ブンゲイブ・ケイオンガクブ

本を読まない文芸部員と楽器を練習しない軽音楽部員のような感じのブログ。適当な創作・レビュー等々。

『HELL-SEE』syrup16g(2003年3月リリース)

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 以下の年間ベスト記事で3位に上げたんですが、やっぱり書き足りなかったので書きます。やっぱ『coup d'Etat』は全曲レビューしといてこっちはしないのはおかしいよなあ、っていう。

ystmokzk.hatenablog.jp

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 ということで、あのバンドの累計4枚目、メジャー3枚目のアルバムに「結果としてなった」作品の全曲レビューを書いていきます。リリース当時は15曲入り約66分のボリュームにして1,500円という狂った値段設定で、尚且つ当時から最高傑作的に扱われていた本作のどこがどうなのか。ジャケットからして暗そうだけど…syrup16gの作品はまあ大体暗いけども。

 

songwhip.com

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“宅録”の時代的変遷、及び“宅録”アルバム30枚

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 音楽作品は作るためには録音をする必要があって、多くの世に出てきた作品は録音するためのスタジオで演奏とかをして録音をするんですが、時折、自分の家などでそういったことを完結させてしまう「宅録」というスタイルで作品を出す人がいます。むしろ現在は機材の発達・普及によってそっちの方が新譜として出る絶対数は多いのかもしれません。

 それで、今回はそういう、宅録・ホームレコーディングによって製作された感じのある作品を30枚ほど集めてみた記事になります。ついでに宅録環境の時代ごとの変遷もちょっと書き足すことになりました。

 なお、弊ブログの特徴として、ロックの延長線上にある歌もの楽曲を取り扱うことが基本としてあるので、今回のチョイスも純粋にトラックメイカーめいたものについてはあまり選んでいません。どっちかというと、宅録によって生ずる「いなたさ」に焦点を当てた選盤なのかもと思います。悪しからず。どうぞよろしくお願いします。

 

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ムーンライダーズの全アルバム(2022.1.2現在:22枚)

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 2021年12月のクリスマスに2日間行われたライブで「一生バンド宣言」なるものが飛び出して、2021年のうちに出ると思ってた新作アルバムの発売日も決定して、遂に装いも新たに動き出すムーンライダーズ!2022年3月には日比谷野音でライブということで、いつか行きたいと思ってたライブを観に行こうと、チケットの抽選に申し込んだところです。

 それで今回は、実に1976年から始まり、2011年に一度活動を休止しつつも、今年の3月に新たな一章が追加されていく彼らの長大な歴史の、その中で生み出されてきたアルバムその数22枚*1を、それぞれを見ていこう、というやや無茶な記事になります。

 なお、筆者は2019年にムーンライダーズをやっとちゃんと聴き始めた新参者なので、以下の記述には、極力正確に書こうとは思ってますが、事実誤認だとか、「こいつ何も分かってねえな…」的な記述があるかもしれません。適宜コメント等でご指摘いただければ、必要に応じて記事に反映させようかとも思う次第です。

 過去の弊ブログで書いたムーンライダーズ関係の記事は以下の2つになります。聴き始めて熱中してた頃の記事です。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

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*1:この辺のカウントは変名アルバムやら何やらでカウントは変動するものですが、はっきりと「ムーンライダーズ」名義のもの+バンドの歴史の始まりと公式で位置付けられている『火の玉ボーイ』を加えた22枚を、ひとまずの数とさせていただきます。

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【50万PV記念】ウケの良かった記事・そうでもなかった記事

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 年が明けました。

 弊ブログのアクセス数総計がようやく50万を超えました。上記は昨日(2021年12月31日)のスクショです。読んでいただいた方々、本当にありがとうございます。

 30万を越えたのが2020年12月中旬くらいだったので、おそよ1年とちょっとで20万アクセスくらいあったみたいです。10万超えが2019年7月で、そう考えると閲覧されるペースが少しばかり上がっているみたいです。ありがたいやら恥ずかしいやら。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

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 今回は、上記の30万超えの際の記事以降のおよそ1年とちょっとの間にウケが良かった・アクセス数が大きく伸びた記事と、そうでもなかった・頑張った割に全然だった記事とを取り上げて、2021年を一生懸命ブログ書くことに頑張ってた自分を労う感じの記事です。なお、各記事が具体的にどのくらいのアクセス数がついたのかはよく分かりません。

 

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2021年ベストアルバム(30枚)

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 今年もやっていきましょう。ルールは以下ツイートの通りです。自由!

https://twitter.com/YstmOkzk/status/1476389315274219528?s=20

 

 昨年2020年のベストは以下のとおり。ystmokzk.hatenablog.jp

 

ちなみにこの時は本腰を入れてベスト30を考え始めてからはじめて聴いた12月下旬発売のアルバムに強烈に心揺さぶられて勢いで1位にしました。誰に責任を負うでもない年間ベストなら、このくらいテキトーに「心揺れた」度合いとかその瞬間最大風速とかで決めてしまってもいいと思うんです。社会的なこととか考えてロジカルで自分でも不思議なリストを作るよりも、かえって個性が出て読んでもらえるかもしれない。そんな自分に激甘な皮算用も込みで、今年も書きます30枚。

