ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

【30万PV記念】PVの多い感じの記事セレクト

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 弊ブログの総PV数が30万を超えました。前にこのブログで10万PVの記事をアップしたのが去年の7月で、そこから1年半でPV数が3倍になったということで、以前よりもずっと読まれるようになったのか、と、ありがたい話です。読んでいただいた様々な方々、ありがとうございます。様々に不恰好な文章を読んで頂いて、申し訳ないやら、ありがたいやら。

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 今回は、上記の10万PVの時と同じように、去年の7月より後に書いた記事でPVが多かったりよく見られてる気がするような記事をピックアップしていく記事です。さらなるPV数の上乗せと楽に記事を増やすこと*1を目的として書いてます。

 

●2019年後半

1. “東京インディー”って知ってる?シリーズ(2019年8月ごろ)

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 2010年代の日本の音楽情勢を話すときに「東京インディー」というタームがどこまで有効なまま残り続けるのか時々不安に思ったりします。特に、メディアが東京発の新進のシティポップ系バンドに使うようになる前の、友達付き合いの延長線上みたいなところで自然発生的に生まれ出てきたシーンの、なんというか、マンガのような緩やかなモラトリアムじみた幸せの感じと何かオルタナティブでかつ批評的にも洗練されたスタイルとのギャップの調和については、本当にそういうブームが薄まっていく直前にせめて触れることのできた自分は、羨ましさ半分、懐かしさ半分くらいに感じます。

 2020年には東京インディーの花形選手のひとつ、シャムキャッツの解散という大きなニュースがありました。ある時に発生した熱はそのうち散らばってしまう。パーティーは終わって、みんな人生やら暮らしやらそういう「Life」なるものに消えていってしまう。シャムキャッツはむしろ『AFTER HOURS』の頃からそういうことに自覚的で、だからこそそのファンタジーな雰囲気の無い感じがなんか面白くなくも思ったりしたものだけど、そういう「地に足のついた東京インディー」として続いていくもんだと思ってたから、今回の解散はなんだか不思議な、考えようによっては身も蓋もないくらいの無常感とかを勝手に感じてしまいます。

 だけど、そんな季節の移り変わりの寂しさに全然負けないくらい、あの豊かなシーンの中で作られた様々なアーティストの作品は全然素晴らしいわけで、これからはそんな作品の魅力が当時のシーンの盛り上がりというノスタルジーから切り離されて語られるようになるんだ、と考えれば、寂しさはあれどそれはそれで進歩なのかもな、と考えてみます。

 勿論、現在も生き残っているバンドの活躍は見続けていきたい。シングルを連発したミツメや、自主制作時代の楽曲を再演した『アナザー・ストーリー』をリリースしたスカート*2などの活躍が今年はありました。

open.spotify.com

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 ところでこのシリーズ、まだ最後の記事が書けていません。アルバム15選の1位になる予定の昆虫キッズ『こおったゆめをとかすように』は、一連の記事を書いてた当時で5割くらいまで書いた下書き記事が残ったまま。いつかはちゃんとどうにかしないと…。

 

2. 曲タイトルだけをサビ等で連呼する曲(2019年9月ごろ)

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 この辺からサブスクでテーマごとに楽曲を集めたプレイリストを作ってそれを軸に記事を書くのが増えたようです。その分昔は頑張ってた単体作品のレビューとかどんどん書かなくなっててそれはどうなのか…ということもありますが。

 この記事を書き始めた理由がうまく思い出せないんですが、多分The Policeを聴いてて常々思ってた「サビで繰り返しが多いな…」みたいなのが根っこにあったんだと思います。また、昔よく読んでたレビューサイトとかで「サビが同じフレーズの繰り返しなのが残念」などと書かれてて、読んでた当時はそうだつまらん!とか思ってたけどこの頃はつまらんどころかとても洗練されたスタイルだ…!などと感じるようになってたのかもしれません。そして、この発想でOutkastの『Hey Ya!』まで辿り着けたのはこの記事を書く一連の作業の中で一番楽しかったところでした。やっぱ無敵のポップソングですわ…。

