心地かもしれません。後追いの自分ですらそんな気持ちもあったのに…何というか、本当にリリース、おめでとうございます!

 

 

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