 

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『LOVE/HATE』ART-SCHOOL(2003年11月リリース)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOL全作品レビュー記事のリマスターという体裁の仕切り直しの一連の記事の11個目。筆者のオルタイムベストで3本の指に入るくらい好きなアルバムです。邦楽だけでオールタイムベストを作るならこれが1位です。当然2003年のアルバムでも1位。

 重くて暗くて情けなくて綺麗で救いようがないです。虚無のベクトルで作品全体がどこか透き通っていた『SWAN SONG』と比べてももっと様々に乱れていて、見方によってはこっちの方がより引き裂かれて悲痛な感じがします。タイトルからして「愛と憎悪」に引き裂かれてるわけだし。そしてバンドの関係性もとっくに崩壊していたことから、このアルバムの後にメンバー2人脱退して活動停止と、あらゆるネガティブさが集まったような状況。

 なのに、なのか、だからこそ、なのか、これは信じられないほど感覚と音のスタイルとが奇跡的に噛み合った、本当に素晴らしい作品です。一部ではバンドの最高傑作とも言われるかもだけど、それ以前に、とても感覚を揺さぶられる、というか、世界の見方が変わってしまったまである、個人的にとてもとても大事な作品です。

 前作となる先行シングル『UNDER MY SKIN』のレビューは以下のとおりです。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

また、アルバムとして前作となる『Requiem For Innocence』のレビューはこちら。色々と比較して聴くとまた面白かったりするかもしれません。サブスクにはありませんけど。

ystmokzk.hatenablog.jp

 

 何回目の書き直しか分からないけど、何を書こう。

open.spotify.com

ART-SCHOOLの「Love/Hate」をApple Musicで

 

 

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2003年のベストアルバム30【後編・1位の詳細は別記事】

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 後編です。15位〜2位までを書きます。1位の詳細は別記事になります。なぜなのか。

 前編の記事はこちら。

ystmokzk.hatenablog.jp

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2003年のベストアルバム30枚【前編】

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 なんで2021年も終わろうとしているこのタイミングで、別に20年前とかそういうきっかりしたタイミングでもない2003年の年間ベストを書くのか、ろくな理由がありませんけども、ともかく今回はそういう記事です。今回が前編で、30位〜16位まで、後編で残り2位までを扱い、1位だけ別記事になります。なんで1位だけ別記事なんでしょうね。まあ、しばらく前にやった2002年の年間ベストの時と同じ理由ですけども。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

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 当時をリアルタイムで過ごした人は懐かしい気持ちを感じていただいたり、知ってる人はいいよねって思っていただいたり、知らない作品があるひとは何かいい発見につながればと、そんな思いで書いていきます。

 こういう風に順番に公表していくと、プレイリストは最後の記事が上がるまでアップできないのが面倒くさいですね。そこまで行ったら追記で追加します。

 

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『UNDER MY SKIN』ART-SCHOOL(2003年9月リリース)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの全作品レビューのとりあえず『LOVE/HATE』まで書き直しを目指すレビュー記事の、これで10個目になります。

 「白鳥の歌」と題したいかにも最後の作品っぽいものを出したにも関わらず、一応は終わらずにシングルを、それもとても強力なシングルをリリースしてくる当時のバンドは、内情ボロボロのはずなのに案外無茶苦茶にタフです。一連の2003年の作品群の終着点となるアルバムに向けた3曲入り先行シングル、といったところ。

 なお、このシングルもやはり廃盤状態ですが、表題曲はこの時期でも随一の代表曲なのでアルバムは勿論のこと後のベスト盤にも収録され、またカップリングの2曲もさらに後のB面集コンピに両方とも収録されたため、「このCDを入手しないと聴けない曲」は現状存在しません。

 前作となる「白鳥の歌」と題した作品についてのレビューは以下のとおり。

ystmokzk.hatenablog.jp

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『SWAN SONG』ART-SCHOOL(2003年7月)【リマスター記事】

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 ART-SCHOOLの全作品レビューのとりあえず『LOVE / HATE』まで書き直しを目指すレビュー記事の、これで9個目になります。すでに崩壊が約束されつつも何故か楽曲はやたら沢山生まれ出して、しかも見事な諦観の美を獲得してしまう、彼らの危うい魅力がもしかしたら一番奇跡的に素晴らしく表現されているかもしれない作品群です。

 6曲入りのDISK1と3曲入りのDISK2でリリースされ、重複を除くと7曲の(当時の)新曲がこの2枚に含まれていました。現在は廃盤。後のアルバム『LOVE / HATE』にはここから1曲のみ収録され、その後ベスト盤『Ghosts & Angels』に表題曲が、さらにかなり経って、ファン投票を軸としたB面曲コンピ『Cemetery Gates』には最多の4曲が収録されています*1

 前作となる、シングル『EVIL』についてのレビューは以下の記事になります。このシングルから後のアルバムまでに至る、いわゆる“LOVE / HATE期”とでも呼べそうな、一貫性のある時期になっています。

 

ystmokzk.hatenablog.jp

 

*1:とはいえ、サブスクに限った話をすれば、よりによって『Cemetery Gates』が未解禁状態なので、この音源で聴ける曲は僅か2曲に激減します。

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