 

3. セルフタイトルのアルバム10枚(2019年10月ごろ)

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 記事の規模を10枚くらいに収めるとあっさり書けるな…と思いました。最近は記事で触れる作品数なり曲数なりが20がミニマムなところがあるので、10だと結構楽な感じがします。

 普段なら年代順でも昔から現代に向かっていくところを逆向きにやってるのは、これは明らかに10枚目を『The Beatles(White Album)』にして記事を終わらせるためだったのを覚えてます。今だったらあれも入れたいなこれも入れたいながいくつか思い浮かびますけど、書く方も読む方も正直これくらいの量の方がちょうど良かったりするんだろうかなあなどと考えたりします。

 近い時期にWhite Albumを1枚にするプレイリストも作ってたみたいです。結構いい選曲と曲順なので聴いてみてください。

 

4. 初期スピッツについて(8つのテーマで) (2019年10月ごろ)

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 このブログでも有数のPVの伸び方を記録した記事。別に本人とか業界の有名な人とかにTwitterリツイートされたわけではなかったと思いますけど、でもすごく伸びたことに、日本にスピッツのファン、それも結構じっくりと聴き込んでるようなファンの方々が結構な数いたんだなあ、ということが可視化された場面でした。

 記事自体についても、この時期はもうしばらく前に2日間で初期アルバム4枚全部を全曲レビューするなど、なんか妙にスピッツに入り込みすぎていた時期の、そのファナティックな感じがどうにか形式を得て文章になってるな…という風に今思うと思えます。大体なんで「8つのテーマで」なんてことを思いついたのかが全然よく分からない。2019年は個人的にとても嫌なことがあって、それからの反動でこのブログを書くくらいしかまともなことができなくなってた気がしますけど、そういう負のエネルギーじみたものの頂点がもしかしたらこの記事だったかもなあとか思います。何よりも、これだけ歌詞ばっかに焦点を当てた文章書いてて楽しさやエグさが感じられるのは初期スピッツのとてもいいところだなあと読み返してて思いました。

 スピッツの全曲レビューもかなり滞っています。だって次に書くことになる作品が、かの『ロビンソン』等を収録したアレなので、下手なこと書けないですもの。

 

5. 2010年代のロック音楽(15枚及び取り巻く状況等) (2019年12月ごろ)

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 「結局自分は白人が集まって演奏するロックバンドスタイルの音楽ばっかりが好きなんだな…」という諦めの感じが色濃く感じられる冒頭からの、各アルバムのレビューが始まったら割と元気そうな、それでいて文章量もさほど多くない感じでサラッと流れていくのが割と読みやすいなと思いました。好きなアルバムだけしか出てこない…と見返しても思うので、冒頭の諦めの感じから開き直って書いてるんだろうか…って感じがしました。

 15枚のうち3枚を除いて全部アメリカだったので、やっぱり2010年代のイギリスの音楽とかってよく知らないままだったなと思いました。割と大御所めいたやつも多い気がして、自分の趣味がやっぱり保守的なのか、こんなのでいいのか…などと色々考えだすと不安になるようなラインナップだけど、でも世相とか流行とかを気にして好きかどうか微妙な感じのものを無理に推すよりもこんな感じが気楽でいいな、と思います。Deerhunterで始まりNeil Youngで終わるこの15枚を並べてみて、2010年代もいい時代だったかもなと思ったりしました。2020年代は果たしてどんなものやら。

 

●2020年

1. Wilcoの全スタジオアルバムレビュー(2020年5月)

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 2020年になったあたりから仕事が大変だったりでブログを書く余裕がどんどん失われて、そんな中コロナウイルスの件があって、4月に10年住んでた福岡市に戻ってこれたけどいきなり緊急事態宣言で、その間新居のワンルームをどう家具とかデザイン(配置)するかでずっとホームセンター通いとかをしてたら、しばらくブログから離れてしまってました。今見たらこれが再開後2つ目の記事だったのか。

 この記事は確かTwitterWilcoどのアルバム聴けばいいやら、みたいな話を見かけて、あれはああでいいもんなこれはこうでいいもんな、といった類のことがスッと浮かんで、かなりすぐに推し曲の選曲から何からできたような記憶があります。すごく書くのに手間がかかってなくて、それで割と反応が良かったので、いつもこうならいいのにとか思います。それにしても、後で出てくるNeil Youngのアルバム評よりも遥かに手間がかかってないので、それだけWilcoの各アルバムが特徴が分かりやすく、語るのが容易なほどサウンドの色彩に富んでて、何より素晴らしいってことなのかもしれない。今同じ記事を書いたらずっと長くなるのかもしれないけど。今思えば「このアーティストにはこういう特徴がある!」とか「このテーマはこういう要素を含んでる!」みたいなのを書くようになってからこのブログの記事は長くなったな…ということを、この記事を見返して思いました。

 

2. ひとつのメロディで曲構造が完結する曲(2020年6月)

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 2019年では「サビでタイトル連呼する曲」みたいに面白半分にネタ的にやってたものを、もう少し本格的に書くようにし始めたのがこの記事だったと思います。同じテーマ内での類型とか作り始めて、いよいよ記事を書くのが大変になってくるようなことを、ここで始めてしまったんだなあ…と思いました。

 同じメロディを繰り返すだけで完結する曲って、メロディに展開がないというよりも、その一つの節回しがなだらかに優雅に変化してるから、そのひと回しだけで満足してしまうようなことだと思うので、それで満足できてしまうようなメロディもしくはアレンジというのは、手を抜いてるんではなくて、むしろとても突き詰められたものなのではないか、と思ったりもします。こういう形式に宿る独特の優美さや、こういう形式だからこそ生み出せる虚しい感じとかダークさとか、そういう手法の研究って面白いと思うんですけど、何か参考資料とかないんだろうか。こういうタイプの曲だけ入ってる2枚組コンピレーションCDとかないもんでしょうか。

 

3. ひとつのコード進行/リフ等で曲が反復し続けて完結する曲(2020年6月)

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 今回取り上げる記事の中で一番圧倒的にPVを稼いだのがこの記事。なぜなんだ…みんな「ループ」っていう概念が大好きなのか…と思いました。弊ブログでずっと見られてるローファイの記事と並ぶくらいだったりたまにはそれより多くなったりと、割とここの看板記事の一つなのかもしれません。DJ的知識とか全然ないのに。後、googleからのPVがずっと多いですけど、こんな記事にどう検索したら辿り着くんだろう…それが一番わからないです。こんなに見られるならサムネ画像もっと他のやつが良かったか…でもこれもシンプルでシャレてませんか。

 1個前の記事と違って、同じコード等を繰り返していればメロディは変わっていってもいいので選曲の自由度が高く、なので大ネタをぶち込みまくりました。それがPV的なものがいい理由の一つかなあと思ってます。とはいえ選曲は迷走を続けてて、なんなら書いてる途中に入れ替えたりもしたと思います。よく考えたらこれはダメだ外そう…他に何かいい曲ないか…ということを繰り返して書きました。Princeとか何回入れ替えをしたっけな…。名曲『The Ballad Of Dorothy Parker』にコード進行の展開があったことにこの記事を書いてる途中でようやく気づきました。最初はRed House Paintersの『Cruiser』とかEelsとかが真っ先に上がってたと思います。U2とかDaft Punkはかなり終盤に思いついて入れたと思います。

 同じコード進行とかの繰り返しでげ何か劇的な効果を生むって、すごくロマンがあることな気がします。展開しないけど展開してる、っていう心地よさや楽しさ。反復の中での緩やかな変化による高揚だったり、空気感の演出だったり、緊張感の表現だったり、色々な効果があると思います。ここで大雑把に大別した8つくらいの効果は、絶対にこれが全てではないことを改めて申し上げます。今後もこのスタイルで沢山の名曲ができていくんだろうと思います。言うなら今年の日本の大ヒット曲『香水』だってこのくくりに入れられう楽曲な訳だし。

 

4. 小西康陽の作家性について(2020年6月)

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 2020年6月もなんかかなり記事を精力的に書いてたんだな自分。。

 ある意味浅く広く書いたところもある上の記事で大ヒットした後の、自分のできる限りで狭く深く書こうとしたこの一連の記事は、投稿当初は打って変わって全然PVが低くてすごくがっかりしましたが、結構継続的にこの記事に言及するツイートなどを見かけたりして、じわじわとだけど結構読んでもらえてるなあ、と思ってます。書いて良かったなあ…と。この記事でやってるこういう話こそ他の誰かと直接あって話したいんだけどなあ、とかそんなことを思いながら書いてた気がします。この時期孤独だった。

 小西康陽さんの音楽もまた、独特の孤独の感じがあって、それは彼の今のPIZZICATO ONEにおける「寂しげに佇む老人になりかけた男性」のイメージに引っ張られてるだけなのかもしれませんが、そんなことはないと、この記事では手を尽くして言っているようです。彼の音楽において「孤独」というのは映画的な、ある種角一的に工学的に計算された「演出」として表現されることが多々あると思うんですが、でも時折妙に計算ではなく「天然で」孤独な感じを出してしまう彼の、その際の端正で純粋で繊細な哀しさの表現が、とてもとても好きなんです。

 思うに、映画監督が自分の人生を映画にすることなんて普通ないと思うんですが、彼はRolling Stone誌の高橋健太郎さんとのインタビューで「自分の生活を切り売りしないといけないくらい書くことがなくなった」と言ってますが、そういう、自分で自分の人生の感傷や無情を映画にしないといけない必要に迫られた状況で綴られた楽曲は、当然派手な演出なんて恥ずかしくてしないだろうし、余計なギミックなんて付ける気にもならない、ただ自分が誠実でいれるような形態に自然となったんだろうなと思います。それはとても人間的なことで、そこに描かれる情緒が、ずっとずっと胸を打つんです。

 自分は真面目な彼のファンではない気がします。エッセイ本も持ってないし読んでないし。そんな自分でも、この記事で彼のこと、もしくはひたすら誠実に綴られた音楽と言葉の素晴らしさのことについて何か書けている内容になっているのであれば、それはとても嬉しいことです。

www.dailymotion.comこの、みんなのうたの映像がついた『メッセージ・ソング』は永遠に最高。。

 

5. コード進行の話(2020年7月)

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 曲展開で記事を書くのに詰まったので、今度はコード進行でやろう、と思いついて、それで「Ⅰ→Ⅳ」ソングを収集してプレイリストを作り始めたのがこの2つの記事の発端でした。つまり、より大きいPVを稼いだコード進行全般の方の記事は、初めは「Ⅰ→Ⅳ」記事の前段部になる予定の記事でした。前段なのにどんどん長くなっていって収集がつかなくなったので、記事を分けたのは正解。

 コード進行を調べたり考えたりすることの楽しさは、特に楽器、ピアノかギターを弾くと飛躍的に上がるものだと思います。だって、とりあえずコード弾きながら同じメロディを歌詞なんかどうでもいいからメロディをなぞって歌ったら、その自分の好きな曲が一応歌えてしまうんですよ。メロディの背後に宿る微妙な情緒とかも、簡単にコードを鳴らすだけで分かってしまうことがある。それはもしかしたら化学調味料とかと同じくらい科学的なことなのかもしれないけど、でも情緒に生きる文科系の趣味の人にとっては、その微妙な情緒こそが全てでしょ。それを、ちょっといくつかコードを覚えて、その辺に置いてるアコギで弾くだけで、情緒がどこからか湧き出してくる。音楽って不思議だと思います。

 コード進行の記事は他にもいくつか書こうと思って楽曲をストックしてたアイディアがあったんですが、今の所形になっていないところ。特にひとつ、自分はサブドミナントのコードからサブドミナントマイナーに移行するコード進行、数字で書くと「Ⅳ→Ⅳm」のコード進行がとても好きで、それで一本記事を書きたいんですが、楽曲が十分に集められていない状況です。どこかで腰を据えてやりたい。。

 

6. アメリカンロック/アメリカーナに関する考察(2020年8月)

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 2020年の大きな夏休みの宿題、という気持ちで取り組んだ記事です。ポイントはアメリカンロックなりアメリカーナなりを語りたい訳ではなくて、自分が昔から好き好んでいた「土っぽい感じ、土埃っぽい感じ」の音楽とは、一体なんなんだろう、ということを今一度色々考えてみて纏めておこう、と思ったものだということ。そういう意味で本当に自由研究的な記事で、これをもって何か批評を世に出そうという気持ちにはなれない、ひたすら自分本位の、徹頭徹尾自分の理解の整理のための記事です。でも長い記事だから読み返さないんだよな。。

 というか、序章などと称して歴史的な流れとかなんとかを色々と書いてはみたものの、結局のところ書きたいのは記事の後半の「ぼくの大好きな、いなたい、野暮ったい、土っぽい、カラッとした情緒が香りだすような20枚のアルバム」の方なんだよな、ということ。どっしりしてたり、もっさりしてたり、サラサラしてたり、お馬さんのビート的なシャッフル調だったり、そういった自分の好きなものを20枚並べて、それに「アメリカーナ」のタグを貼り付けた、これはただそれだけの記事だと思います。でも逆に、ここで取り上げたものや、取り上げてない膨大な、こういう類の情緒がする素晴らしい作品たちのことを思うと、そういったものを生み出し続けるアメリカという大地はやっぱりどこか「約束の地」なんだなあ、とか思ったり。そんなアメリカの大地を思うことについては、後述の別の記事でより掘り下げた気がします。

 あと、この記事の根底には「Son Voltの『American Central Dust』という素晴らしいアルバムについて一度どこかでちゃんと書いときたい」という気持ちがそもそもの発端としてあったことを申し添えます。

 

7. Mr.Childrenの地味な名曲・佳曲プレイリスト(2020年10月)

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 9月にめっちゃ頑張って書いたマラカスがテーマの記事とタンバリンがテーマの記事がびっくりするくらい全然PV伸びなくてうわーっっもうだめだ…ってなってた時期に、なんかもう少し読んでもらえそうなもの書きたい、と邪な思いを胸に色々考えて書くことにしたのがこの記事だった気がします。そういう邪さを抱いて書く記事としてミスチルはなんかベストな気がしませんか。ぼくは邪さを忍ばせて透き通った感じの音楽をやってた2000年代前半のミスチルが大好きです。

 2000年代後半以降のベタッとしたバラードで語られるミスチルとは別に、邪だったり、小市民的だったり、意味不明だったりするときのMr.Childrenがいる訳で、豪華なプロダクションを駆使できる彼らだからこそ表現できる音楽的な音楽というのが確かにあるということを、この記事は強く主張したがってました。時代の代弁者だとか、日本の音楽史における役割とか、そんなのは他の人がたくさん書いてるので、自分は自分の趣味範囲のことを書きました。自分の作ったプレイリストは今回もギリギリまで選曲を入れ替えたりしましたが、完成したリストにはとても自信があります。個人的には『旅人』や『デルモ』の一芸的な感じよりも、もっと手管が複雑化した2000年代以降の曲だなあ、という感じが強く出てる気がします。2000年代前半は自分が人生で1番ミスチルを好きだった時期なので、ノスタルジーによる影響を無視できない選曲ではありますが、でもこのリストは選曲に自信があります。このリスト聴いてもミスチルは音楽的につまらんね、ってなるのならまあそういうこともあるか、って感じです。一押しは『潜水』です。なんであんな曲作ろうと思ったかもそれがあんなアレンジになるかも謎すぎて最高。

 

8. Neil Young関係(2020年10月〜11月)

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 去年のWilcoの『Yankee Hotel Foxtrot』の記事と並んで、遂に書くときが来た…!と静かに意気込んで書き始めたシリーズです。上のアメリカーナの記事で今ひとつ掘り下げれなかった感じの領域を改めて、できる限りやっておこう、という感じもあります。

 Neil Youngこそ、自分が昔から好きだった「土っぽい感じ」の本質に一番近い、もしかしたらそのものかもしれないと思う、ずっと憧れ続けてるアーティストです。どんな素晴らしい演奏も、素晴らしい歌詞も、コード進行も、メロディも、すべて総合的な「情緒」の下に置かれるものだ、と自分は思ってしまってる節があるけれど、それは言ってしまえばそんな「情緒」が静かにしかし強烈に渦巻いている『On The Beach』という素晴らしいアルバムのせいなんじゃないかと思います。『On The Beach』のレビューをもし思い残すことがないほどに完璧に書けてしまったら、自分の人生の1/9くらいはもう意味をなさなくなるんじゃないかなあ…などと思ったりしてましたが、その点いくと今回書いた記事はそんな完璧には程遠いもののように思えて、ある意味安心します。何がどう「程遠い」のか全く説明できないですけど。

 今のコロナウイルス全開の世界状況で何が一番悲しいかと考えるに、彼のライブを彼が死ぬまでもしくはぼくが死ぬまでに1度も観れなさそうだということです。でも観たら、1曲を数十分も演奏したりして、退屈なんだろうな。でも、観たかったな。。

もしぼくが死ぬのなら、その時はこの曲が流れてる中をぼんやり死にたい。ぼんやり死ぬって何だ?一酸化炭素中毒か?そんなのまっぴらごめんだ。。

 

9. The Bandに関する様々なこと(2020年11月)

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 年内に、それも思ったよりも早い段階で弊ブログが30万PVを達成できたのはこの記事がいい具合にスマッシュヒットしてくれたから。それにしてもどうしてみんなこんな長い記事を読めるんだ…?などと思ってしまうくらい、書いてて延々終わる気がしなかった記事でした。

 でも、書きたい項目は割とすぐに決まりました。自分が作ったプレイリストに沿った楽曲紹介をベースにしながら、かねてよりThe Band各曲の歌詞をどっしりと翻訳されてた方のことや、件のドキュメンタリー映画によってにわかに盛り上がったThe Bandについて様々な文章が出てきたこと、特に高橋健太郎さんの、興ざめな感覚と隣り合わせになったしかし不思議に魅力的な文章に大きな影響を受け、他方では映画を観たTwitterの一部フォロワーの方々で盛り上がっていたRichard Manuelの再評価に大いに影響を受け、またかねてからの「土っぽい音楽」と「土っぽい音楽を生み出した大地のこと」についての興味も交え、選曲は混乱の中当初から大幅に変更していきました。この記事を書いてた頃はそれこそアメリカ大統領選が行われてたり開票されたりで、かの土地の業というか、様々な苦悩や不安を胸に抱きながら、かの大地とそこで暮らす人々のことを思う。そういう大地と人々を描き出す天才がRobbie Robertsonであって、そちらに焦点を当てていくつもりが、いつの間にかそういうのとは存外関係ない場所でうつむき続けるもう一人の天才・Richard Manuelが、自分の興味の中心になってました。ボーカル3人の中で一番声質がくぐもってて、奇妙な細さがあって、弱々しさがあって、でもそれが時に非常に端正に、ぞくぞくするくらい端正に響くことがある、ということが知れたのが、この記事を書いて一番良かったことです。そしてまさかこの記事を受けて、高橋健太郎さんがRichard Manuelのことについて様々なツイートをしてくれたのが、とても光栄で、そんなこと以上にとても興味深くて、そして情緒的な感じがしました。

 The Bandの良さは様々に語ることができるでしょうけど、ぼくに言わせてしまうと結局、様々なことが総合的に作用して「情緒」がある、といった話になって終わってしまう。その「情緒」というのは、細かく分析してバラバラにしてしまっていいものか戸惑ってしまう類のものですけど、でも少なくともこの記事を書いて以降、書き始める前よりも数段The Bandのことをより大好きになったので、良かったと思います。

 

10. George HarrisonというSSWについて(2020年12月)

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 目下最新記事です。正直、全然PVが伸びてません。なのでここに取り上げるべきではないのかも知れませんけど、でもこれ相当めっちゃ頑張って書いた記事で、文字数的にもThe Bandのやつの次ぐらいに長いし、まあそりゃ各アルバムレビューに音楽的特徴分析に20曲レビューまですりゃ当然長くなるわ…という内容なんですけど。こんな長い記事読む訳ないよな…とも思うし。逆になんでクソ長いThe bandの記事はよく読まれたんだろう…話題性って大事なんだな。どうして出なかったアルバム『All Things Must Pass』50周年エディション…。

 George Harrisonの典型的な音楽性、カントリーロックっぽい具合の中で呑気なスライドギターと少し変に引きつったようなメロディが流れていく楽曲というのも、ぼくの「土っぽい音楽」の系統に含まれる、むしろかなり重要なエレメントのように思えたので、ここまでしっかりと聴き込んで記事を書こうと思った次第。この「土っぽさ」は決してThe Beatlesからは感じられない類のもので*3、この土っぽさに関する限りはGeorge Harrisonという人はまるでThe Beatlesとは無関係に一人の優れたSSWでしかないな、と思ったのがこの記事を着想の元でした。実際こんな、スライドギターばっかり弾きまくった、元リードギタリストと思えないくらいギターソロを弾かない、コード進行やメロディも妙にひねくれた、そして宗教的な影響でどこ向いてるかさえ時々曖昧な、こんな変なSSWなかなかいないな、といったことを聴き込んですごく強く思いました。そんな変でひねくれててでもささやかで曲もポップな具合が、確かに間違いなくインディーロックと呼ばれる類の音楽のどこかに確実に息づいてるな、と感じました。お前もGeorge Harrisonを聴かないか?

 

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 以上です。

 なんか、タイミングがタイミングなので半ば「2020年の弊ブログ良かった記事」みたいな記事になってしまってるな…と記事を選んでて思いました。今年の年間ベスト的なものは書くにしても、もっと他の記事をもうひとつくらい今年中に書けないものかと思案しています。

 それにしても、自分はブログでダラダラ長文を書くくらいしか能が無いなあ…とよく思います。それでもまだ「ブログを書く能は多少ある」と思えるのは、多くの方々がこのブログの読みにくそうな文章を読んでいただいてるお陰です。本当に、本当にありがとうございます。これからも読みにくいかも知れないけど自分の興味が向けるテーマで何か多少は面白い記事が書ければなあと思っております。

*1:最近のこのブログの書き方、1回1回書くのがすごく大変になってきてるので、楽に書ける記事の題材を日々探してはこうやってたまに描くようにしたいと思います。

*2:これによってようやくサブスクで自主制作時代の素晴らしい楽曲群がある程度聴けるようになったことはとても喜ばしいこと。しかも『月の器』まで!

*3:強いて言うならアルバム『Let It Be』からはそれっぽいものは多少感じられる。